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企業サイトの在り方をゼロから考える

プロに聞いた企業のサイト戦略のための心得(前編)

連載
スタートアップのコーポレートサイトまとめ2016-2017

提供: デジタルステージ

 企業サイト戦略で困っている人は少なからずいると聞きます。

 ビジネスにおいて、名刺と同レベルくらいに関係者の目に触れる企業サイト。あること自体が当たり前過ぎて見過ごされがちですが、在り方自体はブランドや商品、営業において非常に重要です。

 たとえば、検索ランクを向上させるGoogleのSEO対策やECでのコンバージョン向上といった“技術”や、WordPressでのサイト制作やオウンドメディアによるアピールといった“手段”などが企業サイトについては重視されますが、その前に考えるべき、そもそもの根本の部分を見過ごしてはいないでしょうか。ベンチャー・スタートアップ企業も含めて、これから企業サイトを作るという人に向けて、今回はゼロから企業サイトの在り方・作り方・運営方法の基本を考えたいと思います。

 講師となるのは、デジタルステージの洪泰和氏です。定番のホームページ作成ソフト『BiND(バインド)』を手掛ける同社にて、デザインチームや会社全体のプロジェクト管理などの業務を担当しています。企業のサイトデザインも多数手がける洪氏に、「企業サイトを作る際、取り組むべきことは何か?」を訊いてみました。

デジタルステージの洪泰和氏。ウェブデザイナーを経て、デジタルステージのウェブ全般のディレクションを担当。一方「BiNDシリーズ」の開発にプロジェクトマネージャーとして携わる

企業サイト、まずは紙を準備してみるべし

 作り方の前に、そもそも企業サイトがどういった要素で構成されているかを確認しましょう。基本セットといえるのが、本拠地、会社概要、事業内容、その企業に関わる情報です。こうした情報は、その企業に興味を持った相手がその企業を知る、連絡を取る際に欠かすことができないものです。

 「企業サイトにおける基本的な情報は、名刺と同様、場合によっては名刺よりも重要なものになります。そのため、どんな会社なのかをわかりやすく理解できる情報を掲載しましょう。事業内容については、どういうことをやっているのか、事例とともに紹介するとわかりやすく伝わります」(洪氏)

 重要なのは、興味をもってくれた人にきちんと伝えることにあるようです。ではこのとき、まずは何から考えればよいのでしょうか。

 「実際のサイト作りを始める前に取り組むとよいのは、まずは紙に自分の会社の強みとなる特徴を書き出してみることです。サイトはデジタルなものですが、最初の作業はアナログから始めてみると意外と全体を俯瞰できます。企業のビジョンとは、会社の人格にあたります。ビジョンや特性など自社のアイデンティティーを明確にしておくことで、自分達のイメージに合った、ぶれないサイト作りを進めていくことができます」

SNSで代用ができない理由

 企業の情報発信は、公式のウェブサイトだけではありません。企業の基本情報のほかに、会社で働いているスタッフのブログ、Twitter、Facebookを利用し、どんなスタッフが働いているのかを紹介している企業もあります。いわゆる、『中の人』が語ることで、企業や商品の特性がより伝わりやすくなるメリットもあります。

 しかし、最近では企業サイトを作らず、手軽に情報発信を済ませるためにFacebookのみで運用というケースもあります。アカウントを取得するだけで始められ、更新が簡単なのは魅力ですがデメリットもあるようです。「SNSはリアルタイムの情報発信に優れているため、新しい情報はトップに掲載されますが過去に投稿した情報=蓄積した情報は探しにくいのが特徴です。普遍的にアピールしたい企業コンセプトや商品のブランディングが目的である企業サイトの代わりにはなりません」と洪氏は指摘します。

 また当然ですが、SNSでGoogleなどから検索流入を望むのは難しいと思ってよいでしょう。そもそもSNSとはコミュニケーションツール。利用者はツールを使っている人に限定されています。不特定多数に対して、まだ存在を知らない新しいお客さんにアプローチするには不向きです。

 ただし、即時性や拡散力を求めるならSNSも欠かせません。メディアの特性を十分理解して使い分けることこそ重要なのです。最初からすべてをやろうとするのではなく、「運用で重要なのは継続すること。いきなりフルセットから始めて力尽きるよりも、まず最小限から始めて、段階を追って充実させていけばよいのです」と洪氏はアドバイスします。

成果を上げるには目的の把握と導線が重要

 サイト作りで最初に必要なのは、骨格を決めておくこと。のちのちにこの設計が生きてきます。

 サイト作りを始める前に書き出して確認すべき項目

  1. サイトマップ(サイトに必要なコンテンツ)
  2. 必要な素材の準備(ロゴデータやキービジュアル、製品画像など)
  3. コンバージョンの設け方(問い合せなのか、購入か登録か)
  4. システム構築の有無(3にあたり必要なシステム構築の確認)

 その中でも、もっとも注意すべきポイントは「サイトの目的を明確にして、それに適った導線を作ること」だと洪氏は語ります。

 上記4点の確認項目の設定ができたら、目的と導線をあらためて検討してみましょう。

・サイトの目的がなぜ重要か?
 「サイトの目的は、企業によってさまざまです。商品を売ることが目的であれば、商品を魅力的に伝えるのはもちろん、何より商品を買うための導線をしっかり作ることです。目的にストレートに合致した導線でなければ、なんのためにサイトがあるのかわかりません」(洪氏)

・サイトの導線とは何か?
 「サイトの導線とは、デパートやホテルのような大きな建造物に例えて考えるとわかりやすくなります。デパートでは、入りやすい地下に多くの人が訪れる食品売場を置き、宝飾品売場のように購入者が限定される商品の売場は建物の上部に位置していることが多くなっています。集客しやすい売場を前面に置いて、特定の人だけが行く売場を上部に置くという導線を作っています。
 企業サイトも同様で、ECサイトであれば、購買につながる導線が必要です。商品の説明は見やすいものの、そこから購買コーナーにたどり着くのが難しいようでは目的に合致しません」

 あるコーナーに行くために1つの道筋しかないようなサイト構築はNGです。目的の場所に行くためにいくつかの導線が用意できるのか、確認しておきましょう。

 サイト構築を自分で行なう場合、全体構造を考える前にサイト作りを始めてしまいがち。こちらも、やはり紙にサイトの全体構造を書き出すことで導線を整理しやすくなります。

全体構造の見本

 ここまでは、企業サイト作りをはじめる前の基礎の基礎をお伝えしました。次回は、デザインと運用について知っておきたいポイントをおさらいします。

(提供:デジタルステージ)

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