DirectX 12対応のディスクリートGPUを
2020年にリリース
さてもう1つのネタは、連載464回の最後で触れた話である。今年7月にインテルはIntel GraphicsというTwitterアカウントを作成しており、最初のツイートがSIGGRAPH 2018に合わせたものである。
We will set our graphics free. #SIGGRAPH2018 pic.twitter.com/vAoSe4WgZX
— Intel Graphics (@IntelGraphics) 2018年8月15日
情報としては皆無なのだが、DirectX 12対応のディスクリートGPUを2020年にリリースすることを改めて発表した形になる。実際にどうなるのか、はまだ完全にヤブの中ではあるが、インテルの10nmプロセスなのか、あるいはTSMCかどこかの7nmを使うとしても、2020年中に出荷するとなると来年の6月くらいまでには論理設計が終わっていないと間に合わない。残されている時間はあまりないわけで、このあたりも今後の展開が気になる部分ではある。
8コアのCoffee Lake「Core i9-9900K」が
9月に450ドル前後で発売?
さて本題は8コアのCoffee Lakeである。既存のCoffee Lakeの延長にあり、コアは8+2(8コア+GT2)になるようだが、ラインナップがまたいろいろ入れ替わった。トップエンドはCore i7ではなくCore i9になるようで、Core i9-9900Kがラインナップされる形になる「らしい」。
ポジション的には、ぱっとしなかったKaby Lake-XのCore i5-7640X/Core i7-7740Xの後継ということになるが、これと異なるのはパッケージがLGA 2061ではなく、既存のLGA 1151v2になるらしいということ。せっかく昨年Core-Xというブランドをプラットフォーム(ソケット)で分離したにも関わらず、ここにきてまたごっちゃになってしまった格好だ。
このCore i9-9900Kは8コア/16スレッドの構成になる。ちなみにMax Turboでの動作周波数はCore i7-8086Kと同じ5GHzとされている。価格は450ドル前後とされており、Core i7-8086Kより少しだけお高めという価格設定は、インテルの中ではリーズナブルだとは思うが、Ryzen 7 2700Xの329ドル(クーラー付き)とはだいぶギャップがあるあたり、それなりの性能差を示さないとやや厳しそうだ。
その下にあたるのがCore i7-9700Kであるが、こちらは構成的にはCore i9-9900Kと同じ8コアながらハイパースレッディングを無効化し、8コア/8スレッドとされる。これだと、アプリケーションによってはCore i7-8700Kよりも遅くなりそうな気がするのだが、そのあたりの整合性はどうするつもりなのだろうか?
また3次キャッシュを12MBに削減、という話が伝わってきているが、筆者的にはこれにやや疑問がある。こちらはMax Turbo時には4.9GHzということになっている。価格は350ドル前後だそうで、こちらが実質的にはRyzen 7 2700Xの競合となるのかもしれない。
大量にラインナップされるのがCore i5である。これは実質的に、Core i7-8000シリーズをそのままCore i5に落としてきたような形である。構成は6コア/12スレッドで、トップエンドのCore i5-9600Kは定格3.7GHz/Max Turbo時4.6GHzで、ほとんどCore i7-8700Kと違いがない。強いて言えば3次キャッシュをさらに9MBに削減した程度だろうか。このCore i5-9600KのみTDPは95Wとされており、Ryzen 5 2600Xあたりがちょうど競合だろうか。価格的にも250ドル前後だそうで、ほぼ同等(Ryzen 5 2600Xは229ドル)に設定されている。
この下に、Core i5-9600(定格3.1GHz/Max Turbo 4.5GHz)、Core i5-9500(定格3GHz/Max Turbo 4.3GHz)、Core i5-9400(定格2.9GHz/Max Turbo 4.1GHz)、それと低消費電力タイプのCore i5-9400T(定格1.8GHz/Max Turbo 3.4GHz)が用意されている。
Core i5-9400TのみTDPは35W、他は65Wに設定されているが、こちらについての価格はまだはっきりしておらず、そもそも同じ日に発売されるかどうかも怪しい(少し後にずれる可能性もある)。
ローエンドはCore i3-9100(定格3.7GHz/Turbo無効)、Core i3-9000(定格3.6GHz/Turbo無効)とCore i3-9000T(定格3.2GHz)で、TDPは65W/35Wという構成。このCore i3-9000シリーズは、既存のCore i3-8000シリーズの動作周波数を若干引き上げた程度である。
ただCore i3-8300/8300Tは3次キャッシュが8MB構成になっており、6MBのものと8MBのものが入り混じる形になっていたのが、Core i3-9000シリーズでは全製品6MBに統一されている。こちらも価格は現時点では不明で、登場時期も若干後になる可能性がある。
現時点ではPentiumおよびCeleronに関しては、この第9世代の製品を出す、という話にはなっていない。第9世代とは言ってもこうしたローエンドでは実質的には第8世代のCoffee Lakeと違いがなく、単に動作周波数を多少上げた程度の違いでしかない。
このあたりのグレードになると、実質的な競合製品はRyzen 3 2200Gで、実売価格は(税抜で)100ドル弱であり、Pentium G5600はこれを下回る90ドル弱と価格競争力的には十分であり、無理にSKUを増やす必要はないということだろう。
話を戻すと、この第9世代は第3四半期末までにはアナウンスがあるという話を聞いており、おそらくは9月に発表があり、一部の製品(Core i9-9900K、Core i7-9700K、Core i5-9600K)は9月中に出荷開始、残りは10月にというあたりだと思われる。

この連載の記事
-
第852回
PC
Google最新TPU「Ironwood」は前世代比4.7倍の性能向上かつ160Wの低消費電力で圧倒的省エネを実現 -
第851回
PC
Instinct MI400/MI500登場でAI/HPC向けGPUはどう変わる? CoWoS-L採用の詳細も判明 AMD GPUロードマップ -
第850回
デジタル
Zen 6+Zen 6c、そしてZen 7へ! EPYCは256コアへ向かう AMD CPUロードマップ -
第849回
PC
d-MatrixのAIプロセッサーCorsairはNVIDIA GB200に匹敵する性能を600Wの消費電力で実現 -
第848回
PC
消えたTofinoの残響 Intel IPU E2200がつなぐイーサネットの未来 -
第847回
PC
国産プロセッサーのPEZY-SC4sが消費電力わずか212Wで高効率99.2%を記録! 次世代省電力チップの決定版に王手 -
第846回
PC
Eコア288基の次世代Xeon「Clearwater Forest」に見る効率設計の極意 インテル CPUロードマップ -
第845回
PC
最大256MB共有キャッシュ対応で大規模処理も快適! Cuzcoが実現する高性能・拡張自在なRISC-Vプロセッサーの秘密 -
第844回
PC
耐量子暗号対応でセキュリティ強化! IBMのPower11が叶えた高信頼性と高速AI推論 -
第843回
PC
NVIDIAとインテルの協業発表によりGB10のCPUをx86に置き換えた新世代AIチップが登場する? -
第842回
PC
双方向8Tbps伝送の次世代光インターコネクト! AyarLabsのTeraPHYがもたらす革新的光通信の詳細 - この連載の一覧へ











