最新パーツ性能チェック 第234回
レイトレーシングなしでも圧倒的3D描画性能!
Turing無双!TITAN Vをも超える「GeForce RTX 2080 Ti/2080 Founders Edition」速攻レビュー
2018年09月19日 22時00分更新
デュアルファンクーラーなら冷却も心配無用
レイトレーシングやDLSSがなくても、RTX 20シリーズは十分高性能なGPUに仕上がっている。だが発熱はどうだろう? そこで「Assassin's Creed: Origins」を15分程度ゲーム状態で放置した時のGPU温度やファンの回転速度等を「HWiNFO」で追跡してみた。室温は約26℃である。
まず驚くのはRTX 2080 FEの冷えかただ。Pascal世代までのリファレンスクーラーは外排気できるのが魅力だったが、負荷をかけるとすぐTemp Limitの83℃近くまで上がりきった(理由は後述)。だが、今回のFEのクーラーは高負荷時でも73℃。NVIDIA Scannerを使って軽くOCをかけた程度でもまったく動じない。
しかし、さすがにTDP260WのRTX 2080 Ti FEでは定格時で76℃にとどまるが、軽めのOCでも83℃に到達してしまい、クロックが下がり始めてしまう。TDPが大きいだけにRTX 2080 Tiはいかに冷えるクーラーを備えるかが運用のカギになりそうだ。
GPUクロックはRTX 2080 Ti FEのOC状態を除けば、非常に安定していた。特にRTX 2080 FEでは定格なら1905MHzで安定、NVIDIA ScannerによるOCでも2010MHzで安定するなど、発熱量の低さが高いOC状態の維持に一役買っている。
そして、今回のFounders Editionのファンは今流行の準ファンレスではなく常時回転するタイプだ。アイドル時~低負荷時は1530rpm前後だが、その後は負荷に応じて高回転になる。で、今回妙だと感じたのは、NVIDIA ScannerでOCしたRTX 2080 Tiのファンの回転数が常に一定だったこと。
ドライバーの不具合なのか、Precision X1の不具合なのかまでは突き止められなかったが、ファンがしっかり回ればRTX 2080 Ti FEのOC状態の温度も相当低下するものと推測される。ただなにぶん評価用のベータ版ドライバーやツールでのテストだったので、まだ不具合が隠れていることは十分考えられる。製品版では修正されていることを期待したい。
まとめ:未来への投資をどう考えるか、それがカギだ
以上でRTX 20シリーズのレビューは終了だ。従来のGeForceからは変更点がありすぎる上に、細部がハッキリしない部分も多い。RTXにしてもVirtualLinkにしても、現時点では対応機材やゲームが市場にほとんど存在しないといういう点で、かなり未来への投資色の強い製品になったことは否定できない。
今はフルに活かせない機能のためにGTX 1080 Tiより高いボードを買う、ということをどう捉えるかで、このRTX 20シリーズの評価は変わってくる。
もちろん、将来RTX対応ゲームが十分増えてから乗り換えるのも手だし、ひょっとしたらRTX2みたいな次世代コアが出てから乗り換えても遅くないかもしれない。だがここで出しておかないと、誰も遊んでくれないので進歩ができなくなる、という決断をNVIDIAがした、ということなのだろう。
自動運転やAIといった分野に注力し、ゲーマーのことなんか忘れていたかのように思えたNVIDIAだが、そうした分野で培ったAIやTensorコアといった技術を、しっかりとゲーマー向けプロダクトにフィードバックし、GPUを新たなステージへ押し上げる(そして、これはライバルが容易に追従できない絶対有利な領域でもある)と考えれば、胸が熱くならないはずはない。NVIDIAがどうゲーム業界をリードするのか、今後の製品供給をどうするのかなどの問題もあるが、ひとまず新GPUの誕生を祝いたい。
そして、RTX 20シリーズの評価は、今回のようなファーストレビューだけで固めることはできない。HDR環境やレイトレーシングやDLSS対応ゲームなど、今後も機会を見て評価を続けていこうと考えている。
■関連サイト
NVIDIA GeForce RTX 20シリーズ
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