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林 信行 × 松村太郎 徹底対談

2009年のケータイはこうなる、こう変わる!【前編】

2008年12月29日 09時00分更新

文● トレンド編集部

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右が林 信行氏、左が松村太郎氏。ASCII.jpでおなじみの2人が2008年のケータイトレンドを締めくくり、2009年を予見する。ちなみに背景のイルミネーションは50周年を迎えた東京タワーの新ライトアップ

 Netbookが人気を博し、iPhone 3Gが登場するなど、2008年はコンピューティングの環境がよりモバイルへとシフトした1年だった。ジャーナリストの林 信行氏の言葉を借りると「Web 2.0 in Your Pocket」が実現し、コンピューティングに対する生活を豊かにし、世界につながる実感を得られる年になったのだ(関連記事)。

 では、2009年のケータイ事情は一体どうなるのだろうか。林信行氏と、ASCII.jpで「ケータイが語る、ミクロな魅力」を連載中の松村太郎氏に語り合ってもらった。

コンシェルジュサービスがカギを握る

松村 2009年のモバイル市場は縮小傾向の予測があるし、世界経済の先行きも不透明ですね。2月に新しいBlackBerryを登場させるリサーチ・イン・モーションやドコモに聞くと「そういう時代だからこそ、効率化を進めるべきだ」と指摘します。それを聞くと今働いているヒトは、より効率よく働け、と言われているようですね。ビジネス市場を賑わす端末はいろいろと登場しそうですが、コンシューマー市場についてはどう見ていますか?

林 端末が売れるかどうかは別として、「衣・食・住」という人間の生活に切っても切り離せない要素ってありますが、そこにケータイも加わりました。もはや「衣・食・住・携」になってきてるんじゃないかと思います。ケータイは世界中の人たち全員が1人1台ずつ持つようになる数少ないデバイスですよね。

 でも食のように毎日ではなく、どちらかというと衣服に近いサイクルで端末を買いますよね。でもその上で消費するアプリケーションや情報は毎日変わってくる。iPhone上では毎日新しい、面白いアプリケーションが出てきていて、それはこれからも続くのではないかと思います。

松村 では、2009年から生まれてくるケータイのサービスで、期待しているモノはありますか?

370万円の端末「Signature」

VERTUブランドの端末「Signature」。お値段なんと370万円! プラチナや金が素材として使われている

林 日本から撤退したノキアが登場させる高級ブランドの「VERTU」ですね。iPhoneと逆の意味でファンです。成功するか否かは別として、めちゃくちゃ高いケータイ、という買い控えの時代には逆に光ると思います。

 私は究極のインターフェースはヒトだと思っています。例えアップルやグーグルがどれだけ優秀なエンジニアを抱えていようと、それらの多くはこれまであったサービスをチープかつ効率的に提供しているだけに過ぎず、IT技術の「サービス」は、まだまだ生身の人間の「サービス」の足下にも及びません。ケータイウェブでちょこちょこ検索をかけて情報を見つけるのもいいですが、VERTUにはコンシェルジュサービスがあります。コンシェルジュキーでコンシェルジュを呼び出して「レストラン予約しておいて」と言って、またケータイをポケットにしまう方がよっぽどスマートだと思います。

松村 コンシェルジュサービスって、あんまり日本人は慣れていませんよね。身近な情報端末としてのケータイが1人1台になってメディアがパーソナル化していると、自分で何とかしようとしてしまう。端末によって情報検索や取得といったすべてのことがパーソナル化してしまっているように見受けられます。コンシェルジュサービスはコミュニケーションで何とかしようとするアプローチでいいですよね。

林 今、旅行や出張で知らない場所に行ったとき、目的が決まっているときと決まっていないときで違う端末を使います。決まっているときはauのケータイが便利なんですよ。「EZナビウォーク」を起動して目的地を入れると、タクシーだといくらで、電車とバスならこういうルートで、と的確にナビゲートしてくれます。

 でも漠然と「この辺でおいしいものが食べたい」と思ったら、iPhoneを取り出してマップを起動して、現在地を確認して「おいしい」と検索すると旗がたくさん立って非常に便利。でもこの中間のサービスは、ヒトじゃないとなかなか難しい。

Googleアプリ。アメリカ英語にのみ対応しているが、音声で検索キーワードを吹き込むことができる

松村 林さんが実践しているEZナビウォークとiPhoneのマップの使い分けって、シチュエーションによってツールを使い分けている、ということですよね。VERTUだと、シチュエーションまで説明して「何とかして」と言えば解決する。これが、世界中どこでも対応してくれる、というのは夢があるというか、使ってみたいサービスですよね。

林 iPhoneでもGoogleアプリで音声検索に対応しましたよね。「Highest mountain in the world」と喋ると、「Mount Everest」と出てくるようになりました。それでも本物のコンシェルジュには届きません。

 先日も出張で大阪に行って、20時から打ち合わせがあって、それまでに3軒の店を回りたいと思った時、ケータイで検索するとパニックですよね。それよりはパッとタクシーに飛び乗って、運転手さんにお願いする方がいい。これがサービスの分かれ目になっていて、余裕があるヒトはVERTUで常にヒトによるサービスを受けられると思います。

2人の対談は「NOBI-TARO PODCAST」でも聴けるぞ!

林 信行氏と松村太郎氏のMCで2007年12月からMacやiPhoneの製品、サービス、ソフトウエア、コミュニティなどに関するPodcast「NOBI-TARO PODCAST」を配信中。1年間でRSSのフィード配信数は約100万回を数え、iTunes 2008 Podcast部門で10位にランクインした人気番組となっている。今回の対談の様子は近々Podcastで配信される。

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