手軽な便利でUSBメモリだが、セキュリティ面での課題も大きい。情報漏えいのツールとして用いられるほか、ウイルス感染の温床ともなってしまう。まずはUSBメモリにはどのようなセキュリティ面での脅威があるかを検討し、次にどんな対策を施せばよいかを見ていこう。
手軽で便利なUSBメモリ
しかし、セキュリティ面では大きな問題が……
USBメモリは軽量でコストパフォーマンスも高く、可搬を前提としたリムーバブルメディアとしては非常に優秀な製品だ。専用の読み取り装置も不要で、差し込むだけで使えるので便利である。昨今では大容量化と低価格化が一段と進んでおり、8GBはそろそろ2000円台というレベル。ノベルティやプレゼントに使われることも多く、PCユーザーはかなりの割合でお世話になっていると思われる。
しかし、管理者から見ると、このUSBメモリはきわめて厄介な代物といえる。まずは会社のPCからUSBメモリを介して、顧客情報やビジネス上重要な情報を引き出されることで、情報漏えいの温床となってしまうことだ。社員や外部の人間が意図的に漏えいさせることも不安だが、紛失や盗難、暴露ウイルスといった不測の事態で漏れてしまうこともある。もちろん、会社から自宅に仕事を持ち帰るのに、USBメモリは最適なメディアだ。しかし、保存されたデータをきちんと保護しないと、大きなセキュリティ事件に発生してしまう。

情報漏えいやウイルス感染などの原因となり、管理者にとって悩みの種となっているUSBメモリ
実際、先頃8月25日に発表されたインターネットコムとgooリサーチの調査によると、USBメモリによる漏えいは68.6パーセントで外部メモリとしては1位となっており、紛失した経験が多いのもUSBメモリとなっている。SDやMicro SDの普及率も高いが、どのPCでも搭載されているUSBを使うUSBメモリの利用率は高く、漏えいにも最大限の注意を払う必要があるということだ。

2008年はUSBメモリなど外部メディアを介した情報漏えいが3位となっている
USBメモリ経由でウイルスやスパイウェアなどのマルウェアに感染してしまうのも、大きな脅威だ。「USBウイルス」といわれるこの類のウイルスは、USBメモリ内に自動起動のプログラムを潜ませて、接続時にPCに自身をコピー。PCにコピーされたウイルスは他のPCのUSBメモリに自身をコピーし、さらに感染を拡げる。
ウイルスの感染経路がネットワーク経由になって久しいが、手軽に使えるUSBメモリが現れてきたことで、昔のMOやフロッピーディスクのような物理媒体経由での感染に戻ってしまったようだ。手どころがはっきりしているベンダーから販売されたUSBメモリ内にウイルスが保存されていたという事件もあるくらいだから、根は深い。

USBメモリを介したウイルスの感染
(次ページ、対策はさまざま どこまで求めるかが重要)

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