3) カードサイズは200mm足らず&水冷ユニット標準搭載
HBMを採用することでGPU周囲にメモリー設置スペースを広くとる必要がなくなったため、Fury Xは長辺約196mm(端子部からカード端までの実測値、以降同じ)の小さなカードに納まるようになった。
小型PCでも最強クラスのGPUを使いたい……という人には朗報といえるが、今どきATXケースもちろん、ゲーマー向けMini-ITXケースでも280mmクラスのビデオカードに対応しているのが普通であることを考えると、ややズレた印象すら受ける。ただカードというより完全なボックスなので、視覚的なインパクトは大だ。
TDP 275Wクラスの高発熱なGPUを搭載しているため、冷却は専用の水冷ユニットを介して行なう。ラジエーターは120mmファン1基を備えた肉厚(67mm)のもので、カード本体とは約370mmのホースで接続されている。
カードは小型で非常に取り回しやすいが、ラジエーターユニットがかなりゴツい。PCケースに固定できる場所があるか確認してから購入すべきだろう。
4) GPU負荷をひと目で確認できる「GPU Tach」
補助電源コネクターは8ピン×2という骨太の仕様。ライバルのGeForceは第2世代Maxwellでワットパフォーマンスを大幅向上させているが、Fury XはTongaベースなので消費電力に関しては(HBMがあるものの)あまり期待はできない。
だが、補助電源コネクターの付け根をよく見ると9個のLEDが埋め込まれている。これは「GPU Tach」(“GPUタコ(メーター)”の意味だ)と呼ばれるもので、ズバリGPUの負荷を可視化するためのものだ。
8個のLEDで負荷を示すが、基板裏面のDIPスイッチで発行色は赤/青/紫の3色(+消灯)に変更できる。
5) フレームレート制限機能を搭載
Fury XとR9 300シリーズに共通する新機能として、ドライバーレベルでフレームレートに制限をかける機能が実装された。
GeForce系ではGTX680の時に組み込まれていたが、ユーザーが直接触れることはできず、EVGA製のオーバークロックツール「Precision X」などを通じてのみアクセスできた。
だがFury X環境ではCCC(Catalyst Control Center)に組み込まれているため比較的楽にアクセスできる。軽めのゲームで消費電力や発熱量を抑えたい時に効果的といえる。
6) DVI撤廃、HDMI2.0対応は見送り
4Kゲーミングを見据えた製品だけあって、出力端子の構成も変化している。Fury XではDVI出力が完全に淘汰され、3基のDisplayPortと1基のHDMI出力が標準構成となっている。
ただ残念なのはHDMI出力が4K@60Hz出力対応の2.0対応でなく、従来と同じ(4K@30Hz出力の)1.4a対応であること。まだHDMI2.0対応液晶が少ないという事実はあるにせよ、ここは対応してほしかったところ。
ただし同社のディスプレー同期技術「FreeSync」があるため、これに配慮した結果だとも考えられる。
→次のページヘ続く (R9 290Xに対しては圧倒的な差を発揮)
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