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松村太郎の「ケータイが語る、ミクロな魅力」 第50回

2008年、iPhoneショックとは何か? 林信行氏に聞く!

2008年12月04日 18時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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ソフトバンク表参道のiPhone発売イベント

ソフトバンク表参道のiPhone発売イベントは、ものすごいマスコミが殺到した一大イベントだった。店頭などでのタッチポイントで触れてもらうことが、iPhone拡大のカギを握る

タッチポイントと多角的な視点がiPhoneの強み

 一方、日本のケータイのユーザーにとっても、2008年は変化の年だった。割賦式の端末の購入方法が変わり、ドコモのシリーズが変わって選び方も変わってきた。そしてメーカーで選ぶというケータイの選び方の変化も見え始めている。iPhoneを手にしたユーザーには、新しいモバイルインターネットの生活が訪れている一方で、iPhoneへの評価と販売台数は爆発的なものではない。

 「iPhoneを手にしていないほとんどのユーザーは、iPhoneによる変化に気がついていないのではないか、と思います。例えば今年、人々に携帯電話業界でもっとも面白かったニュースに投票をさせたら、1から19番目までがiPhone関連のニュースで占められてしまうかもしれない、と思えるほど、毎日のように新しい話題が生まれ、持っていて、とても楽しい日々が続いています。しかしこれはiPhoneを使っている人に限られているのです」(林氏)

林氏が知り合いにiPhoneアプリを見せれば、たいていの人は食いついてくるそうだ。忘年会シーズンにも活躍しそうだ

 実際、林氏の周りでも、僕の周りの人も、iPhoneを使っていない人に出会うと「あまり売れていないんでしょ?」「使いにくいんじゃない?」という指摘を受けるのは事実だ。しかし彼らに実際にiPhoneを触らせ、その人にとってキラーアプリになりそうなiPhoneアプリを使ってもらうと、「目の色が変わる」(林氏)場面を何度も見ている。

 「IT業界の人はそこで、使っておかなければ、という意識になると思いますし、IT業界以外の人も、触ると楽しい!欲しい!と変化する人が多いです。iPhone販売の課題があるとすれば、いかにタッチポイントを増やしていくか、にかかっているのではないでしょうか」(林氏)

 iPhoneに限らず、Windows Mobileを搭載するスマートフォンにも共通した課題だ。ショップの店員がわからなかったり、使いこなせないと、なかなかお客さんにも勧めにくい。そこでソフトバンクショップでは、iPhoneを自分の端末として利用する店員を配置して、便利さ、面白さを伝えられるようにするそうだ。

 しかしこの「新しい端末の魅力を店頭で伝えられない」問題は、iPhoneに限ったことではない。ドコモやauは新機能を追加し続けているが、店頭でこれが確実にユーザーに伝わっているか、と言われると、どうもそういう状況ではないようだ。それを求めて新端末を買ってもらったり、サービスを使ってもらう施策がもっと必要ではないだろうか。

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