メンツも保てた中国発の国際規格「IGRS」
中国発の独自IT規格というと、当連載でも扱った携帯電話の3G規格の「TD-SCDMA」や、DVDの後釜の「EVD」や、無線LANセキュリティ規格の「WAPI」などいくつかある。規格ではなく「独自のIT製品」まで拡大すれば、LinuxライクなFree BSDベースのOS「麒麟」や、「龍芯」をはじめとしたRISC CPUなどがある。
TD-SCDMAは現状、消費者に受け入れられているとは言い難く、大都市で端末のばらまきを行った上に、ノンブランドケータイ「山寨機」の3G版を黙認してまで、TD-SCDMAを普及させようとしている(関連記事)。その一方でTD-SCDMAは、ITU(国際電気通信連合)に承認された、すなわち世界に認められたという点では「規格の存在自体が成功した」とも言える。
当記事で紹介するタイトルにも書かれた「IGRS」(Intelligent Grouping and Resource Sharingの略。中国語で「閃聯」)は、TD-SCDMAと同じく世界に認められた中国発の「ある意味成功した」規格である。
日本をはじめとして米英仏韓も基本的にはこの規格には賛成していた。ただし、どさくさに紛れて記載されている「別の中国の独自規格」の記載に注意しつつ審議してきた結果、2007年11月14日、IGRSに関する草案が賛成多数で通過。2008年7月28日、ISO/IEC(国際電気標準会議)の最終投票で96%の賛成を得て、IGRSは中国情報家電分野では初となるISOによって標準化された国際規格となった。
日本ではほとんど報じられなかったが、中国科学界にとっては非常に大きなニュースであった。
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