このページの本文へ

夢の技術! 自動運転の世界第5回

日産の次世代自動運転技術「プロパイロット2.0」

2019年05月21日 09時00分更新

文● 鈴木ケンイチ 編集●ASCII編集部

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日産のプロパイロット2.0の特徴とは

 5月16日、日産は次世代の運転支援システム「プロパイロット2.0」を発表した。今秋からスカイラインに搭載し、その後は搭載車種を拡大し、世界展開を考えているという。ちなみにスカイラインは現行モデルのマイナーチェンジになるようだ。

 日産はこれまで単眼カメラを使った「プロパイロット」を2016年に「セレナ」に初採用し、世界7モデルに展開、累計35万台販売してきた。これまでの「プロパイロット」は、いわゆるステアリング・アシスト付きのACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)であり、自動運転技術で言えばレベル2に相当する。そして次世代となる「プロパイロット2.0」は、当然のことながら、その機能がさらに進化していた。

高速道路で通常走行時に「ハンズオフ」が可能に

 「プロパイロット2.0」の最大の特徴は、「ハンズオフ」できることだ。いわゆる「手放し運転」が許される。もちろん、いつでもどこでもできるわけではない。大前提は、ドライバーが監視役を務め、いつでも運転操作を交代できる状態であること。つまり自動運転技術レベルでいえば「プロパイロット2.0」は、レベル2に該当するものであった。

ドライバー監視システムにより、ハンズオフが可能に

 そして、「ハンズオフ」可能なシチュエーションは、高速道路の本線、同一車線上となる。ジャンクションやトンネル内、急なカーブ、料金所や合流地点などは不可なので、事前にシステムから警告が出て、ドライバーがハンドルを持って運転操作を行なう。車線変更のアシストも行なうが、このときもハンドルに手を添える。ドライバーを監視する機能があって、居眠りやよそ見をしており、警告されても監視体制に戻らないようであれば、最終的に緊急停止機能が働くという。また、法定速度を検知する機能を備え、「ハンズオフ」走行時は法定速度内をキープする。

 「ハンズオフ」といえば、すでにBMWが新型「3シリーズ」などに搭載すると発表しているが、BMWは「時速60㎞以下」であり、主に渋滞時がターゲットになる。一方、日産の「プロパイロット2.0」は「制限速度内」で、通常走行が主な使用状況。通常走行時の「ハンズオフ」という意味では、「プロパイロット2.0」が世界初となるのだ。

センサー、マップ、ドライバーモニターという3つの技術

 「プロパイロット2.0」を実現させる基本の技術は「センサー」「マップ」「ドライバーモニター」の3つだ。センサーは3眼カメラ(画角150度/54度/28度)、4個のアラウンドビューモニターカメラ、フロントレーダー、4個のサイドレーダー、12個のソナーを備え、道路の白線、標識、周辺車両を検知する。3眼カメラは、発表会で使われた説明写真を見るかぎり、モービルアイ社の製品のようだ。

自動車に付けられた多数のセンサー

 マップとして、高速道路の形状をcmレベルでデータ化した3D高精度地図データを使用する。データには、道路のレーン数や形状だけでなく、速度標識や案内標識の情報も含む。走行中は左右でcm単位、前後で数m単位の誤差内で車両位置を認識するという。カメラが道路の白線を見失ったときは3D高精度地図データが補完するそうだ。3D高精度地図データは、正確性が重要になるため、年に3~4回のアップデートがコネクテッド機能を使ってなわれる。つまり、通信機器を備えた車両というのが「プロパイロット2.0」の条件となるのだろう。そして、室内のダッシュボード上にはドライバーモニターを設置。これで「ハンズオフ」時のドライバーの状態を監視するのだ。

あらゆる角度をセンサーで確認する

 日産の開発陣曰く、「プロパイロット2.0のシステムは、現在のところ世界最高レベルである」という。確かに、旧世代の「プロパイロット」と比べると、内容は非常に高度化されており、それに見合うだけの精度の高さも実現しているはずだ。しかし、一方で「だからこそ、この先は時間がかかる」とも言う。普通に考えれば、「この先」というのは自動運転レベルでいう「レベル3」だろう。システムが稼働しているときは、ドライバーが「ハンズオフ」だけでなく「アイズオフ」も許されるのがレベル3だ。しかし、それを実現するには、もう少し時間がかかるということなのだろう。レベル3のハードルは、やはり相当に高いということ。もう少し、待つ必要があるようだ。

ハンズオフの状態ハンズオンの状態ハンズオフ状態での車線変更アシスト

筆者紹介:鈴木ケンイチ


 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。



カテゴリートップへ

この特集の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

最新記事

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ