ペンタックスマニアの親父の子として生まれてきたのに、筆者は生まれてからずっとカメラにはまったく興味がなかった。
それが日本で最初のデジカメが発売された日に人生が変わってしまった。それ以来、さまざまなデジカメを買って遊んできた。
写真が大好きな人には大変申し訳ないが、よく考えると100%写真が好きなのではなく、写真は45%くらい、そしてデジタルカメラというガジェットへの興味が55%くらいという割合の感覚だ。
最近急にフィルムカメラにも興味を持って買ってみたが、せっかちな性格ゆえ、撮影と結果の間が最低でも1日という悠長な感覚になじめないまま、いつの間にかアナログカメラへの憧れはなくなってしまった。
そんな筆者が唯一楽しめるアナログカメラがインスタントカメラだった。どうも“ファストフード”は嫌いだが、“ファストカメラ”はデジカメ同様、性に合っている。
しかし、インスタントカメラにおけるポラロイドは消滅し、その後、フィルムだけを再生産している某社のフィルムは従来商品との品質差や取り扱いの面でどうも納得が行かず、筆者のポラロイドカメラは今やほとんど出番がなくなって、ただのインテリア的な存在になってしまっている。
そんなタイミングで、ドイツのライカカメラAGがインスタントカメラ「SOFORT」(以下、ゾフォート)を9月に発表した。富士フイルムのチェキ用フィルムである「Instax miniフィルム」を使用する製品だ。
ライカ版“チェキ”「ゾフォート」
発表日にゾフォートのミント(薄青)モデルを予約し、2ヵ月後の11月19日に到着したゾフォートは、“ライカ版チェキ”に抱いていた筆者の予想を裏切らない、なかなかチェキらしからぬ“大人デザイン”の外観だった。
パッケージの中には米国、日本、ヨーロッパ、アジアの一部をカバーする複数のACコンセント+充電アダプターとリチウムイオンバッテリー、ストラップ、主要国言語で記述された安全基準ガイドとクイックスタートガイドが本体と一緒に入っている。
前面から見たゾフォート本体は少し横長の正方形。右に90度回転させてみると、チェキ (instax mini 90 ネオクラシック・モデル)の外観と、レンズ、フラッシュ、ファインダー、シャッターなどの位置が酷似しているのがわかる。
富士フイルムのチェキは撮影後のフィルムが上面にせり出してくるが、左に90度回転しているゾフォートでは、撮影後のフィルムは左側に出てくるため、時としてカメラ本体に添えている左手の手のひらを押して出てくる可能性があり、撮影後のフィルムの排出動作に慣れるまでは多少戸惑うことがある。
チェキも上位機種のinstax mini 90 ネオクラシックモデルの登場で、従来のガーリーデザインから少し大人なデザインに変更されたが、ゾフォートはそのデザインをよりライカ的な方向に引っ張っている感じだ。
外観カラーもスタンダードなホワイト、登場感のあるオレンジ、そしてそのどっちも選べない筆者のような人間が選ぶミントの3色展開だ。本体の周囲にはぐるっとブラウン系のフェイク革テープが巻かれ、より一層ユーザーセグメントを理解したゴージャス系デザインとなっている。
カメラ背面には左角にファインダー。その下には各種ボタンスイッチとバッテリー、チェキフィルムの装填口がある。ファイダー横に記された「DESIGNED BY LEICA CAMERA GERMANY」という表記が、赤バッジ(ライカのブランドイメージ)大好きおじさんには大きな魅力となるだろう。
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