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ソシャゲ勃興期に似ている NFTゲームのいま

かーずSPが聞くデジタルコンテンツスタートアップの最前線 Digital Entertainment Asset Pte. Ltd.共同CEO 山田耕三氏インタビュー 後編

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「JobTribes(ジョブトライブス)」の源流には、あの名作レトロゲームがあった!?

───プレイトゥアーン事業の第一弾をブロックチェーン連動トレーディングカードゲーム「JobTribes(ジョブトライブス)」にしたのはどういう経緯だったのでしょうか?

山田:2018年、吉田(吉田直人氏、Digital Entertainment AssetのCEO)がイオレという日本の上場会社の社長の時代に、なにか新しい事業をやろうよって企画を練るところからスタートしました。職業を擬人化した面白い本『日本の給料&職業図鑑』があるんだよって話で盛り上がって、もうこの著者を巻き込もうよって話になって、その場でメールしました。

───フットワークが軽い。

山田:それで『日本の給料&職業図鑑』の元ネタになっているサイト「給料BANK」の山田コンペーさんと意気投合しました。その時に吉田が「『職業図鑑』でブロックチェーンゲームをやらんといかん」って言い出したんですよ。山田コンペーさんも、『タクティクスオウガ』という昔のゲームの大ファンで、実は「給料BANK」をゲームにしたかったらしいです。

───RPGの戦士とか魔法使いといったクラスを、職業で置き換えたアイディアからだったんですね。

山田:なのでRPGやシミュレーションゲームにするべきか検討したんですが、ゲーム自体はシンプルな方がいいということでカードゲームになりました。

───長くカードゲームを運営していると、新登場のゲームが強くて、過去に課金したカードがゴミになってしまう、いわゆるインフレが起こる懸念があります。ゲームバランスについてはどうお考えでしょうか?

山田:僕らはカードが資産になるという感覚で運営していますので、現状インフレさせていません。例えば同じ強さのカードでも、絵が違うことでNFTの価値が高いまま、唯一無二の資産になります。その作家のファンは買ってくれるでしょう。発行枚数が限定されているアート的な価値があるからこそ、コレクターとして欲しい人がいます。たとえゲーム内で弱くても値段がつきますし、価値を多義的にしていくためにも、NFTプラットフォームが効いてくると思います。それにブロックチェーンゲームのいいところは、価値をキープしたまま、ゲームを飛び越えられるところにあります。たとえばジョブトライブスに飽きたとしても、所有していたカードを新しいゲームのNFTアイテムと交換して、遊ぶゲームを変えることも今後はありえるでしょう。

NFT技術を使えば、作家への無限ロイヤリティが可能になる

───ジョブトライブスでは『南国少年パプワくん』、『大東京トイボックス』など、コミック作品とのコラボが盛んですね。

山田:はい、マンガ家さんたちにIPをお貸しいただいて、我々のカードゲームに登場、NFTカードの売り上げを分け合うというスタイルです。今後もこの流れは引き続きやってきます。

───クリエイターがNFT収入を得られる仕組みを教えてください。

山田:ここで重要なのは、NFTを使ったロイヤリティの無限還元です。Web2時代までのイラストは買い取りが基本ですが、ブロックチェーン技術とNFTがあれば、無限にトランザクション(取引記録)を追いかけて、作家・権利者にマージンを返すことができるんです。

───ユーザー間の売買でも、作家さんに一部還元されるんでしょうか?

山田:実際に僕らはこの2年間で、100人くらいのクリエイターさんに5、6億円くらいお支払いしています。NFTゲームの要であるプレイトゥアーン体験とロイヤリティ無限還元の両方を、僕らはもう既に実現しています。

メタバース事業に参入、第一弾は藤原カムイ氏デザインの「ランドNFT」

───御社では「第1回NFT小説大賞」を開催されていました。オリジナルIPを育てていく戦略もあるのでしょうか?

山田:そうですね。僕らはIPを作る会社でありたいので、パズドラなり、モンストなりといったオリジナルIPを作りたいです。そこで今、我々が注力しようとしているのが「PlayMining Verse(プレイマイニングバース)」というメタバースです。クリエイターとファンを、NFTとトークンを使って繋ぎあわせるプロジェクトになっていまして、第一弾は藤原カムイ先生です。

DEA社、PlayMining Verse第一弾、漫画家藤原カムイ氏デザインの「ランドNFT」発売日が4月27日に決定!

───メタバースというと、VRゴーグルをつけるんでしょうか?

山田:「プレイマイニングバース」にはVRの概念はありません。スマホベースで、スッとその空間にすぐ入れます。マウントディスプレイってやっぱり疲れるじゃないですか。

───疲れます。メガネをかけている私には、なおさらしんどいです(笑)。

山田:今、メタバースという言葉については大きな勘違いが起きています。没入感を重視していて、3D空間である必要があるって思われているんです。ですがメタバースで大事なのは滞在時間だと考えています。どれだけの時間、そこで過ごしているかが大事だと思うので、没入感は重視していません。ちょっとしたスキマ時間にツイッターを眺めちゃう、みたいな感覚の場所にしたくて、Discord(チャットツール)のようなコミュニケーションだけが存在するイメージですね。

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