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創業エンジニアが残すスタートアップ開発ログ 第2回

KAMEREO INTERNATIONAL PTE. LTD. CTO 東角 比呂志氏

ベトナムで挑戦 非効率な飲食業界を改善するSaaSプラットフォーム

2020年06月16日 08時00分更新

文● 東角 比呂志 編集●ASCII STARTUP

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0→1は、起業家だけでは生まれない。先進スタートアップの創業期エンジニア・CTOは、どのような目線で製品やソリューション開発に取り組んでいるのか。最前線の開発者の生の声から、テックスタートアップの現在を追う本連載。第2回は、ベトナムで飲食店向けBtoB仕入れプラットフォームを運営するKAMEREOの東角 比呂志氏。

KAMEREO導入先であるホーチミンのレストランで投資家と会食した際の写真(手前右が東角・右奥が共同創業者の田中)

 初めまして、東角 比呂志(@HiroshiTkk)と申します。

 現在ベトナムで飲食店向けBtoB仕入れプラットフォームを運営するKAMEREOというスタートアップでCTOをしています。

 もともとは大学卒業後、求人検索サイトを運営する大手企業で検索システムのバックエンドや企業サイトの開発を行なうソフトウェア・エンジニアとして働いていました。本業の傍ら、仕事半分・遊び半分の形で0からプロダクトのアイデアをKAMEREOをともに創業することになるCEOの田中と議論し、個人で開発もしていましたが、KAMEREOの立ち上げにかかわることになり、1年程パートタイム・リモートCTOとして大企業とスタートアップの二足のわらじ生活をして、現在はCTOとして参画しています。

 趣味はフットサル・漫画・麻雀などいろいろありますが、なかでもバー巡りが好きで今の仕事に少なからずつながっていると思います。美味しいカクテルやウィスキーは言うまでもなく、バー独特の雰囲気であったり、バーテンダーさんとの会話などは開発や仕事で煮詰まった頭をリラックスさせてくれます。

非効率な飲食業界を変えるSaaSプラットフォーム

 「飲食業をしている人は本当に時間をかけたいことに、時間を使えていない現状がある」

 KAMEREO共同創業者・CEOの田中卓とは知人を通じて知り合ったのですが、初めて顔を合わせたのはモニター越しでした。リモート通話で何度も「飲食業界は非効率」と熱弁されたのは、今でもはっきり覚えています。田中は以前Pizza 4P’sというベトナムのピザ屋でCOOとして働いており、そこで感じた業界の負を解消しようとしていました。

 僕らはまず取り掛かったのは受発注の効率化でした。日本でも未だにメールや電話、FAXでの受発注が主流であるのですが、ベトナムでも変わりません。このような受発注は、人為的なミスが発生したり、データを一元的に管理できず分析の際に改めてExcelに再入力する必要があるなどさまざまな問題がありました。

 解決すべき問題が決まると、次はどのように解決するかです。実際頻繁に議論したのは、「システム上で発注側と受注側が繋がっている必要があるか」という点でした。この議論自体は会社としてどう市場を攻めるかと深く関わっているのですが、メリット・デメリットを分析しても決めに困ったのを覚えています。つながっていない場合には、独立したツールとして使えるため導入は簡単だがネットワーク効果が低く、逆につながっている場合にはネットワーク効果が高い一方で導入のハードルが高いという一長一短でした。

 結論が出たのは私がベトナム滞在中に宿泊していたAirbnbの部屋で二人で直接議論し、些細なきっかけを元に方針が180度転換したあとでした。結果として双方がつながっている形で始めることで決着しましたが、あの時のことは今でもよく覚えています。

KAMEREOの初期デザインイメージ

 初期のKAMEREOはB2B用のマーケットプレイスが存在し、そこを通して飲食店とサプライヤーが受発注できるというシンプルなものでした。実際にいくつかの飲食店さんに使ってもらうと、「デザインが良くない」「モバイルだと見れない」「これとあれの機能がないと使えない」と辛辣なフィードバックをたくさんいただきました(苦笑)。

 機能面に限れば「レストランごとに異なる価格の設定できないとだめ」「商品の公開範囲を設定できないといけない」「発注時にメモを残したい」など、当初は必須ではないと判断し削った機能の多くが、実務上必須だとフィードバックするユーザさんも少なくはなかったのです。

 このようにBtoB SaaSは実務で使えるレベルになるまでに実装する機能が多く、KAMEREOでもユーザビリティーの改善まで正直なかなか手が回りませんでした。1エンジニアとしては、細かいユーザビリティーの向上にも時間を割いてプロダクトのクオリティーを上げたいと思うのが当然だと思います。しかしCEOを含めビジネスサイドの人間から「この機能が足りないと使ってもらえない」、「あの機能が足りないと売れない」と日々と言われると「今は細かなクオリティーを高めるよりかは、技術的負債を溜めてでも機能追加すべき」と割り切り、ひたすら機能追加しつづけました。

レストラン側のお気に入りページ

 ちなみに、デザインに関しては外部のデザイナーさんとのコミュニケーションに苦労していたということもあり、デザイナーを早い段階で採用しました。デザイナーを早くに雇っていたのは、短いサイクルで日々機能追加をする上で役立ちました。

レストラン側の分析ページ

 以上のように、当初はB2Bマーケットプレイスで食材の購入ができるだけのツールでしたが、ユーザーの声を反映して改善したKAMEREOのシステムの機能をここで説明します。KAMEREOはレストランとサプライヤーがシステムでつながっているため、レストランとサプライヤーにはそれぞれに画面を提供しています。

 レストラン側の発注機能の画面は業務を効率的に行なうために最適化されています。発注時に承認プロセスが存在するレストランには、権限管理により承認なしでは発注できないようになっています。また通常の発注機能に加えてデータをシステム上で分析することができます。この分析ページでは、どのサプライヤーから毎週・月いくら購入しているかや、アイテムごとにどれだけ購入しているかを確認することができます。

 サプライヤー側にはマーケットプレイスに必要な商品の管理機能、受注情報の管理機能があります。日々の業務プロセスに最適化しているため、その日の受注件数・配達件数がログイン後にひと目で分かるようになっています。またユーザーの声から反映したクライアントごとに個別の設定をするページでは、商品の値段や最低注文金額、配達時間をレストランごとに変更することができます。

サプライヤー向けの商品更新ページ

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