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最新パーツ性能チェック 第60回

【最新パーツ性能チェックVol.60】

新生「Phenom X4」は悩めるAMDファンの福音となる!

2008年04月01日 13時00分更新

文● 加藤 勝明

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 昨年11月に鳴り物入りで市場に投入されたAMDのK10世代のCPU「Phenom」。インテルはCore 2 Quad/Extremeを既存のデュアルコアを2つ使うマルチチップモジュールで提供しているのに対し、Phenomは4つのコアを完全に1つのダイに融合したシングルチップモジュールであることを“ネイティブ・クアッドコア”として強くアピールしてきた。Athlon 64 X2はすでに性能面で閉塞感があっただけに、Phenomの誕生を喜んだ人も多いことだろう。

Phenom

昨年11月に鳴り物入りで登場したクアッドコアCPU「AMD Phenomプロセッサー」のイメージ写真

 しかし、Phenomの勢いに冷や水を浴びせかけたのが「TLBエラッタ」の発見だ。このエラッタはBIOSで回避できるものの、エラッタ対策を盛り込むと性能が数%落ちる……たかが数%といえど、やはりユーザーの立場としては、何か不具合を抱えている物を買うというのはかなり腰が引けてしまうものだ。「俺、エラッタ対策が盛り込まれたらPhenomを買うんだ」と、ひたすら待ち続けていた人も少なくないだろう。
 だが、遂にAMDは新ステッピング「B3」で製造された“新しいPhenom”こと「Phenom X4」および「Phenom X3」シリーズを遂にリリースした(関連記事)。今回は「Phenom X4 9850 Black Edition」(以下9850BE)のサンプルが入手できたため、新生PhenomはどんなCPUになったのか、ベンチを交えたインプレッションをお届けしよう。

Phenom X4 9850 Black Edition

AMDからお借りした「Phenom X4 9850 Black Edition」のサンプル。形状はAM2+のまま変更はなく、OPNだけが新型であることを物語る。クロック周波数2.5GHzで、テスト品のOPNは「HD985ZXAJ4BGH」であった

待望のB3ステッピング降臨

 まず知っておきたいのは、B3ステッピングのPhenomより、製品の命名規則が変更になったことだ。これまでの「Phenom+4ケタ数字」ではなく、「Phenom X【コア数】+4ケタ数字」となり、Xに続く数字でコア数が判別できるようになっている。
 PCパーツ市場に向けてリリースされるのは2.5GHz動作の「9850」を筆頭に、2.4GHzの「9750」、そして2.2GHzの「9550」の3種類だ。モデルナンバー末尾が「50」がB3ステップの証となる。下表は今回AMDから発表された新Phenomの一覧だが、グレーで色着けされた製品はOEM向け市場用の製品であることに注意したい。

  Phenom X4 9850 Black Edition Phenom X4 9750 Phenom X4 9650 Phenom X4 9550 Phenom X4 9100e
動作クロック 2.5GHz 2.4GHz 2.4GHz 2.3GHz 2.2GHz 1.8GHz
コア数 4 4 4 4 4 4
HyperTransportクロック 2GHz 1.8GHz 1.8GHz 1.8GHz 1.8GHz 1.8GHz
2次キャッシュ 512KB×4 512KB×4 512KB×4 512KB×4 512KB×4 512KB×4
3次キャッシュ 2MB 2MB 2MB 2MB 2MB 2MB
TDP 125W 125W 95W 95W 95W 65W
製造プロセス 65nm 65nm 65nm 65nm 65nm 65nm
パッケージ Socket AM2+ Socket AM2+ Socket AM2+ Socket AM2+ Socket AM2+ Socket AM2+

 B3ステップの変更点は前述のエラッタ対策を設計に盛り込んだだけで、コアの基本的な設計やキャッシュ類の搭載量などに変更はない。最上位の9850のみHyperTransportのクロックは2GHzにアップしており、フラッグシップモデルと呼ぶに相応しい味付けがされている。TDPは125Wと今どきのクアッドコアCPUとしては平均的なものだが、インテルの「Core 2 Extreme QX9650(3GHz/TDP130W)」と比較するとTDPはやや高いという印象は拭えない。

CPU-Zによる情報表示(写真左/9850 BE、写真右/9500)。Stepping欄に表示された「3」がB3ステッピングであることを示す

AMD OverDrive

同じくAMD OverDriveによる9850BEの情報。2次・3次キャッシュ搭載量は以前と同じだが、HyperTransportの速度が2GHzになっていることがわかる

AMD OverDrive

Black Editonゆえに倍率設定はフリー。ノーマル版のPhenomの場合、左下「Multiplier」のツマミは標準で右端(そのCPUの倍率)にあるが、Black Editionの場合は図のように左右に動かせる位置にある

ベンチで9850BEの性能をチェック

 それでは実際のベンチマークで9850BEの性能をチェックしていこう。今回は9850BEに加え、B2ステップの「9500」を用意した。主なパーツの構成は以下の通りだ。マザーのBIOSは最新の「F6」に更新している。

テスト環境
CPU:AMD「Phenom X4 9850 Black Edition」(2.5GHz)
マザーボード:GIGABYTE「GA-MA790FX-DS5」(AMD 790FX)
メモリ:Transcend「TX1066QLJ-2GK」(DDR2 1066 1GBx2)
ビデオカード:GeForce 8800GTX
HDD:Seagate「ST3500630AS」(500GB SerialATA)
OS:Windows Vista Ultimate SP1
グラフィックドライバ:ForceWare 169.25

(次ページへ続く)

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