一気に大容量化と低価格化が進んで、今やCD-R/DVD-R代わりに大容量ファイルの受け渡しで使われるようになったUSBメモリー。しかし、その手軽さゆえに情報漏洩の危険をはらむツールとして危険視する向きもある。
CPU+バッテリーでUSBメモリーを制御
富士通研究所と同社の米国法人・Fujitsu Laboratories of Americaは、USBメモリーの紛失やP2Pソフトによる情報流出の防止を防ぐ機能を持つ「安全USBメモリ」を開発した。
CPUやバッテリーを内蔵した独自開発のUSBメモリーで、一定時間を過ぎたり、指定外のPCに接続した場合には、自動的にファイルを消去したり、書き込み/読み出しを不可能にすることができるという。これにより、万一USBメモリーが盗難・紛失にあっても、中身が第三者には読み出されない。
バッテリー:試作機ではコンデンサを組み込んで、バッテリーとして利用している。PC非接続時は最大9日間の動作が可能で、その後、バッテリーローになると自動的にファイルを消去する。また、PCにUSB接続すると自動的に充電が開始され、数分でフル充電できるとしている(いずれも試作機のデータ)
さらに、USBメモリーと組み合わせて利用するPCに「ファイル・リダイレクト・ソフトウェア」をインストールしておくと、USBメモリー内にあるファイルのコピー先を特定サーバーに限定したり、メールへの添付、印刷などを禁止できるという。仮にUSBメモリーを接続したPCを、ログアウトせずに放置していても、第三者が機密情報を持ち出したり、印刷される危険が防げる。
ファイル・リダイレクト技術:USB内のファイルを指定されたフォルダー/ドライブに書き込むこをと禁止したり、PCのHDDにファイルを書き込んだように振る舞いながら、実際にはUSBメモリーにファイルを書き込む、といったファイル操作を実現する技術として、今回新たに開発されたもの
両社は現在、富士通のプロジェクト管理サービスと連携した社内試行を行なっており、その後は製品化に向けた検証を進めるとしている。

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