本連載も、そろそろ100回を迎える。ちょうど年末に100回目を迎えるため、少しこれまでの連載を総括し始めようと考えている。その中で、ケータイが作ってきたメディアやそれに伴う行動の変化について、少し考えてみたい。
プロも活用するケータイのインフラと端末
先日東京の地下鉄、銀座線で異臭騒ぎがあった。とあるテレビ局の駅からの中継映像は、スタジオ映像に比べて極端に汚い。おそらくケータイの回線を使った中継だろうか。映像の画質と引き替えに、中継車を出さずに地下鉄の中からも身軽に撮影できているのだ。
たとえばソニーは放送・業務用に「ロケーションポーター」という機材を発売している。この端末はUSB接続のFOMAデータカードを2本差して、高品位なビデオカメラからの映像と音声を伝送できるショルダー型の端末だ。撮影機材はそのまま生かし、伝送だけをケータイのインフラで行なう仕組みだ。
352×240ドット、毎秒5~15コマ、ビットレート64~320kbpsとHD映像からはほど遠い解像度ながら、肩からぶら下げるだけで中継できる。スポーツのように高品位な映像をじっくり楽しむ場合は中継車などを出した方がいいが、速報性の高い情報などはこれでも十分伝わる。
現在日本の3G回線の品質と価格の安さは世界最高レベルにあることは間違いないのではないだろうか。しかし普及が進んでいる大画面テレビで見るとなると、その回線スピードはまだまだ足りない。動画の圧縮技術などの進化とともに、さらなる高速回線が求められる現場であると感じた。
この回線のクオリティの高さは、1999年にケータイのパケット通信で利用するiモードがあり、ケータイでデータ通信を活用するのが当たり前、と言う状況があったからこそであり、速報性のある中継をできるまでになったと言えるだろう。
さらなる大容量化を求めるのであれば、ユーザーが進んで活用する高速回線に即したサービスが必要ということになる。iPhoneや動画サービス、ケータイWi-Fiなど、現在人気を博しているサービスに、ユーザーをより活発化させるサービスがあるだろうか。
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