3D対応でネットオーディオも楽しめる
広大なサラウンド空間にびっくり! オンキヨー「TX-NA808」
2010年06月09日 12時00分更新
解像度の高いクリアなサウンドで、音場がとても広い
ではいよいよ音を聴いてみよう。視聴はサラウンドバックを使った7.1ch環境で行なった。
「Audyssey Dynamic EQ」の効果は、チャンネル間の音のつながりの向上だけでなく、定在波の除去にも効果が大きい。オフでは低音がもやもやと不明瞭でその分、高域が張り出してにぎやかな音になっていたのだが、オンにすると低音のもやもやがすっきりと抑えられ、かなり低い音域までしっかりと伸びるようになった。
高域も嫌なにぎやかさがなくなり、クリアで解像感の高い音になった。音がすっきりとまとまり、細かな音の再現がますます良くなる。特に定在波は一般的な家屋(四角い部屋)では必ず発生するもので、しかもそれを制御するのはコストもかかる。この定在波の影響を抑えるだけでもかなりの音質向上を実感できるはずだ。
まず2D版「アバター」を見てみた。映像ばかりが注目されがちな作品ではあるが、サウンドも3Dに合わせた奥行きや広がりを感じさせるものになっており、物語の舞台となるパンドラの雄大な自然に満ちた世界を音でもぐっと盛り上げている。
そのサウンドは、密林の中で暮らすさまざまな動物たちの鳴き声や歩き回る音などが細かくちりばめられており、遠くで響く鳴き声などが空間の広がりを感じさせる。本機では、そうした音のひとつひとつが非常に明瞭で、方向感もはっきりと再現される。また、ざわざわとした木々の葉音のような環境音が自然に周囲を取り囲み、しかもその音がリアルに遠い。部屋がかなり広くなったような実感がある。一転して、人間たちの基地内では狭い空間に暗騒音が満ち、あきらかに閉塞した感じになる。
基本的にストレートなサウンドで、ディスクに記録された信号をそのまま再現する印象。まさに上質な映画館で聴くような音だ。どちらかというと情報量志向で、細やかな音の変化も正確に再現するし、爆発音や銃撃の音など勢いよく放たれる音もスピード感があり痛みまでも感じさせる鋭さがある。
唯一惜しいのは、丸太で殴られるような厚みがもう少し欲しいと感じたくらい。決して低音不足で音が軽いわけではないのだが、少々線が細いように感じる。そのため、大型のオオカミのような獣の足音などもかなりの低い音で地響きを表現しているのだが、身体を震わせるような力感が少し欲しかった。
このあたりは、筆者自身が割と量感のある低音好きのためもあると思う。クラシックの演奏などを聴いても、ティンパニの太い響きやコントラバスの胴鳴りの感じなどもしっかりと再現されるし、迫力や力強さが足りないわけではない。むしろ、個々の音が明瞭で音だけでオーケストラの配置がわかるようなクリアなステージ感は見事だ。
また、曲の盛り上がる部分で楽器が一斉に鳴るときの勢いや立ち上がりの鋭さは実に鮮烈で聴き応えも十分。本機は精密なイコライザーによる音質調整だけでなく、高音/低音の調整もできるので、好みに応じて微調整するといいだろう。
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