7月31日に無事Radeon RX Vegaの発表が行なわれ、予約受付も始まったということで、今回はこのRadeon RX Vegaのアップデートのみかけておきたい。
発表されたRadeon RX Vegaは3製品
さてそのVega 10ベースのRadeon RX Vega、前回のアップデートではNova/Eclipse/Coreといった名前を紹介したが、幸い(?)にもこれは採用されず、素直にVega 64/Vega 56となったのはわかりやすくて良かった。
7月末に発表されたのは以下の3製品である。ハイエンドにあたるのがRadeon RX Vega 64 Liquid Cooled Editionで、こちらは定格で1406MHz駆動、最大では1677MHzまで引っ張りあげられる。ただその分消費電力が345Wに達しており、これは確かに水冷でないと許容できない電力である。
こちらは、米国でのメーカー希望小売価格は599ドル相当になると思われ、日本での予価は税抜8万5800円前後だそうなので、換算レートは143.2円/ドルとなる(ドルも税抜として計算)。それでもRyzen ThreadRipperの価格に比べると多少マシではあるが。
ちなみに「599ドル相当になると思われ」というのは、本国ではLiquid Cooled Editionの単体売りは当初のプランにないためだ。発表記事にもあるように、Radeon RX Vega 64と56に関しては、単体価格の100ドル増しでRadeon Packが用意されている。ここから逆算すれば、Liquid Cooled Editionは599ドルになると推定できるわけだ。
その下にあたるのが空冷タイプのRadeon RX Vega 64である。こちらはメタリック外装とブラック外装の2種類が用意されるが、メタリックの方は9月にスタートするRadeon Pack向けで、リテール向けにはブラック外装のみとなる。
もっとも今はAMDのリファレンスデザインの製品のみが流通しているためこの2種類のみであるが、今後はOEMメーカーによる独自の外装、あるいは独自基板を利用した製品なども投入されてくるはずなので、そうなるといろいろ選べるようになるだろう。
ちなみにこちらはメーカー希望小売価格が499ドルで、日本では7万3800円前後とされる。上と同様に計算すると換算レートは147.9円ほどで、もう少し換算レートを頑張ってくれると割安感がでてくる。
スペックとしては、シェーダーの構成はフルであるが、動作周波数は定格1247MHz、最大でも1546MHzとやや控えめになっている。もっともこの状態で消費電力は295Wなので、割とギリギリのところというべきか。
ちなみにRadeon RX Vega 64に関しては当初8月18日の出荷を予定していたのだが、3日ほど伸びて21日の出荷になる。理由は添付されるゲームの手配の問題らしい。
供給そのものにはあまり問題はないが、正確に言えばVega 10コアそのものは順調ながら、組み合わせるHBM2メモリーがギリギリらしく、当初は供給量も限られるという話である。
ただこれは時間が経てば解決する問題であり、実際サムスンなどはHBM2の供給量を増やすという話を今年7月に発表している。したがって、発売当初はやや品薄気味(=価格も当然高止まり)になるだろうが、時間が経過すればこのあたりはこなれてくることになると思われる。
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