10万回以上の着脱にも耐えたスライド方式のマウント
――カメラユニットの交換方法がスライド式になった経緯は?
加賀:まず、このようなスライドの方法にした理由は、信号ピンの数を多く確保するためです。
福井:ピンの数は逆に言うと、よくこの数で収まったと言う印象です。
清水:当初の案ではカメラユニットのなかに画像処理エンジンを載せないという方式も考えられました。その場合、CMOSとCCDの両方のセンサーから出力される信号数を包含する必要があり、信号ピンの数は100本を超えてしまいます。
そこで画像処理エンジンをカメラユニット内に搭載し、ユニットと本体をパラレル通信にするなどいかにピン数を抑えるかを考えた末、68ピンという数に落ち着きました。コネクター自体の装脱耐久という問題もあるので、実証済みのパーツを使うということになりました。
――耐久性はどのくらいなんでしょうか?
加賀:スライド機構のレールに関して言えば、ステンレススチールに軟窒化処理を施したものを使用していますので優れた耐久性を持っています。また、コネクターには汎用品を使用しております。製品規格として、1万5千回の着脱耐久性能となっておりますが、10万回の着脱耐久試験を実施し、正常動作することを確認済みです。
福井:専用品を使用すると耐久試験を一から行なわなければならないので、実績のある汎用品を使用することで、さらに安心感が増す面があります。コネクター部分はこのシステムのもっとも重要な部分なので、そこに不安が残るということはシステムの根本が崩れてしまいます。そこで市場ですでに実績のある部品を調達することで安心度を高めていきました。
清水:さらに斜め差しテストなどのいわゆる意地悪テストなども行ないましたが、回路が壊れることがないように基本設計をしています。
――カメラユニットと本体を離して使うような接続ケーブルなどの展開の予定などはあるのでしょうか?
福井:このシステムを発表した当初からそのようなご要望はありますし検討はしています。しかし、実際の問題としてコネクター間でかなり高速なデータ通信をしています。ケーブルでのデータの減衰などの課題があり、すぐという訳にはいきません。
清水: 信号品質の問題とEMC(電磁波)の問題があります。EMCを遵守できない商品は売ることができませんので大きな課題となっています。
――三脚の穴の位置なのですが、できれば光軸に対して直線上にあったほうが使いやすいのですが、カメラユニット側に設けることは無理だったのでしょうか?
福井:その検討はしました。しかし、その分だけサイズが大きくなってしまうところで、若干ずらしてでもサイズ自体を小さくするほうを選択しました。
清水:カメラユニットによっては付けられないこともないのですが、回路の実装密度がかなり高くなっているので、カメラユニットによってあったりなかったりしては結局本体側にも設けざるをえないので、本体側だけになりました。
加賀:見えている部分だけでなく、内側に肉厚の余裕を持たせないと強度が保てないので大変難しくなります。
――ちなみに、カメラユニットのコネクターを保護するキャップが気になるのですが……
福井:キャップの議論も当初していたのですが、撮影するときは外してしまうものなのでとりあえず確実にコネクターを保護できればいいだろうと今の形状になっています。
しかし、はやりキャップ自体が小さいものなので、カメラバックのなかで見失いやすいなどの声が上がってきています。今後検討したいと思っております。
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