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単なる「バイリンガル」ではない!KVHの熱血サポートの裏側
2012年10月16日 06時00分更新
日本の高いサービス品質とスピーディなグローバル標準のメリットをいいとこ取りすべく試行錯誤を続けているKVH。前回はテクニカルサポートの体制がテーマだったが、今回はグローバルでのサービス展開、そして多言語サポートについてレポートする。
日本や欧米企業のアジア進出をサポート
日本に本社を持つ外資系企業であるKVHは、顧客も金融系の企業を中心にした外資系企業の比率が高い。また、最近は国内の経済動向や震災の影響などから、日本企業がグローバルへ進出する例も増えている。もともとKVHは、香港、シカゴ、シンガポール、シドニー、釜山などにPOPを持ち、インドでもサービスの監視業務の一部を行なっている。
KVH 事業開発本部 スペシャリスト スルタン シェイク氏は、「KVHのネットワークは、高頻度取引のために金融機関で必須とされる「低遅延」が大きな売りになっている。遅延に関しては厳しいSLAを設けており、基準に満たなかった場合はサービスを止めることすらできる。この部分は他社はなかなか真似できないだろう。現在は、この超低遅延なネットワークをアジア諸国にも展開しようとしている」と、KVHのグローバルネットワークについて語る。昨今では、特にアジア諸国のネットワークやサポート体制を強化している。
KVHのグローバル戦略は、アジアだけにとどまらない。2013年の第一四半期までには姉妹会社のCOLT(City of London Telecom)との提携により、ネットワークをヨーロッパにまで拡大する予定。米国においてはすでにシカゴにKVHのオフィスがあるので、KVHとCOLTで全世界をつなぐことが可能になるという。「北米も、ヨーロッパも、経済的にあまり好調とは言えず、市場ではアジアだけが一人勝ちだ。こうした欧米企業がアジアに進出するにあたって、KVHがビジネスを拡大するチャンスが増えている」(シェイク氏)と述べる。
一方、データセンターに関しては、日本で4つのデータセンターを保有するほか、香港、シンガポール、釜山などでパートナーのデータセンターを利用できる。また、モジュラー型データセンターの導入も検討しており、市場のニーズに迅速に対応するという。「KVHの品質を満たすようなレベルの高いものを提供したいと考えている」(シェイク氏)と説明する。
こうしたネットワークとデータセンター戦略をもって、日本企業だけではなく、欧米企業のアジア進出の需要もきちんと満たそうというのが同社の戦略だ。「当初は日本企業のアジア進出を念頭に置いていたが、欧米企業もアジアのサービスプロバイダーに満足しているわけではないことがわかった」(シェイク氏)とのことで、前回のテーマであった日本品質サービスを欧米企業に対しても提供していく。
(次ページ、語学力を超えた品質の高いコミュニケーション)

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