札幌・北海道が未来のテクノロジーで染まる!「No Maps 2018」10月開催
No Maps 2018 第1弾 記者発表
最先端テクノロジーやビジネストレンド、さらには映画や音楽といったクリエイティブも巻き込んだコンベンション「No Maps」が今年も札幌・北海道で開催される。主要事業が発表された「No Maps 2018 第1弾 記者発表」の模様をお届けする。
北の大地を熱く盛り上げるテクノロジーの祭典が再び!
自動運転車が日中、札幌市街中心部を走り、夜になると数々のミートアップやライブが催され交流が行なわれる――2017年10月に第1回が本開催となった「No Maps 2017」は、これまでにない試みとして北の大地を盛り上げた。同イベントは、テクノロジーやクリエイティブを切り口に、数々の展示や実証実験、カンファレンスやミートアップ、そしてライブや映画祭が同時多発的に街中で開催されるというものだ。
その第2回がこの秋、10月10日~14日の会期で開催される。No Maps最大の特徴は、開拓の地である北海道を舞台に、本格的な社会実装を目指したテクノロジーの実証実験が地域と連携して可能な点にある。昨年度は自動運転のほか、シェアサイクル導入やブロックチェーンを使った実証実験も行われたが、今回も新たな社会実装を目指した取り組みが発表された。
漁業×AI・IoT、ANA×デジタル、渋谷×札幌での社会実装を予定
北海道ならではの取り組みとして発表されたのが、日本オラクルが技術協力、機材や通信をさくらインターネットが協力するサクラマス養殖事業だ。味や形が良く、高価格で取引されているサクラマスを、機械学習とIoTで養殖業務の管理を行なう取り組みで育てる。
サクラマスは育てるのが難しく、陸上養殖はすでにあるが、海水を冷却して20度以下にしなければならないため、夏期は生育が難しい事情がある。だが、実証実験を行なう稚内は暑くても水温は22度。北海道・稚内ならではの事業として特化ができるのが狙いだ。
続いては、ANAデジタル・デザイン・ラボが「Beyond Tokyoプロジェクト」を説明。航空会社として「破壊的イノベーション」を意識し、さまざまなテクノロジーを活用した取り組みを行う同社は、No Mapsの会場でVRを利用した旅行を活性化するバーチャルトラベルコンテンツを披露する。
またそのほか、ANAがXPRIZE財団とともに展開する「ANA AVATAR XPRIZE」についても札幌にデモとして持っていく想定だという。同プロジェクトでは、月面への民間ロボット探査機着陸レースなどと同様の賞金レースで、VR・AR(視聴覚)、ハプティクス(触覚)、ロボティクスなどの複合により、遠隔地にいる「アバター(=分身)」を用いて、物理的に物を動かしたり触ったりできる最先端テクノロジーでの社会課題解決を目指している。
札幌の外との取り組みとしては、「まちに、街を、インストール」と題して、ベンチャーの聖地・渋谷において産官学で設立された「一般社団法人渋谷未来デザイン」と連携し、ほかにない形の地域活性事業を展開予定。直近では、2018年9月に開催される「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA」とNo Mapsが連携。具体的な取り組みは今後発表されるという。
実行委員長を務めるクリプトン・フューチャー・メディアの伊藤博之氏は「日本の国土の22%が北海道。広大なスペースで社会実装に参加してほしい。実証実験の聖地としてのチャレンジを行なっているが、北海道だけのためではなく、あくまで場所やインフラを使って新しいことを作ることを応援する立場にある」と語った。
街全体を巻き込んだ多様なイベント
No Maps自体は、Conference、Exhibition、Event、Meet-up、Experimentの5つの事業が実行委員会形式で実施される。産官学含めたオール北海道体制となっており、具体的な事業では100を超える展開になるという。
目玉となるカンファレンスでは、宇宙、AI、農業、ロボティクス、さらには空飛ぶ自動車といった30超をラインナップ。オープンネットワークラボとの新たなベンチャーを創生する取り組みでは、北海道にまつわるスタートアップのデモデイも予定されている。
街全体を使ったコンベンションが意識されており、大通から狸小路のアーケード商店街までをエンタテイメントエリアとして、さらにすすきのをミートアップ&グルメエリアとして期間中に展開予定となる。
「No Maps 2018」開催概要
会期:10月10日(水)~14日(日)
会場:札幌市内中心部、市街全体を広域的に使用
主催:No Maps実行委員会
公式サイト:https://no-maps.jp/
ASCIIも昨年密着レポートを実施したが、来場者もIT領域だけでなく、一次産業から食、音楽、映画、さらには宇宙まで、あらゆるジャンルが混沌とした形で混ざり合っていた。
たとえば昨年最も注目を集めた札幌中心部での自動運転実施は直前で決定した。「新しい価値」を生み出すための開かれたイノベーションを体現する場として、No Mapsはまだ始まったばかり。今回の発表会で見えない内容も含めて、新たな技術が先進的に実装された秋の札幌に期待したい。
発表会の最後に伊藤実行委員長は「稚内があり、渋谷があり、さらに東京の話であり、札幌の話はないが、それこそがポイント。No Mapsはあくまでハブ。参加者が思い思いの目標やアピールをぶつける場づくりだからこれでいい。どんどん参加してもらう場として、これからみなさんと一緒に成長していきたい」と述べた。