最新パーツ性能チェック 第55回
【最新パーツ性能チェックVol.55】
「Phenom 9600 Black Edition」はどこまでチューニングできる?
2008年01月12日 23時51分更新
PCのチューンにはいろいろあれど、CPUチューンの面白さは格別だ。リスクも大きいが、設定1つでパフォーマンスが大きく変化するというのは大きな魅力。こうしたチューニング(オーバークロック)を趣味とするコアユーザのためのCPUといえば、Intelの「Core 2 Extreme」と、AMDの「Black Edition」シリーズとなる。今回は昨年末にリリースした「Phenom 9600 Black Edition」(以下9600BE)を運良くAMDから3つ借りられたので、この「9600BE」がいかなるCPUなのかをチェックしてみたい。
“倍率上げ”が可能になったCPU
AMDはこれまで「Athlon 64 X2 6400+ Black Edition」と、「Athlon 64 X2 5000+ Black Edition」という2種類のBlack Editionモデルを出荷してきた。いずれも通常モデルでは不可能なCPUの“倍率上げ”を可能にしたもので、オーバークロックがFSB上昇のみに頼る通常モデルと違い、より手軽に上の性能を狙えるCPUとして評価を高めた。 今回テストする9600BEも、先行して市場に出ていた「Phenom 9600」と同じスペック(2.3GHz動作、TDP95W)を持ちながら倍率変更が可能なモデルという触れ込みだ。すでに本サイトでも既報の通り、今年は上位版である「Phenom 9700/9900」のリリースを控えているが、9600BEをうまく“調教”できれば、手頃な値段で9700や9900に匹敵する性能を手に入れられる可能性がある。9600BEのステッピングはTLBエラッタ対策が施されていない“B2”であるという微妙なマイナス点はあるものの、オーバークロック好きにとっては取り組みがいのあるCPUといえよう。
“調教”のための準備
では早速実験環境の構築にとりかかろう。9600BEは従来のBlack Editionと異なり、パッケージにリテールクーラーが同梱されている。だが、今回検証するCPUは、AMDから直でお借りしたCPUのみのサンプル版であったため、一昨年および昨年前半の最冷クーラーの誉れ高いZalman製「CNPS9700-LED」を用意した。その他のパーツは以下の通りの構成となっている。
環境構築時に困ったのがマザーの選択だ。前回「Phenom 9900」のプレビューを行った時点では、AMDの評価キットに含まれていたASUS製「M3A32-MVP Deluxe」を使ったが、今回のテストではそれが調達できず、GIGABYTE製「GA-MA790FX-DS4」を使用した。BIOSはテスト時点で最新の「F3」を導入し、BIOS上でエラッタ対策のパッチを有効にしている。
テスト環境 |
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CPU:AMD「Phenom 9600 Black Edition」(2.3GHz) |
マザーボード:GIGABYTE「GA-MA790FX-DS4」(AMD 790FX) |
メモリ:Transcend「TX1066QLJ-2GK」(DDR2 1066 1GBx2) |
ビデオカード:GeForce 8800GTX |
HDD:Seagate「ST3500630AS」(500GB SerialATA) |
OS:Windows Vista Ultimate |
グラフィックドライバ:ForceWare 169.25 |
(次ページへ続く)
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