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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第510回

世界最高速スパコンFrontierがAMD製CPU/GPUを採用 スーパーコンピューターの系譜

2019年05月13日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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もう1つのPre-Exascaleシステム
Trinityの後継機「Crossroads」

 次がロスアラモス国立研究所/サンディア国立研究所のCrossroadsであるが、これはTrinityの後継である。

 このTrinityは過去の連載で触れていないのだが、ローレンス・リバモア国立研究所のSequoiaの次に、ATCのシステムとして構築されたもので、HaswellベースのXeon+Knight LandingベースのXeon Phiの組み合わせ(どちらも9500ノード以上)でピーク42.2PFという処理性能を持つシステムである。

 このTrinityが、前ページに掲載したECPのロードマップの画像で“Secure”と書かれていることからもわかるように、これは核関連のアプリケーションを稼働させるためのシステムだが、こちらも2021年中に退役が予定されており、Crossroadsはこれを更新するためのものである。ただ2018年秋に要求仕様書が出ているはずだが、今のところ具体的な動きが見えていない。

Exascaleシステム第1弾の「Aurora」は
インテルのXeon ScalableとXe GPUを採用

 Pre-Exascaleの動向を一通り説明したところで、いよいよExascaleの話をしよう。まず第1弾がAuroraであるが、こちらは連載505回でも簡単に紹介した。

 将来世代のXeon Scalable(おそらくIce Lakeの次か、ひょっとするとさらにその次)とXe GPUを組み合わせるという話になっており、全体で1EF以上の性能とされる。

 ただこの1EFの数え方が、次のFrontierもそうなのだがいまいち怪しい。というのは、これまでピーク性能は通常FP32を前提にしていたのだが、どうもこのExascale世代はFP16に減ってる可能性がある。

 FP16で1EFということはFP32で500PFという計算になるから、Summit/SierraやPerlmutterなどよりは性能が高いのだろう。

 その第1弾が発表された3月18日から2ヵ月たたずに、ピーク性能で1.5EFのFrontierの契約が発表されたというわけだ。

Exascaleシステム第2弾が「Frontier」
インテルではなくAMD製プロセッサーを採用

 さて、現状ではあまりFrontierの情報がない。まずプロセッサーであるが、カスタム版のEPYCが利用される。一方のGPUであるが、これは将来のRadeon Instinctが採用される。

HPCおよびAIに最適化されたEPYC、というあたりでFP16が結構多用されそうだと読み取れる

これは現行のRadeon Instinctの写真だが、実際には次世代もしくは次々世代のものになるだろう。現実問題としてはNAVIの次の“Next-Gen”になると思われる

 現行世代ではない、という理由は下の画像のとおり。Radeon Insinct同士だけでなく、Radeon InstinctとEPYCの間もInfinity Fabricで接続されると明示されているからだ。

おそらくこの世代では、PCIeもGen 5(32GT/秒)になり、x16レーンを使うと64GB/秒の帯域が確保できる。このレーンをそのまま使ってInfinity Fabricを通し、EPYCとRadeon Instinctが接続されると思われる

 現行世代のRadeon InstinctでもInfinity Fabricで接続可能だが、プロセッサーとの接続はPCIe 4.0となっている。

 現実問題として現行のEPYCの場合、Infinity Fabricをプロセッサーの外に出せるのは2ソケット構成で相互接続する時だけで、GPUの接続は想定していない。

 同様にRadeon Instinctの方も、PCIeレーンをCCIXで利用することは可能だが、Infinity Fabricでの接続はサポートしていない。おそらくこれが可能になるのは“Next-Gen”、つまりNaviの次以降になるものと思われる。

 そもそも先にも書いたがPerlmutterの時点でプロセッサーにはMilanを想定しているわけで、納入が1年遅いFrontierはMilanの次であっても不思議ではない。

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