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Letter from Silicon Valley第13回

ジュニパー上級副社長が語るJUNOS戦略

2009年02月13日 04時00分更新

文● 秋山慎一

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ネットワークの諸機能が1つのOSに統合されれば、運用が容易になりコストが低下する。加えて、異常を監視しプロアクティブに対処できる統合管理も可能だという。

ネットワークマガジン2009年3月号掲載

シリコンバレーには多くのベンチャーと、それを次々と吸収して成長する巨大企業が併存しています。かつては株式市場に上場することがベンチャーの成功の証でしたが、現在ではSOX法による内部統制への要求などによって上場のコストが上昇。ベンチャーにとっては上場するよりも大手企業に買収されることが、効率的に成功の「報酬」を手にする手段となっています。一方で大手にとっても、より効率的に新技術を手に入れ事業領域を拡大するスピード経営が可能になるという側面があります。たとえばシスコシステムズやグーグルなどもそのような手法を活用して成長してきました。筆者には、このようなシリコンバレーのエコシステム全体が、イノベーションと成長というミッションを背負った生命体のように見えます。

●JUNOS
ジュニパーのルータの基本ソフト(OS)。「ジュノス」と読みます。

本コラムではこれまでベンチャーを多く紹介してきましたが、今回は大手メーカーとしてベンチャーを買収してきた側である、ジュニパーネットワークスを取り上げます。同社は、通信事業者向けの大規模コアルータを主力に、ボックス型からシャーシ型までをラインナップするEthernetスイッチ「EXシリーズ」や、ファイアウォール&VPN製品の「NetScreen」などを提供するネットワーク機器メーカーです。

今、ネットワークやセキュリティの分野でも、斬新な機能を持っていたり、非常にコストパフォーマンスのよい新製品が次々と市場に投入されています。そのような中で生き残っていくためにジュニパーはどんな戦略を持っているのでしょうか。同社の 上級副社長 であるスペンサー・グリーン氏は、「われわれのビジョンは、問題なく“つなぐ”ことなのです」といいます。この単純なことが、決して簡単なことではないのは、皆さんご存じの通りですよね。セキュリティの問題もあるし、ネットワークインフラにはさまざまなメーカーの製品がおもちゃ箱のように複雑に絡み合って存在していて、システム管理者や運用者が対応しなければならいOSや独自機能は多岐に渡ります。ネットワークに何かトラブルが起こったときに、問題なく“つながる”ように復旧させるのがどれだけ大変なことでしょうか。

※  上級副社長
アメリカの会社には多くの副社長がいることは以前お話ししました。大きな会社では副社長の中にも“格”を設けて、上位の副社長は「Senior Vice Pre sident」と呼んで区別することがよくあります。

スペンサー・グリーン氏:「企業のIT支出の75%は運用コスト。これを削減すれば、新規投資により多くの資金を回せます」

スペンサー・グリーン氏

「もし、そんなネットワークの構成要素が、みな共通のOSで動いていたらどうでしょう。システムのコントロールがはるかに単純になります」。それを実現するのが、同社の基本ソフトである「JUNOS」だ、とグリーン氏はいうのです。ジュニパーでは、ルータ向けに生まれたJUNOSを同社の幅広い製品の共通OSとして統合していこう、という戦略を着々と進めています。

「結果として、確実にシステムのTCOを削減できます」。実際に、多くのソフトで構成されたシステムをJUNOSに統合した結果、25%のTCOを削減できたという評価事例があるそうです。またコストだけでなく、単一のOSにすることによる品質の向上、つまりトラブルを減らす効果も期待できます。

また、ネットワークの構成要素に同一OSが利用される環境では、統合管理や監視が容易に、かつ効果的に実施できます。ジュニパーでは 「AIS」 という製品を開発済みで、これを利用すると顧客サイトのネットワークの情報を収集してトラブル時の対応を迅速にできるうえ、事前にトラブルの予兆を分析してプロアクティブな対応を取ることも可能とのことです。

※  AIS
アドバンスド・インサイト・ソリューションズの略。ユーザーサイトにアプライアンス型のエージェントであるAIM(アドバンスド・インサイト・マネージャ)を設置。これがサイト内のJUNOS搭載機器からネットワーク情報をつねに収集し、ジュニパーのサポート拠点とオンラインで接続します。

今後、ルータやスイッチに加えてファイアウォールやもろもろのネットワークアプライアンスがJUNOSに統一されれば、非常に扱いやすいネットワークを構築できるかもしれません。

図:AISの構成イメージ

図 AISの構成イメージ

サニーベイルのジュニパー本社には大きなラボがあり、さまざまな構成をシミュレートして顧客導入前のテストなどを実施できます。写真のようなラックの列が何倍も並んでいて、ラック1本で数億円相当の機器もあるとか。

ラボ

筆者紹介─秋山慎一


Letter from Silicon Valley

日立システムアンドサービス にてシステムエンジニアやプロダクトマネージャ、 マーケティングを経験。現在Hitachi America Ltd. に駐在し、シリコンバレーの技術動向の調査やビジネス開発などに携わる。「SEのためのネットワークの基本」(2005年・翔泳社刊)、ネットワークマガジン連載「トラブルから学ぶネットワーク構築のポイント」(2005.12〜2006.12)などを執筆。


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