このページの本文へ

大河原克行が斬る「日本のIT業界」 第18回

レノボ×NEC提携を考える──国産の終焉? 世界へ日本の技術が?

2011年01月28日 12時30分更新

文● 大河原克行

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

技術の融合か、それとも流出か

 もうひとつ注目されるのが、双方が持つ技術の融合だ。

NECパーソナルプロダクツ米沢事業場

 設立される合弁会社の社長を務めるNECパーソナルプロダクツの高須英世社長は、「レノボには、NECが持っていない開発力があり、こうした力を最大限に活用していきたい。いままで以上に顧客ニーズに合致した魅力ある製品が、NECブランドのPCとして開発できるだろう」とする。

 とくに両社が得意とするノートPC分野での融合は注目されるものだ。

 「ThinkPadが持つ技術を、NECのLaVieのなかに取り込んでいくことも考えていきたい。また、LaVieならではの技術もThinkPadのなかに採用されることになるだろう」(高須社長)と、早くも提携での成果を目論む。

 まだ具体的なものではないが、ThinkPadのハードディスクアクティブプロテクション技術などがLaVieに採用されたり、LaVieで採用していたスクラッチリペア技術が、ThinkPadに採用される可能性も捨てきれない。

 レノボは、2010年12月に、ThinkPadの開発拠点である大和研究所を、神奈川県横浜市のみなとみらいに移転。「今後20年継続できるように新たな投資を行った」(レノボ・ジャパンのロードリック・ラピン社長)という段階。提携話の裏で、大和研究所を日本IBMの敷地から独立させるとともに、体制強化が進んでいたことがわかる。

 一方で、NECのPC開発拠点である米沢事業場では「元気な米沢活動」と称し、様々な技術開発が進められており、静音技術やエコ技術という観点からも先進的な技術が生まれている。

レノボ・ジャパンは大和研究所を日本IBMの敷地内から移転した(写真は日本IBMの敷地内にあった大和研究所を示す当時の看板)

 この大和研究所と、NECパーソナルプロダクツ米沢事業場との連携は、今回の提携において、隠れた重要なポイントだといっていいだろう。

だが、かつてレノボが、日本IBMのPC事業を買収した後、ThinkPadのキーボードタッチが変わったという声が多数でて、ThinkPad離れを誘発したことがあった。こうしたことが再び起こるようだと、両社の技術面での提携成果は限定的になるということも忘れてはならない。

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ