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北海道・札幌で加速する前例のない実証実験 NoMaps2019始動

東京で行われた公式ミートアップの様子を速報レポート

特集
北海道・札幌が未来に近づく5日間「No Maps 2019」レポート

 北海道札幌市を舞台にビジネスカンファレンスや技術展示、映画に音楽と多様なイベントを同時開催するNoMapsが、今年も開催される。今回は、東京で開催された公式ミートアップ「NoMaps the Meeeeeeeet! Vol.2」の様子をお届けしたい。本イベントまで4ヵ月近くあり具体的な内容の発表は多くなかったものの、新たなステップに進んだことを感じさせる発表もあり、回を重ねNoMapsが確実に進化していることを感じた。

通底するコンセプトはそのままに、新たなトライを始めたNoMaps2019

 ステージに立ったのは、No Maps 実行委員会で事務局長を務める廣瀬 岳史氏と、グラフィックカタリストでありNoMapsアンバサダーでもあるタムラ カイ氏。司会進行役の廣瀬氏は冒頭から、「まず乾杯から始めたいと思いますので、お手元にお飲み物をご用意ください」と呼びかけた。

 会場では、サッポロビール黒ラベルと、サッポロクラシック 夏の爽快が用意され、来場者にふるまわれていた。サッポロクラシックといえば、北海道限定販売の銘柄として有名。今回用意されたのはサッポロクラシック 夏の爽快は、数量限定で販売されている季節商品だ。

「かけ声は、NoMaps! でお願いします」(廣瀬氏)ということで乾杯。the Meeeeeeeet! がスタート。

 第0回とされる2016年から数えると、4年目に突入したNoMaps。札幌や北海道を舞台に実証実験を行ない、新しいテクノロジーを実装に導いていきたいというのが変わらない理念だ。NoMaps 2019ではそれを踏まえたうえで、新たにロゴやキャッチコピーを作成している。

 NoMaps 2019のコンセプトは、「ベースキャンプ」。キャッチコピーは「未来という名の最高峰が僕らの挑戦を待っている」。

 高い山に登る際に、登頂の手前に作られる、足がかりとなる場だ。NoMapsをベースキャンプとして、未来という未踏の地を目指して欲しいという思いが込められており、NoMaps 2019のロゴも山をイメージしたものになっている。

 「NoMaps自体は、登るべき山ではありません。ここがベースキャンプであり、挑むべき最高峰は挑戦者がそれぞれに持っているはずです」(廣瀬氏)

通底するコンセプトはそのままに、新たなトライを始めたNoMaps 2019

 具体的なセッション内容などはまだ確定していないものの、現在打診中の登壇者が数人紹介された。その中でも大きくピックアップされたのが、マサチューセッツ工科大学(以下、MIT)教授 MITメディアラボ副所長 石井 裕氏のスペシャルスピーチだ。石井氏は東京生まれの札幌育ち、北海道大学を卒業後に渡米し、1995年からMITメディアラボの教授を四半世紀に渡って務めている。

 「北海道の人とグローバル人材が入り交じって情報交換できるのが、NoMapsの魅力のひとつ」(タムラ氏)

 また、昨年も多くの交流が札幌の街中で行なわれた展示は、「Touch The NEW Street & Square」と紹介され、例年通り札幌駅から続く地下歩行空間「チカホ」を展示会場に使うほか、札幌駅からほど近い場所に昨年オープンした創世スクエアも展示会場として加えることで、Street & Squareと広がりを見せる。

 チカホは1日約5万人が通行する目抜き通りであり、創世スクエアは札幌の新たな情報発信基地として注目されており、どのように連携していくのか楽しみだ。

 エンターテインメント方面では、今年も札幌国際短編映画祭が期間中に開催されるほか、これまでは散発的に行われていた音楽イベントを集中的に開催することでより盛り上げようというNoMaps Music Weekendが発表された。NoMaps 2019のメイン開催期間は10月16日から20日だが、NoMaps Music Weekendは1週早い10月12日・13日に開催される。

 「札幌国際短編映画祭はNoMaps開催以前から続いていて、個人的に楽しみにしているイベントのひとつなんです。開催期間中、短編映画が上映され続けているので、ちょっと空いた時間にふらっと立ち寄って偶然観た映画に感動して涙したり、楽しい発見があります」(タムラ氏)

 今年の札幌国際短編映画祭に寄せられたショートフィルムは、過去最高の3,661本。より期待も高まるというものだ。

 エンターテインメントといえば、「札幌の謎 Supported by 札幌市交通局」という謎解きイベントの発表もあった。具体的な内容についてはまだ発表できる段階にないとしながらも、廣瀬氏は次のような言葉でNoMapsの意義をからめて語ってくれた。

 「地下鉄の整備場って、普段は一般人が入れませんが、今回そこを開放してイベントをしたいと思っています。謎を解くことで札幌のことを知ってもらうのも目的のひとつですが、地下鉄整備場という、一般には開放されない場所でイベントを開催するという前例を作るのも目的のひとつです」(廣瀬氏)

普段使えない場所を使って前例を作り、実証実験の後押しをするのが本来の目標

 ここまで10月に開催されるNoMaps 2019のイベントに注目して情報をお届けしてきたが、廣瀬氏によれば、最高峰への挑戦者からの相談は通年受け付けており、関係各所との連携や実証実験など、NoMapsは通年活動しているとのこと。

 「初年度に自動運転車の公道走行実験をやったように、他では難しい実証実験を後押ししていくことで、札幌、北海道を実証実験の聖地にしたいと考えています。そのためにあるのがNoMaps Future Labであり、企業や大学からの相談をいつでも受け付けています」(廣瀬氏)

 先に紹介した、地下鉄の整備場を開放してイベントを開催するのも、実証実験に必要なネゴシエーションをスムーズにするための取り組みのひとつ。前例があれば、双方にとってのメリットもわかりやすく、実証実験実現へのハードルは格段に低くなる。また、3年間の活動を通じて「あの大学のテクノロジーとあの企業のノウハウが組み合わされば新しいものを作れそう」と感じることが増えたという廣瀬氏。

 実際、昨年筆者がレポートしたとおり、稚内市の企業であるカタクラフーズと、北海道立総合研究機構、さくらインターネット、オラクルのタッグによるサクラマスの養殖実験も実現している。この取り組みは国からも認められ、稚内市は経済産業省からIoT推進ラボに認定され、市のIoT推進教育を加速させているという。

当日のパーティーメニューには、サクラマスを使ったものも

 実証実験をサポートしているのはNoMaps事務局だけではない。北海道全域に200店舗を展開するドラッグストアチェーン「サツドラ」を抱えるサツドラホールディングス株式会社の代表取締役社長 富山浩樹氏からのビデオメッセージも会場では公開された。同ビデオ内で富山氏は、「200のリアル店舗を持つサツドラも協力するので、札幌、北海道を実証実験に活用してみませんか」と問いかけていた。

 イベント後半はネットワーキングタイムとなったが、その前に廣瀬氏から重要な注意も。「NoMapsには、『No Dress Code』というドレスコードがあります。なのに昨年はスーツ姿の人が多く目につきました。もちろん、スーツが一番居心地がいいという人はそれで構いませんが、ほとんどの人はもっとラフな格好の方が楽でしょう? 10月後半の札幌は冷えますので、楽な格好で来てください」(廣瀬氏)

 タムラ氏も「No Dress Codeってことでラフな格好で行ったら、私が浮いてしまいましたからね。みなさん、ぜひラフな格好で」とこれに呼応した。

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