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中高生のデジタル人材育成を変えていく デジタル人材共創連盟発足

一般社団法人 デジタル人材共創連盟 設立総会イベントレポート

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デジ連に期待するもの

雪田:本日正式に動き出すデジ連について、今後期待することや一緒にやりたいことがあれば教えてください。

デジタル人材共創連盟 共同設立者 ジェネラルマネージャー 雪田 恵子氏

藤田:学生の時は楽しいことが中心になる。ぜひ部活動など学校をきっかけに楽しい学校生活を送って欲しい。(デジ連が支援するデジタル部活動は)数学とか英語とかとは毛色の違ったものだから、自分が楽しみ、それが地域社会の課題解決にもつながっていくなど、もっと自分たちの身近なところで役に立つという環境を作らなくてはと思う。

 他方でデジタルが苦手と思っている学生も先生もいる。そういう人も得意な人がフォローする様な仕組み作りとか、先生同士で苦手な先生の問題を解決できるような仕組みなども必要だろう。学校の中で分断とか生まれることもあるかもしれないが、デジ連がうまく潤滑してまとめていけるようになると良いと思う。

 武藤:教師が一方で気に生徒に何かを教えるというのはもう古い。プログラミングについて言うなら、どんなものを作りたいかを子どもたち自身が考え、課題を設定し、作りたいものを作る。それによって生活が豊かになったり楽しくなったり課題解決できるということを体験する。そんなことをもっとプロモートしていきたい。

  そしてそれを大人たちが上手くサポートしたり褒めたりできるような、そんな未来像が多くの教室で生まれて欲しい。そのために担当の先生の資質、能力を高めていきたいし、デジ連にはそんなところをフォローしてもらいたい。

  また今日は大勢の社長さんが来ているが、子供向けの教材に出演してもらえると嬉しい。あるいはビジネスの第一線でワクワクしながら問題を解決し、それを次のビジネスにつなげていっているような、そんな大人が学校に来てくれるのであれば素晴らしいと思う。ぜひそういうことを一緒に進めていきたい。

田中:産業部会では産学連携とか産業界の支援の受け皿になることがミッションだろうと思っている。特に先生方のスキルの問題や時間的な問題も考えると、産業界から人材も含めた支援を行うということは非常に重要だと考えている。部活動についても、先生方も楽しくなくては続かない。楽しくてサステイナブルな部活動になるよう、デジ連が支援していく。

 あとは選抜という意味合いもあると思っている。みんなでデジタルに取り組んで、その中ですごく優秀な人たちを強力にサポートし、新しい仕事を生み出し、応援されていた人が次の支援者になり、産業界として支援する。そういうエコシステムはサステイナブルだ。

 私は仕事も楽しくあれと常に思っている。仕事は苦しいものだというのは上の年代の人の考えでしかない。コンピューターが好きで会社に入ったのに、コンピューターを壊したくなるくらい腹を立てながら徹夜をしている人の姿を見ていると、何か間違っていると思う。楽しい仕事を次の世代のために作るということ自体も、デジ連を通じて産業界がやっていけるとこれからの未来が明るいものになると思う。

中嶋:ビジネスに活かせる技術を学ぶというだけでなく、それを自分の身の回りにある課題に応用することを考え、そしてそれを実践する機会を得るという最先端のSTEAM教育プログラムを日本中に普及したいと考えている。そこでデジ連と協力できるとうれしい。

 しかし経済的な格差や地理的な問題から、そもそもそういうプログラムがあることを知っている人がほとんどいないので、まず全国の学校でこのプログラムを見る機会を作りたいと思う。STEAM教育プログラムの世界大会に行くと、自分がどうやってチームに貢献し、どうやって社会に貢献したのかをみんな自信を持って話してくる。

 そういった環境は日本にはない。日本中の子どもたちにこれを体験して欲しい。公欠制度の整備や金銭的な負担の軽減など、プログラムに挑戦したいという生徒をサポートする環境整備も非常に重要です。そういった仕組みづくりの面でデジ連と協力していきたい。

雪田:鹿野代表理事、皆さんのご意見を受けていかがでしょうか。

鹿野:このような形で行政と産業界と我々のようなものが一堂に会して議論をし、それを公開して聞いて頂くということは今までないことだった。先ほどの公欠の話は武藤リーダーとすぐに話をする。文部科学省と一緒に取り組んでいく。これは何十年も変わらなかったことがこの場ですぐ変わる、ということの1つの例となる。

 我々の活動に省庁の壁はない。今まで何かができなかったというのは、デザインが良くなかったという部分がかなりあると思っている。声が届かなかったとか、こうであれば良かったといったことを、我々はなくしていける。みんなで手を取り合って、産業界も含めて進めていく。

 小中高の教育は大きく変わってきている。ジェンダーについても変えていけるしそれに取り組まなくてはいけない。自分の子供たちのことを考えれば、世の中がこうあって欲しいという気持ちをみんな持っているはず。「こうあって欲しいと思う、けれど」の「けれど」をなくしていきたい。「けれど」のない世界を目指していくし、それは実現できるはずだと思っている。

 29位というデジタル競争力ランキングを改善するためには、日本中に便利なデジタルサービスを溢れさせるだけでなく、誰もがデジタルツールを使いこなせるようにならなくてはいけない。デジ連が掲げる「子どもたちのデジタル力を育てる」という目的は、そのゴールに向けて設計した極めて野心的な取り組みであると言えるだろう。

 少子高齢化やコロナ禍によるカリキュラムの歪みなど、子どもたちの周りには早急に取り組まなくてはならない課題が山積している。情報教育をすればそのすべてが解決するわけではない。しかしデジタルを旗印に若者の行動が活発化し、発言力が増せば、日本社会へのブレイクスルーが生まれるかもしれない。そう子どもたちとデジ連に祈っている。

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