Coffee Lakeことデスクトップ向け
第8世代Coreプロセッサーを半年前倒し
さてCore-Xについてはこの位にして、2つ目の動きを解説しよう。同じく米国時間の8月8日、インテルは第8世代Coreプロセッサーを、8月21日(米国時間)に投入することを発表した。
当日は、Facebook Liveで発表会の中継も行なわれるようである。ちなみにこの発表会の中継を見るべき8つの理由というものが説明されているが、その1が「闇に囚われるべきではない。第8世代のIntel Coreプロセッサーファミリーがいかに速いパフォーマンスを提供するかを学ぼう」というのは、少し前までのインテルの上品な態度からは想像できない下品さではある。とはいえ、AMDの方も上品とは到底言いがたいのでどっちもどっちというべきか。
言い回しはともかくとして、ではこれはなにか?であるが、Coffee Lakeが半年前倒しにして投入された形だ。COMPUTEXのタイミングで第8世代Coreプロセッサーが投入されることが発表された、という話を連載411回で紹介したが、この時にも書いた通りこれはTDP 15Wの製品であり、10nmプロセスを利用するCannon Lakeである。ところが今回の話はCoffee Lakeベースの話で、しかもデスクトップ向けとなる。
さてそのCoffee Lake、インテル 半導体ロードマップも触れたが、もともとはKaby Lakeとして設計がスタートしたものだ。つまりプロセッサーコアなどには大きな変更はなく、ただし14nm++に向けて物理実装をやり直したというものだ。
もちろんコア数の増加はあるのだが、これは単にコアをコピー&ペーストで増やすだけ(と言うと殴られそうだが)の作業である。ということは、コアのベースとなるのは現在Core-Xシリーズとして投入されたSkylake-SPではなく、純然たるSkylakeである。
つまり3次キャッシュの構造はInclusiveで、コア間の接続は従来と同じリングバスとなる。AVX512ユニットが拡張されたり、2次キャッシュとLoad/Storeユニットの帯域が倍増されていたりはしない。
もっともこの14nm++の提供時期が遅れたことで、急遽バックアッププランとしてSkylakeをそのまま14nm+で製造した新Kaby Lakeが計画され、2016年10月にまずモバイル向けが、次いで2017年1月にデスクトップ向けがそれぞれ投入された。この間に旧Kaby LakeはCoffee Lakeと名前を変えた形だ。
さてそのCoffee Lake、実はなんどか投入時期とスペックが変わっている。今回紹介するスペックも最終版のものなのかわからないという有様である。投入時期については、一度2017年7月という話があり、その後2018年にスキップしたと言われ、再び2017年に戻ってきて、今回の発表でやっと8月21日と決まった形になる。
これは14nm++プロセスの歩留まりと、マーケティング方面からの要請のせめぎ合いであろうと想像される。とにかくRyzen 3/5/7を圧倒できる製品を早く、というのがマーケティングからの要望なのは明白で、なのであとは製造部門がどれだけの数量をいつ出せるかを睨みながら発売日を決定した、というあたりであろう。
ということで実は8月21日に発表といいつつも、実際に製品が流通するのがいつかはまだ正確にはわかっていない。実際のところ、後述のようにプラットフォームも刷新される予定だが、マザーボードメーカーからまだ新プラットフォームの話がほとんど出てないあたり、流通するのはかなり後になるのではないかという気がする。
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