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香港とシンガポールにデータセンター開設

日本の外資系キャリアKVHが描くアジア戦略とは?

2013年04月18日 15時30分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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 4月18日、KVHはアジア太平洋地域(APAC)での情報デリバリプラットフォーム事業を拡大。新たにシンガポールと香港に新規データセンターを開設するとともに、パートナーであるコルトと提携し、IaaS基盤を新設する。

2つのデータセンターとクラウド基盤を新設

 今回開設された「KVHシンガポールデータセンター1(KVH SGDC1)」と「KVH香港データセンター1(KVH HKDC1)」は、KVHのAPAC地域で提供する8番目、9番目のデータセンターにあたる。ともにKVHの主要顧客である金融機関を前提に金融関連地区や証券取引所に近接したロケーションに設置される。冗長化されたUPSや空調、発電機など配備したティア3+の仕様で、多層のセキュリティシステムを誇る。最大電力はともに1MW。これにより、KVHのデータセンタースペースは延べ床面積で1万6000㎡に拡大したという。

今回開設された「KVHシンガポールデータセンター1(KVH SGDC1)」と「KVH香港データセンター1(KVH HKDC1)」

 また、ヨーロッパをカバーするコルト(Colt Technology Services)とのパートナーシップを深め、香港とシンガポールにIaaS基盤を新設する。アジアとヨーロッパの10拠点で、IaaSである「KVH Cloud Services」を提供する。IaaS基盤はHP、デル、スーパーマイクロ、VMware、シスコ、EMCなどの製品から構成され、リソースプール型の仮想化環境を構築する。

コルトとのパートナーシップでIaaS基盤を構築

 発表会において、KVH代表取締役社長兼CEOの東瀬テッド氏は、1990年代にネットワークサービスの提供したきたKVHが、10年を経てデータセンターやクラウド、マネージドサービスまでを含んだ総合的な「情報デリバリープラットフォーム」を提供する事業者に成長してきたことをアピール。また、金融業界での高い実績や日本に本社を持つ外資系企業というユニークな立ち位置、26カ国の社員が在籍する国際的な社風、日本品質の高いサービスレベルなど、KVHの独自性を説明した。

KVH代表取締役社長兼CEOの東瀬テッド氏

 今回のAPAC地域での事業強化を狙った背景としては、日本以外のAPACの成長率が著しく、金融取引や外国からの直接投資も大きくなっているという成長機会の高さを挙げた。特に、シンガポールと香港では、データセンターやクラウドサービスの成長率が著しいという。東瀬氏は、APAC地域においても満足度の高いサービスを提供することで、日本および海外の多国籍企業がITインフラを任せてもらえるサービスプロバイダーに成長できると抱負を述べた。同社では、今後5年間で収益を2倍に拡大するほか、現状10%程度にとどまっている海外事業の割合を25%にまで引き上げるという。

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