横浜発、街ぐるみでのイノベーション創出
希望ある持続可能な未来社会の実現へ
2021年11月17日、横浜・関内において、「横浜未来機構キックオフ・イベント」が開催された。 横浜未来機構は、2021年8月に活動を開始。イノベーションを生み出す交流やトライアルを街ぐるみで進めていくことで、持続可能な希望ある未来社会の実現を目指す、イノベーション創出の推進機関である。会員だけでなく非会員も同機構の活動の価値を体感し、連携を深める事を主旨として今イベントが開催。横浜発の起業家やグローバル企業の新事業担当者など、イノベーションに熱意を持った会員たちが横浜の未来について語り合った。
横浜を挑戦者の聖地へ
合言葉はYOXO(よくぞ)
「未来社会へヒト中心のイノベーションとは」をテーマに第一部のトークセッションがスタートした。ファシリテーターはPeatixJapan株式会社の畑洋一郎氏。 はじめに、NOSIGNER株式会社の太刀川英輔氏よりクロスビジョンができるまでの経緯と内容について説明があった。
「YOXO(よくぞ)」とはイノベーションを生み出す活動の合言葉であり、「よくぞ!」と挑戦者を称える褒め言葉である。太刀川氏は「イノベーターが沢山存在する街は、挑戦が褒められる街。変化を生み出す挑戦こそが、みらいの希望をつくる」と語り、YOXOを実現する為の具体的なクロスビジョンとして「みらい体験都市」、「挑戦者応援都市」、「領域越境都市」という三つの柱を立てたと説明した。
実証実験のしやすい街として挑戦者を取り込み、未来を体験できる都市を生み出す事を目的とする第一の柱が「みらい体験都市」である。企業・団体にフィールドを開放する事によって挑戦が容易になるだけでなく、横浜で生活する人々や来街者にとっても、いちはやく新しいサービスを受ける事ができるという利点が生まれるようになる。 第二の柱である「挑戦者応援都市」は「YOXO」の理念にも通じるように、挑戦者が挑戦しやすくなる仕組みを整えることを目標としている。横浜は現在に至るまで、数多くの挑戦者によって発展を遂げた都市である。街ぐるみで支援を行う事によって創造的な子供たちが育ちやすい環境が生まれ、その子供たちが大人になった時にまた新たなイノベーションが生み出されるという循環につなげていく狙いだ。
第三の柱は「領域越境都市」だ。新しいアイディアを生み出す為には、人と人とのつながりが重要である。多種多様な企業・人材の集まる横浜で、領域を越えたクロスオーバーを加速させていく。
イノベーターの特徴として「失敗を恐れないこと」と挙げたのは慶應義塾大学大学院の当麻哲哉氏である。「イノベーションを生み出す為にはトライアル・アンド・エラーが必須。そして、単一的なものの見方から生まれることはない」と話した。
同機構は、挑戦者の応援・領域を越えた融合(クロスオーバー)を加速させるための、プラットフォームとしての役割を担うことになる。当麻氏は「今後この機構から必ず新しいイノベーションが生まれるはずだ」と期待感を募らせた。
「今の時代、自社・業界の慣習にとらわれて新しいアイディアが出にくくなっている。スーパーマンが一人いれば良いというわけではない」と日揮株式会社の坂本惇氏は語る。「多種多様な方と協力をし、事業の垣根を越えれば何か大きな事ができるはず」と、クロスオーバーの重要性を強く主張した。 同氏は横浜を中心とした事業展開にも意欲を見せており、「YOXO(よくぞ)」の挨拶が浸透する時代を目指したいと話した。