ハードの中身はQosmio V65とほぼ同様
Qosmio DXのハードウェア面を見ていこう。ディスプレーは21.5型ワイドサイズで、フルHD解像度の液晶ディスプレーを採用。CPUなどの主要コンポーネントには、ノートパソコン用のパーツを多用している。CPUはノート用のCore i5-450M(2.40GHz)で、チップセットも同じくIntel HM55 Express。グラフィックス機能はCPU内蔵機能を使用している。
地上デジタル放送チューナーを1基内蔵し、光学ドライブには記録型BDドライブを搭載。録画テレビ番組のBD書き出しももちろん可能だ。HDDは1TBを内蔵する。
スペック面を見ていくと、Qosmio DXは同じQosmioシリーズの「dynabook Qosmio V65」とほぼ同じ仕様を備えているのがわかる。また、同業他社のディスプレー一体型デスクトップとも、仕様は似通っている。似た製品の多いジャンルの中で、Qosmio DXを際立たせる差別化要因が、画像処理専用プロセッサー「SpursEngine」の搭載である。
SpursEngineについては、ASCII.jpでもたびたび記事にしているが(関連記事)、プレイステーション3のCPUが備えるのと同じ「Streaming Processor」(SP)を4基備えた、画像処理用のプロセッサーである。これを搭載するQosmioシリーズでは、テレビ番組の圧縮録画やDVDのアップコンバート表示(超解像技術)などを、CPUの力を使わずにリアルタイムで可能とする。また、録画中の番組から映っている人の顔を識別して、メタデータとして記録する「顔deナビ」といった機能も、SpursEngineにより実現されている。
同じQosmioのQosmio V65もSpursEngineを搭載している。つまり、Qosmio DXとQosmio V65は、デスクトップとノートという違いを持った兄弟とも言えそうだ。一方でQosmio DX独自の機能としては、内蔵ディスプレーを単体のモニターとして使える機能を備える。HDMI入力端子とD4映像入力端子を本体背面に備えており、パソコン部分が起動していなくても、入力端子につないだゲーム機やAV機器を表示できる。
テレビ機能もQosmio Vと同じ
見どころチェックに意外と便利な「顔deナビ」
Qosmio DXを評価するには、テレビ機能とSpursEngineをどう評価するかが重要になる。まずテレビ機能の方だが、前述のとおり地上デジタル放送チューナーを1基内蔵し、付属ソフト「Qosmio AV Center」で視聴や録画を行なう。これらの要素もQosmio V65と同じだ。
Qosmio AV Centerは、Qosmioシリーズの定番であるテレビ視聴・録画ソフトである。番組の視聴や録画、予約録画といった一般的な機能はすべて備えている。また番組をAVCHD形式で圧縮録画する機能も、SpursEngineを使って実現している。圧縮率は最大8倍(SD画質2.0MbpsのEPモード時)になるという。
いくつかの番組を録画して、SpursEngineの効果を試してみた。まず、SpursEngineによる圧縮録画だが、XP/SP/LP/EPの4種類があり、EPはSD解像度、それ以外は地デジの解像度のまま、AVCHD形式で録画される。LPモードのビットレートは約5.5Mbpsと、地デジ本来の3分の1程度まで圧縮される。
見比べてみたが、特に画質を要求しない番組、例えばドラマやニュース番組、バラエティーなら、常時LPモードで録画しても支障はないようだ。圧縮ノイズが目立ちやすいアニメやスポーツ中継は、ビットレート約10MbpsのXPモードを使うのが適当に思える。
SpursEngineを使う「顔deナビ」機能は、番組から見たいシーンを探すのに役立つ。検索した顔が画面上に、サムネイルが横並んだタイムラインが画面下に表示される。あくまで顔に注目した機能なので、CMカット用途には適さない面もあるが、見どころを選んで頭出しするのに使える機能だ。
一方で、Qosmio DXのテレビ機能には物足りない面もある。まずチューナーが地デジのみの1基であること。ゆえに録画中に裏番組の視聴や録画はできない。ダブルチューナーによる2番組同時録画は、今や中位機以上のBDレコーダーは当たり前のようにできるし、デスクトップパソコンでも珍しい機能ではない。例えば、以前にレビューを掲載したソニーの一体型デスクトップ「VAIO J」では、3波ダブルチューナーを搭載し、2番組同時のAVC圧縮録画も可能だ。
「安価にテレビ機能+SpursEngineを提供する」というQosmio Vシリーズの仕様を踏襲したゆえに、デスクトップのテレビパソコンとしてはテレビ機能が物足りなくなってしまったのではないかと思う。また、VAIO Jが搭載しているお勧め番組の自動録画機能「おまかせ・まる録」のような機能もない。
この連載の記事
-
第133回
PC
Skyrimも快適? GeForce内蔵Ultrabook ASUSTeK UX32VD -
第132回
PC
写真やゲームをより美しく見せるナナオの液晶 FS2333 -
第131回
PC
デジカメとスマホを手軽に連携する無線LAN SDカード FlashAir -
第130回
PC
無線とタッチで使い勝手が進化したペンタブレット Intuos5 -
第130回
PC
スレートPCをCore i7で蘇らせたオンキヨー TW3A-A31 -
第129回
PC
店頭モデルも4コアCPUに パワーアップしたLets'note B10 -
第129回
PC
小型でも強力GPU搭載のゲームPC Alienware X51を検証 -
第129回
PC
Ultrabookと一緒に持ち歩きたい 超小型マウス「Cube」 -
第129回
PC
14型のUltrabookはアリか? デザイン重視のENVY 14 SPECTRE -
第128回
PC
WiMAXモバイルルーターの決定版!? Aterm WM3600Rを試す -
第127回
デジタル
高速SSDで起動・復帰が速いUltrabook Aspire S3-951 - この連載の一覧へ