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ベトナムで挑戦 非効率な飲食業界を改善するSaaSプラットフォーム

KAMEREO INTERNATIONAL PTE. LTD. CTO 東角 比呂志氏

連載
創業エンジニアが残すスタートアップ開発ログ

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スタートアップならではの技術的負債や新機能への対応

 とはいっても、機能追加をし続けて技術的負債を溜め続けるのも限界があります。すでに辞めてしまったエンジニアが1人で構築・管理していたコンポーネントの動作に不具合が続き、本格的に調査した結果、現在のチームメンバーで運用し続けるのに適していないことが判明したため、次の機能追加の際に再実装することとしました。

 そのコンポーネントが作成された頃はまだ、パートタイム・リモートのマネージメントだったため、現地ベトナムのエンジニアが勝手に1人でゴリゴリ押し進めるのを良しとする風潮でした。現在は人数も5名ほどまで増え、その反省を生かして大きめの変更をする際には、「デザインドキュメント」のような簡易的な実装プランを書いてもらうようしています。また、新たな技術的負債を溜めないよう、ほかのエンジニアが事前にコメントをしてプランを磨くようにしています。既存の技術的負債に対しては、問題が頻繁に発生するコンポーネントに関しては優先度を高めにして直すようにしました。

 さらに昨年の秋ごろからは、受発注プラットフォームサービスとは別に、農家から直接野菜を仕入れてレストランに販売するという事業をはじめました。こちらの事業はKAMEREOのシステムをサプライヤーとして使用しているので、開発陣としては社内にフィードバックをくれるユーザーがいる状況となり開発サイクルがより回しやすい体制となりました。

 現状この野菜事業に特化した機能開発はあまりありませんが、将来的にはオーダー予測から在庫リスクの最適化・野菜配送の最適化などのシステムを開発することも考えています。これはスタートアップの楽しいところの1つですが、常に新しい機能・サービスを作れます。会社が成長すればそのぶんやることが増えて、考えなければいけないことが出てきます。プラットフォーム事業も野菜販売事業もまだまだこれからですが、IT×飲食×ベトナムで領域を深堀りしていきます。

*社内から創業エンジニアへのひとこと

価値を感じて長く使ってもらえるプロダクトのために

 スタートアップの現場では、状況によって開発の要件だけでなく、優先度も変更することも少なく有りません。エンジニアチームには迷惑をかけてしまう事もありますが、きちんとユーザーに価値を感じてプロダクトを長期に渡って使ってもらえるように、時には大きな開発計画の変更もありえます。そんな時でも、きちんと変更の必要性を理解してフレキシブルに対応をしてもらえる点は、事業チームとしては大いに助かっています。

 弊社は、ベトナムをメインターゲットに事業をしていますが、エンジニアチームは日本人、オーストラリア人、ベトナム人と国際色豊かなチーム構成になっています。色々な国の人がチームとして働く事で、お互いに学びの機会が増えている点がとても良いと思っています。

 成長著しいベトナムでは、まだまだ非効率な事がたくさんあり、テクノロジーが解決できる課題がたくさんあります。飲食業界のサプライチェーンの非効率という大きな課題に、日本の高度経済成長期と同じような状況のベトナムで今、チャレンジできている事は最高にエキサイティングだと日々感じています。

(KAMEREO CEO 田中卓)

日本で当然の手法も「本当に正しいのか?」と考え続ける

 スタートアップで働くことは正直大変です。プレッシャーの高い環境で常に価値をユーザに届けなければいけません。しかし、そのような環境でこそ得られるものがあると信じています。

 ベトナムを含む東南アジアのスタートアップでは、毎年6~8%と成長し続けているGDPの一方で、人件費の差もあり日本や欧米とは異なったアプローチがとられることもよくあります。そのため、日本では当然だと思われている手法も本当に正しいのか? と疑いながら、自分たちが信じる手法をトライしていく必要があります。常に考え実行し続けるのは大変ですが、そのような挑戦しがいのある環境を楽しめる方はもっと増えてほしいと思っています。

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