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中高生のデジタル人材育成を変えていく デジタル人材共創連盟発足

一般社団法人 デジタル人材共創連盟 設立総会イベントレポート

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会員企業と学校現場のWin-Win関係を生む事業計画

 鹿野氏によるデジ連のビジョン説明に続いて、デジ連事務局長の春名 絵美氏(以下、春名氏)からデジ連が推進する各事業の計画が紹介された。

デジタル人材共創連盟 事務局長 春名絵美氏

 春名氏からは、まずデジ連が推進する中高生等のデジタル教育の活動支援に対する3つの課題とそれらに対するデジ連の活動が提示された。1つ目は教育現場への情報や人材が不足している点で、これに対しては教員の研修や指導員の養成に対する支援を行う。2つ目は子どもたちがデジタル関連の学びや活動(デジタル部活動)を行う場が少ないという点で、地域の活動として、あるいはクラブチームのような従来の学校の枠を超えた活動として、産業界から支援を行っていく。

 3つ目が子どもたちの意欲を高める発表の場が必要である点が挙げられ、子どもたちが自らのデジタル活動に対するモチベーションを高揚させられるように、その成果を発表する場(コンテストやアワード等)に対してガイドライン作成などの支援を行っていく。また、来年度から「デジタル学園祭」および「未来創造コンテスト」(いずれも仮称)として、中高生等を対象に自身の活動成果を世に問う場の企画が進められている。

 デジ連の事業は3つの課題に対応する事業に加えて、連盟の活動および正会員のコンテンツや事例に関する情報を広く発信する事業の計4つの事業をそれぞれ担当する部会を設けて実施をしていく。デジ連は会員制度によって運営を行い、正会員は主に教材開発や講師派遣、教材コンテンツを持つ企業がその対象となる。各企業が持っているコンテンツやサービスを教育関係者等へ発信することがメリットとなる。一般会員はデジタル教育分野に関する情報収集を希望する個人や法人で、主に教員や教育関係者を想定している。

 広報部会が担当する事業は大きく2つあり、広報支援事業は正会員の持つ教材コンテンツやその活用事例等をデジ連のWebサイトやメールマガジンを通じて全国の教育関係者等に発信していく。一般会員も実習事例等、情報の先生と共有した方が良い情報を発信することができる。

 デジタル大会支援事業では子どもたちが自分の活動成果を発表する場であるデジタルコンテストの開催情報を発信する。コンテストを主催、協賛、後援をしている企業から情報の提供を受けて、学生や教員等に発信していく。

 学校教育部会は指導者のデジタルスキル向上に資する支援を行う。始まって間もない高校での情報の授業は、担当教員が情報の免許を持っていないことも少なくない。そこで教材やツールについての情報提供を行ったり、教員の研修や講師の派遣について正会員と自治体・学校とをマッチングすることにより、情報教育の経験が不足している教育現場をサポートする。

 2023年度以降の全国47都道府県に対する講師派遣の実施を計画しており、2022年度はそのモデル作成のため3件程度の講師派遣を行う予定としている。そのため全国の自治体や学校に対して講師の派遣を行える正会員を募集している。

 また2023年度から開始予定の情報Ⅱについては、文部科学省の教員研修用教材に沿った内容の動画をデジ連が独自に作成しており、準備に追われる教師のスキル向上に役立ててもらうようYoutubeに公開している。デジ連は情報科目だけでなく、音楽や美術など学校全体の学びをデジタル化する教材開発を行える正会員の募集も開始した。

 産業部会では子どもたちが学校の内外で自由にデジタル活動を行えるよう、指導員や教材の紹介を含む子どもたちの課外活動を産業界で支援する事業を実施する。例えば子どもたちの活動を支える指導員が不足しており、正会員から指導員や教材を募集する。また指導員を求める自治体や学校も募集している。

 また新学習指導要領では、プログラミングやデータサイエンスなどの専門性が高い内容が盛り込まれており、学校における教育経験のない外部専門家を活用する必要が生じている。そこでデジ連では、学校教育法やハラスメントなどの学校での活動に関する基礎知識やモラル、他教員との連携などについて研修を行ったうえで、試験や面談を通じて第三者認定を行う制度の準備を進めている。

 各種SNSや動画サイトで見られるように、若年層のデジタル領域でのクリエイティブ活動は近年特に盛んになってきている。これをさらに拡大し、デジタル人材への成長につなげるためにも、中高生等のモチベーションの源泉となる作品発表の場(コンテストやアワード等)が全国で多数実施されることをデジ連は重視している。

 加えて、発表の場を誰もが参加しやすい環境に保つことやジェンダーバランスを確保することはコミュニティ全体の質を高めていくために不可欠となる。そこでデジタルコンテストのガイドラインを策定し、各種大会の運営者にその周知徹底を進めるガイドライン部会を設置している。

 正会員はデジ連を通じて全国の自治体や教育関係者へのアクセスを得る。教員や自治体は各種教材をはじめとする情報教育のノウハウを得る。一般会員もデジタル教育に関する高品質の情報を迅速に得ることができる。全てのステークホルダーにメリットのあるフレームワークを提供しつつ、子どもたちへの情報教育という喫緊の課題に対する解答を模索する。デジ連が非常に困難な設問に正面から取り組んでいることをこの事業計画は示している。

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