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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第6回

ぼくはまちちゃん! こんにちはこんにちは!!

2007年09月03日 17時01分更新

文● 古田雄介

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“破壊”から“晒し”へ──人の興味を惹くほうに


── 小学生からプログラムを理解しているとなると、Windows 3.1や95が出た時代は、パソコンの世界って隙だらけに見えましたか?

はまちや2 うーん。当時はプログラムは隙だらけが当然という風潮だったから、特に何も感じなかったね。セキュリティやら脆弱性を世間が気にし出したのは、ここ数年の話じゃないかな。

 昔もウイルスのようなものはあったんだけど、その頃の被害と言えば、パソコンやプログラムをダウンさせるのが主流だったと思うんだよ。パソコンで個人情報を管理している人が圧倒的に少なかったからね。騒ぎが起きても専門の業界内だけで、一般的に注目されることがほとんどなかったんだ。

 でも、今は違う。ちょうど“Web 2.0”とか言われ出したあたりから、 普通の人でも、パソコン内やmixiなどのインターネット上のサイトに、日記やプライベートのデジカメ写真など、個人情報をどんどん保存するようになっている。みんながネット上に個人情報をたどれる“ひも”を残していくようになったんだ。


── クラッカーの興味も、個人情報を“晒す”ことに向いているという?

はまちや2 そうそう。破壊するよりも晒したほうが、一般の人が面白がったり、怖がったりと、とにかく反応が大きくなる。破壊されただけなら、その場のショックで済むけれど、個人情報を晒されたら、下手すると人生終わっちゃうからね。


── 個人情報といっても、クレジットカード番号のような絶対に晒してはいけないものと、出身地のような割とどうでもいいものがあります。どのレベルが危険なんでしょう?

はまちや2 とりあえず、「ネットをよく分かってない人は、少なくとも本名はどこにも晒すな」ということは言いたいね。2ちゃんねるのひろゆき氏とか、実名でネット活動している有名人もいるけど、彼らは“ネットで本名を晒している”ってことを自覚して活動しているからいいんだよ。

 そういう自覚がないまま、ブログやmixiに本名を晒して日記を書き続けるのは危険。例えば、住所が特定できるようなことを平気で書いてしまうから、突然、ストーカーみたいなヤツに惚れられたときに対処できなくなるんだ。顔写真なら、ネットで検索しにくいからまだましだけど、名前を晒すとキーワード検索で引っかかるから危ないよね。


── SNSには本名での登録を推奨しているところもありますよね。

はまちや2 本名で登録することで昔の友達に出会えるとか、信用度が上がるという効果はあるだろうけど、運営者側が勧めるのはどうかと思うよ。ネットをよく知った人が、自覚的に実名を使うようにしないと。今はmixiも登録時に注意書きを付けたりして対処しているよね。



「本当に怖い人は、見えないところにいる」


── 最後に、“はまちや2”さんのような気付く能力と、古いクラッカーのような腕を持った人が、世界にはいくらかいるかと思います。そうしたクラッカーが組んで悪意を持てば、インターネットを“殺す”こともできるのでしょうが、なぜそうならないのですか?

はまちや2 単に「触っても仕方がないだろ」「メリットないだろ」という感じで野放しにされているだけじゃないかな。それに脆弱性を“上手に”使うには、さらに高度な技術が必要だよね。自分が得してバレないようにしないといけないから、リスクも高いと思うよ。

 ぼく自身、悪用する気は起きないね。もしも本気で悪用を考えているのなら、わざわざ公表するようなことはせずに、徹底的にひっそりやる。例えば「普通の日記です」って公開しておいて、見えない形で個人情報を抜き取るようなページを作るんだ。これくらいはまあ普通なんだけど、さらに初心者が多そうなプロバイダーの人が来たときだけ、100分の1の確率で抜き取るとかね。そういうふうに用心して作ると思うよ。だから、本当に怖い人は見えないところにいるんじゃないかな


── 実際にいますかね。

はまちや2 ぼくは知らないけど、いてもおかしくないんじゃないかな……!


筆者紹介──古田雄介


建設現場と葬儀業を経てデジタル&サブカルライターに転身。デジタルと言いつつ、“古田雄介の週末アキバPick UP!”(ITmedia)など、足で稼ぐ記事が多い。当連載では、大好きなサイトの管理人さんに直接会える喜びを堪能しています。自ブログは“古田雄介のブログ”。



*次回は9月17日掲載予定



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