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「NTTデータ 豊洲の港から」イベントレポート 第14回

オープンイノベーションの海を作りたい!豊洲の港から世界のプラットフォームに

2019年08月30日 11時00分更新

文● MOVIEW 清水

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⼤企業とスタートアップの連携は、やはり⼈に帰結する

——シリコンバレーにNTTデータの席があるという話が出たところで、Plug and Playさんの事例などをお教えいただけますか?

Plug and Play Japan社 チーフ・ストラテジー・オフィサー(CSO)の内木遼氏

内木:そうですね、弊社はグローバルに30拠点を設けてアクセラレーションプログラムを運営していますが、例えばドイツのシュトゥットガルトではモビリティ関連のプログラムをやっています。ここでは毎年2回プログラムを回していて、ダイムラーとポルシェがそれぞれ10〜20のPoC(Proof of Concept)を回しています。その中の成功例としては、ダイムラーのAクラスに導入されたソフトを開発したwhat3wordsとの協業事例です。地球の表⾯を3m×3mのグリッドに分けて住所(場所)を再定義することによって、正確に⾏きたい場所を特定できます。これはダイムラーの役員がコミットして、スタートアップと⼆⼈三脚で進め、8ヵ⽉で実現した事例です。

——Plug and Playさんはその中でどのような役割を担っていますか?

内木:我々は企業と⼀緒に、スタートアップと連携する体制を作ることが役割です。企業のニーズに合うようなスタートアップをグローバルに探して紹介する一方で、アクセラレーションプログラムを通じて、協業を支援しています。

——そのときにうまくいくポイントというのはなんでしょう。

内木:企業は、役員、イノベーション推進部⾨、既存事業部⾨といったレイヤーがあって、さらに社内⾵⼟というものがあります。そうした中で、十分条件ではないですが、成功するための必要条件としては、役員層のイノベーションに対するコミットだったり、事業部門との連結ピンになるような窓⼝をイノベーション推進部門に置くことや、スタートアップとのPoCを行なうための予算をつけてもらうといったことだと思います。プログラムを始める前にそうしたベストプラクティスを共有して社内体制作りを支援することが、例えば先ほど⾔ったダイムラーでの⼆⼈三脚体制となって成功事例につながっています。

残間:それはよくわかりますね。先ほどお話したグランドフィナーレの後、5ヵ月で事業化できた案件は、ダイムラーの事例によく似ています。その分野の役員がイノベーションにすごく理解があって、その下で事業を引っ張るソリューションリーダーがスピード感を持っていて社内調整がとてもうまい。さらにオープンイノベーション担当のアクセラレーターがベンチャー企業とつなぐ部分をメッセンジャーなどを使ってほぼコミュニケーションをリアルタイムで進めた。このように役員とソリューションリーダー、アクセラレーターのパッションが直列に並んだ典型的な成功事例だと思っています。

——企業とスタートアップが組むとスピード感が合わないという話はよく聞きますが、その事例はとても早いですね。

残間:そうですね。今回の事例でも、ステレオタイプ的に大企業とベンチャー企業のスピード感が違うというのは、決してそんなことはないとわかります。制度とか風土ということもありますが、やはり人なのではないかと。そこに必要な人を並べられるかが重要だと思います。

内木:残間さんがおっしゃるとおり、最終的には⼈に帰結するのかなと思います。我々の場合、企業の窓⼝をご担当いただく方のペルソナを設定させていただいて、年齢層、事業部門のキーパーソンとのつながり、フットワークの軽さなどの要件を設定しています。もちろん全ての条件を満たす⼈というのはなかなかいないので、⼀⼈でできないようであればチームを組んで条件を満たす形にするのがいいと思います。

残間:実際そこまでやらないとなかなか成功までいかないですね。とてもよくわかります。大企業の中には、自社の中にそのような人材がいないと言われることもよく聞きます。しかし、大企業の中には必ず向いている人がいると思います。人によりますが、決められたことをやるのが好きな人もいれば、新しいことを切り拓くことが好きな人もいます。この後者をどう開花させるかというのが大きなポイントです。まあ、そういう人は企業に関係なく、黙ってても自分の意思で動いていたりしますが、そういう人に我々のような組織からお題を出したときに食いついてくるかどうか。食いついてくれば間違いなくおもしろいことになります。

——ただ、企業という組織の中だといろいろ動けないということもあるのではないでしょうか。

残間:そうですね。その上で次は、自分のやりたいことと、組織内で評価されたいことの天秤になると思います。チャレンジングな制度改正が行なわれていれば、動きやすいかも知れませんが、イノベーションというのは、そもそも最初からそんなに儲かるものではない(笑)。だから組織の中で評価されたい人は既存のビジネスに流されがちになりますね。しかし、何割かは自分が自分でビジネスを企画したい、立ち上げたいと考える人もいるでしょう。そうした人たちのモチベーションを上げる仕掛けがあるとずいぶん変わると思います。

内木:スタートアップと連携してアグレッシブに協業を推進するのは最終的には⼈になるので、その⼈をどうやってアサインするのかは⾮常に重要ですね。ただ⼤企業では、そうした⼈がいても⼈事ローテーションで部署異動になってしまったり、役員クラスでも⼈が変わるので、イノベーション活動を持続的な動きにできないという難しさがありますね。いい⼈材を育てても、違う部署に⾏ってしまったりするので、後進をどう⾒つけて育てるかは課題じゃないでしょうか。

残間:我々もそこは大きな課題だと思っています。「自分はこれをやりたい!」と進めても、組織からメインのビジネスとは違うから他の部署へ引き継がないと行けないとか、人が変わるということがよくあります。これによって起こるのが魂の一子相伝はできないということです。人の案件を引き継ぐと、どうしても「前任の案件だから」とか「失敗しても前任のせい」といった感じになって、魂が乗り切らない。

内木:それはよくありますね。退職者の仕事を引き継いでも、自分で進めてきた仕事のほうを優先したくなりますし。

残間:ですので、我々として気をつけているのは、事業リーダーに最初から入ってもらって、後々まで続けていけるような形にすることです。新規ビジネスを作る人だけでビジネスを立ち上げて、立ち上がったら事業リーダーに引き継ぐという形でやるとダメで、最初から事業リーダーが入ることでその案件に立ち上げから関わってもらい、このビジネス企画を作ったのは自分だからという形にしていくのが、成功への大きなポイントですね。

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