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バイエル薬品「G4A Tokyo Dealmaker 2019 Signing Day」

製薬会社におけるデジタル活用を促進する6社を選定、今後の協業も視野に

2019年11月18日 11時00分更新

文● 笹田仁 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP

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 バイエル薬品は、「G4A Tokyo Dealmaker 2019 Signing Day」を開催(関連記事)。「G4A(Grants4Apps) Tokyo Dealmaker」とは、バイエル薬品が研究開発やビジネスで抱えている課題を複数提示し、それを解決できる技術などを持つ企業を募るプログラム。2016年に「Grants4Apps Tokyo」という名称で開始し、今回で6回目となる。

G4A Tokyo Dealmaker 2019 Signing Day

これまで接点がなかった企業から多くの応募があった

 バイエル薬品が実際に抱えているビジネス課題を解決するデジタルソリューションを募集する「G4A Tokyo Dealmaker」。提示する課題も、同社いわく「かなり踏み込んだ内容」となっている。2018年は2分野10件の課題を提示して企業を募集したが、37件の応募があり、そのうち15件とLOI(Letter of Intent:基本合意書)を締結したという。

 2018年から始まった本プログラムについて、バイエル薬品 オープンイノベーションセンター センター長を務める高橋俊一氏は「これまでバイエル薬品とは接点がなかった企業からの問い合わせや応募がかなり多かった。そして、そのような企業からの提案には非常に興味深いものが多かった」と手応えを感じている様子で語った。そしてG4A Tokyo Dealmakerそのものについて、「新しいものを生み出す上で、非常に大きな力を持っている」と今後への期待をのぞかせた。

バイエル薬品 オープンイノベーションセンター センター長の高橋俊一氏

 今年度のG4A Tokyo Dealmaker 2019では、「(新薬)申請文書作成の作業効率化と質向上」「新薬の臨床試験時に被験者の服薬管理を支援」「造影剤を利用したMRI画像からの診断支援」など、4分野16件の課題を挙げて、解決できる技術などを募集したが、29件の応募があったという。バイエル薬品は、その中でも以下の6社を選定し、LOIを締結。今回の「G4A Tokyo Dealmaker 2019 Signing Day」は、LOI締結企業を発表する場となった。6社はそれぞれ、カッコ内に示したバイエル薬品からの課題を解決する技術やツールなどを提示している。

●株式会社CACクロア(Wordアドオンを活用した申請文書の自動作成支援ツールの共同開発)
●株式会社Pros Cons(AIを用いた製剤設計プロセス効率化ツールの共同開発)
●シミックヘルスケア株式会社(電子お薬手帳を活用した治療薬服薬支援およびモニタリング)
●株式会社スズケン(低重量保冷庫を用いた治療薬の温度管理および輸送方法の検討)
●株式会社ハカルス(AIを用いたMRI画像診断支援ツール)
●株式会社ディビィ(データ活用・解析基盤を活用した製剤設計プロセスの効率化)

 今後バイエル薬品は以上の6社に同社が蓄積しているデータやノウハウを提供するほか、デジタルヘルス分野で活躍するさまざまな人物や業界関係者と交流する機会を提供するという。

少量の学習データで画像解析が可能な「スパースモデリング」

 イベント後半では、バイエル薬品とLOIを締結した企業の中から、ハカルスの代表取締役CEOである藤原健真氏が代表して提案した技術について説明した。ハカルスは「AIを用いたMRI画像診断支援ツール」という課題に応える技術で応募し、選定を受けた。バイエル薬品は、MRI画像など画像診断の分野ではAI、機械学習といった技術が非常に役に立つと期待しており、応募の中には驚くべきものが少なくなかったという。その中でハカルスを選定したポイントは「スパースモデリング」という技術にあったという。

ハカルスの代表取締役CEOである藤原健真氏

 ハカルスの藤原氏によると、スパースモデリングは元々AI(人工知能)の技術ではなく、2000年ごろから、まったく別の用途で利用されているものだという。そして、スパースモデリングの最大の特徴は、深層学習(ディープラーニング)などに比べると、はるかに少ない学習用データで、ほぼ同等の精度で解析できるという点にある。

 深層学習などとは異なり、解析の根拠を人間が解釈できる形で提示できるという点も大きい。機械学習や深層学習では、「結果は出るが、その根拠は分からない」ということになる。これでは、医師間での議論や、患者への説明で困ることが多くある。

 藤原氏は、スパースモデリングについて「学習データから『特徴』を示す画像の欠片を集めて『辞書』とし、辞書の中からできるだけ少ない欠片を使って分析対象の画像の再構築を試みるもの」とシンプルに説明した。解析後にどの欠片をどこに使ったかをすべて説明できるため、人間にも解析結果を解釈しやすいという。

スパースモデリングの仕組みを簡単に表した図

 太陽電池セルの画像検査において、SVM(Support Vector Machine)や、CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)といった機械学習、深層学習のアルゴリズムに比べて、スパースモデリングは1/10以下の量の学習データで、より高い解析精度を達成したという論文を紹介。スパースモデリングの優れている点をアピールした。

 ハカルスはすでに、国内の製薬会社や大学病院と共同で、脳卒中の診断と治療を支援するシステムにスパースモデリングを元にした技術を提供しているほか、ドイツRobert Boschの子会社と共同で、心電データを解析する機器を開発しており、この機器でもスパースモデリングを活用しているという。そして、スパースモデリングの機能を持つソフトウェアをGitHubで公開している。

バイエル薬品 研究開発本部の梶川麻里子氏

 バイエル薬品 研究開発本部の梶川麻里子氏は「1つの会社がバリューチェーンの最初から終わりまで持つということはもはや不可能になっていると考える。バイエル製薬はG4A Tokyo Dealmakerで、積極的にパートナーとなる企業を探している」と語っている。顧客が求めるものを速やかに提供するには、他社との協業、オープンイノベーションが欠かせないということだろう。バイエル薬品は今後も同様の企画を開催していくとしている。

(提供:バイエル薬品)

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