前回お伝えした「GXR」およびカメラユニットのファームウェア(ダウンロードはここから)のバージョンアップ後、外出の際に「GR LENS A12 50mm F2.5 MACRO」(以下A12 50mm)を装着して持ち歩いてみた。
撮影距離が30cm以上の通常の撮影距離であれば、かなりAFの合焦スピードは速くなっている。前回書いたように体感的には1/2程度にはなっているだろうか。しかし、さすがにマクロ領域でのスピードは微妙。確かに速くなっているのだが、レンズの繰り出し量の多さに加えて、APS-Cサイズセンサーの求めるピント精度のせいか、具体的に何倍とまでは言えない程度。
このあたりはレンズの構造やコントラストAFという枷にはまっているので仕方のない所かもしれない。そもそも、このレンズは開発者いわく「まっとうなマクロレンズ」として開発されたもので、ポートレートなどの使い方を想定はしてはいても、それほど重要視していなかったのだろう。それを今回のファームウェアで高速化を果たしただけでもユーザーの声をまじめに汲み上げていると言える。
他のデジカメと比較しても意味がない!?
さて、本連載も今回が最終回となる。筆者はこの3ヵ月間、GXRをミッチリ使用してきたが、実はいつも別のデジタルカメラも必ず持ち歩いていた。それは、比較対象となる何かモノサシ的なものが欲しかったからなのだが、GXRをトータルで見た場合には、そもそも比較自体にあまり意味のないことだと途中で気がついた。
カメラユニットを交換してしまった時点でがらっと性格の違うカメラに変身してしまうようなものだからである。開発の方が言っていたが、既存のコンパクトデジタルカメラユーザーは「RICOH LENS S10 24-72mm F2.5-4.4 VC」(以下S10 24-72mm)を使用すれば、これまでどおり周囲に緊張感を漂わせることなく気軽なストリートスナップができる。
見た目にも(ちょっと大きめの)コンパクトデジタルカメラに見えるということもあるだろう。しかし、中身は良好なノイズ特性ゆえに選択された1/1.7型1000万画素CCDセンサー。高画素=高画質というわかりやすい方程式はあえて避け、写真的な高画質とはどうあるべきかをまじめに考えた末の選択だったとのことであった。
S10 24-72mmと同時発売されたA12 50mは、リコーとして「新しいカメラを開発しているのだから、既存のイメージとは違うものを」という意思のもとに提供されたカメラユニットだ。今までにはなかった50mmのマクロで、しかも高画質を追求したGR LENSを採用したのはそのためだ。
今冬に発売予定の28mm単焦点レンズ&APS-Cセンサー搭載のカメラユニット「GR LENS A12 28mm F2.5」を初めから発表していれば既存のリコーファンは当然ついてきただろう。しかし、一方で新しいものを求めるユーザー層へのアピール度は薄らいでいたかもしれない。もっとも、マクロの50mmというのも結構ニッチともいえる。

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