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ソシャゲ勃興期に似ている NFTゲームのいま

かーずSPが聞くデジタルコンテンツスタートアップの最前線 Digital Entertainment Asset Pte. Ltd.共同CEO 山田耕三氏インタビュー 後編

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 ゲーム内のお金を暗号資産に変換して、日本の円にトレードできるカードゲーム『JobTribes』を運営するDigital Entertainment Asset Pte. Ltd.、インタビュー前編では共同CEO・山田耕三氏にNFTゲームの概要について伺いましたが、後半では開発中のゲームについてお話しいただきます。

「持続可能な社会貢献も 人生が変わるNFTゲームの概念」(インタビュー前半)

GameFi 2.0が拡大している今は、ソシャゲ勃興期に似ている状況

山田耕三氏(以下、敬称略):入り口は「GameFiってお金が稼げるんでしょ?」ってゲームを始めるのがきっかけになって、やがてゲームを通して、自分や他人が豊かになって、かけがえのない体験ができます。それがWeb3ゲームにおけるエンターテインメントの本質なのですが、今のGameFi業界やブロックチェーン業界で、これを言う人はいないのですよ。

───なぜでしょうか?

山田:金融業界やITの人たちばかりで、エンタメ出身者がいないからです。でもお金儲けとエンタメの観点は違います。僕らは今のGameFi事業者の中で、ほぼ唯一に近いエンタメに軸足を置いている会社です。

山田:ブロックチェーンのメリットは、まず金融業界が受け止めました。その延長線上にゲームが生まれ、『Axie Infinity』などが生まれてきました。ところがこうしたGameFiは、フィンテックの方に9割9分かたよっていて、ゲームとしては面白くないのです(笑)。

───(笑)

山田:みんな利益確定や利回りのことばかり考えていて、ゲームとしてはつまらないのだけど、稼げるからプレイしているという状況です。ですがスクウェア・エニックス、バンダイナムコゲームス、セガ、サイバーエージェントなど、そうそうたるゲーム会社が続々とGameFiへの参入を宣言しています。ですので、中身をともなった面白いNFTゲームが今後出てくると思いますが、ゲーム開発には2年以上かかります。2023年くらいから、GameFi分野の競争は激化すると予想しています。それまでに僕らは先行者利益で、先にマーケットを作ってしまおうと。まさにソーシャルゲーム時代のグリー、モバゲーみたいに。

───10年以上前の、ガラケーでソーシャルゲームが爆発的に拡大していったゲーム業界の激動を思い出します。

山田:かつてガラケーでソーシャルゲームが登場した時、ゲーム業界人たちは全員「あんなポチポチゲー」ってバカにしていました。『怪盗ロワイヤル』もゲーム自体は単純でしたけど、その向こうに人がいて、順位を競ったり協力し合ったりすることが、新鮮で楽しかった。同じ時期にスクウェア・エニックスさんはスーパーリッチなCGを使った『ファイナルファンタジー』に到達していましたから、ゲームに慣れ親しんだユーザーにとって、ソーシャルゲームはおもちゃにしか見えなかった。

───ガラケーのドット絵が、劣化ゲームに見えたのは事実です。ですが普段ゲームをしていない人たちがハマっているのを知って、驚いた記憶があります。

山田:そう、新しく入ってきたユーザーにとっては、フルCGゲームよりも、ソシャゲで味わえる新体験の方に断然ハマっていたわけです。今はまったく同じことが起こっていて、「ブロックチェーンのゲームって怪しい」って訝しげに見られています。

───日本では暗号資産やNFTに対して、怪しい、怖いといったネガティブイメージを持っている人もいます。

山田:過去に怪しい実例が多かったので、それもしょうがないのですよね。なので、まず僕らが「暗号資産に使い道は無い」って先入観を壊して、暗号資産の使い道が存在することをお見せしていくしかないと考えます。僕らのDEAPcoinはNFTを買うためのものですし、NFTはプレイトゥアーンを遊ぶためのものっていう形で、ちゃんと価値があることを示して、ネガティブイメージを払拭していきたいです。

───グリーやモバゲーが流行りはじめた頃、物体のない課金アイテムにお金を払うのなんてバカバカしい、といった風潮もありました。新しい価値への拒絶反応は、いつの時代でも起こるのだと感じます。

山田:グローバルベースで見ると、当時で言うところのグリーやモバゲーのような存在が、もう出てきている段階なんですよね。例えば「Axie Infinity(アクシーインフィニティ)」を出しているスカイメイビス、「STEPN(ステップン)」を運営しているオーストラリアのFind Satoshi Labといった、聞いたこともない会社がドッカンドッカン売上を上げていて、他のゲーム会社が追随していっている流れです。そんな革命が今も起こっていて、これからの新体験は、ゲームに没入することでお金持ちにもなれるし、STEPNのように歩くことでお金が稼げて、ゲームで健康になれる時代がくるでしょう。

これからの未来は、みんながゲームで稼いで確定申告する時代がくる!?

山田:今後コンテンツのリッチ化はまず間違いありません。ですがWeb3での生きがい欲求を提供するには、マシンパワーとか、高いゲームリテラシーを要求しません。我々はコアなゲームユーザーの外側にいる、新しい層に訴求します。2023年には世界で30億人を突破すると予想されているゲームユーザー人口ですが、逆に考えれば、まだまだ多くの人がゲームをしてないんですよ。僕らはまだ遊んでない人に「お金が稼げるよ」っていう新しいインセンティブをフックにして、敷居の低いゲームで入っていただきます。そこで稼げる+生きがいと連携する行動変容を起こして、自分の人生を変えられる、誰かの人生を変えられるって新体験を提供できればと思います。

───一部のプロゲーマーやゲーム実況者だけじゃなく、ゲームを遊ぶ全員の家計が少しずつ楽になるのだとしたら、Web3時代のゲームは良い未来だと感じます。

山田:そうです。ゲームでお金を稼ぐことが当たり前になって、みんな確定申告しないといけなくなる未来がくるんじゃないでしょうか。これからは税理士がめちゃくちゃ増えるかもしれません(笑)。

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