コンシューマー市場に投入された龍芯
そんな開発はされども、消費者に縁がなかった龍芯が今年の年初からコンシューマー市場に突然登場した。
1月上旬に、中国のアキバこと北京の中関村に、龍芯のみを扱った店舗が登場したのだ。そこでは、それまでネット上での限定販売だった龍芯搭載パソコンが購入できるほか、龍芯そのものを拝むことができる。
目玉は、龍芯2F、8.9型ディスプレー、160GB HDDないしは4GB SSDを搭載した、約1kgのノートパソコン「逸瓏」。世界的なネットブックブームにあやかった機種だ。
逸瓏の発売元「中科龍夢」(関連サイト)では、ほかにも「福瓏」という名のコンパクトデスクトップ/ディスプレー一体型デスクトップパソコンや、「脉瓏」という名のシンクライアントをリリースしているので、店舗で販売しているかもしれない。
これら製品のOSはLinuxで、ディストリビューションはDebian。x86 CPUではないので、Windowsをそのまま入れることができない。
ただ、最初はアピールしていたけれど、最終的に専門店は縮小され閑古鳥がないた中国開発3G規格「TD-SCDMA」という前例があるので、素直に龍芯が販売店でバカ売れすると安直に思わないほうがいいだろう。
TD-SCDMAをはじめとした中国独自規格同様、ほとんどの中国人消費者にそもそも認知されていないし、最新のIT情報に貪欲な若い消費者もまた、中国発の規格の度重なる頓挫・失敗・誇張広告から一歩引いて「もっと安ければ買う」と静観している。
中国国内ですら歓迎ムードとは異なる雰囲気ではあるが、個人的には近く北京に行く際にはぜひとも店を訪れてみたいし、そのときはレポートを書いてみたいと思う。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
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