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週替わりギークス 第187回

妻より収入が低いと不倫リスクが上昇!? 現代社会の思わぬ結婚リスク

2020年09月18日 17時00分更新

文● 高桑蘭佳(らんらん) 編集● ASCII

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いまの彼氏と結婚して幸せになれるのか?

インタビューに協力してくれた社会学者の毛塚和宏(けづかかずひろ)さん

 メンヘラテクノロジーの高桑蘭佳です。私は今年で26歳になり、友達が次々と結婚する第1次結婚ラッシュを迎えています。最近、私自身もまわりの人たちから、結婚について聞かれることが多くなってきました。

 そこで、気になるのが「現在の恋人は、恋人としては良いかもしれないけれど、結婚相手としてはどうなの?」ということ。メンヘラ女子たちは、結婚相手に求める条件などは本当にどうでも良くて、「彼氏に経済力がないなら私が稼ぐ」くらいの勢いがある人が多いと思います(もしかしたら、私だけかもしれませんが……)。

 しかし、世間一般では、恋人と結婚相手に求める条件は違う人も多いようです。たとえば、マッチングアプリのタップルが実施した調査では、「恋人と結婚相手に求める条件は異なりますか?」という質問に対し、約半数に及ぶ46.7%の男女が異なると回答しています。

 この調査では恋人にしたい/結婚相手にしたい有名人についても質問しており、恋人にしたい有名人の1位は中村倫也さん、結婚相手にしたい有名人の1位が田中圭さんだったとのこと。ちなみに、仮に、世の中の男性を「中村倫也さんタイプ」と「田中圭さんタイプ」の2つに分けるとしたら、私の彼氏は圧倒的に「中村倫也さんタイプ」です。

 これまで「結婚相手に求める条件」なんて、余計なお世話だ! 彼氏のことが大好きだから、関係ない!! と思っていました。今回は少し現実を見て、「結婚するうえで、どのようなことが大事なのか」「どうしたら、幸せになれるか」考えてみることにしました。

 そこで、今回悩みを相談したのは、私が通う東京工業大学大学院の指導教官であり、社会学者の毛塚和宏(けづかかずひろ)先生です。

毛塚和宏(けづかかずひろ)先生

 1989年生まれ。東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院/環境・社会理工学院 社会・人間科学系 講師。専攻・研究テーマは数理社会学、計量社会学、結婚、教育達成の不平等。早稲田大学基幹理工学部数学科卒業、東北大学大学院文学研究科博士前期課程修了、東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。

Researchmap:https://researchmap.jp/kezuka_kaz/
note:https://note.com/kkezuka

1日16分間の会話増加は、月10万円の給料アップと同じ効果を持つ

——今回、毛塚先生に相談させてもらったのは「先生が結婚や夫婦関係に関する論文をいくつか出されていて、結婚とか夫婦関係とかにお詳しいのではないか」と思ったからなのですが、最近はどのようなテーマで研究されているんですか?

 大きな研究テーマは、家族社会学がメインになってるかな。博士課程では「なぜ、お見合い結婚が衰退して、恋愛結婚が普及したのか」「それが結婚するタイミング、晩婚化に影響を与えているのか」を分析しました。

 ちょうど研究計画を練っているところなんだけど、いまは「男子校や女子校に通うと、性別役割分業の意識が強まるのか弱まるのか」といった問題や夫婦関係についての研究をしています。

——なるほど。そのようなさまざまな研究をされている先生に、さっそく質問なんですが、私はいまの彼氏と結婚して幸せになれますか? 私は彼氏のことが大好きなので、ずっと一緒にいたいと思っています。社会学の観点から、どんな相手と結婚したら幸せになれるか? など教えてもらいたいです!

 まず「幸せ」をどう定義するかにもよるけれど、社会学の観点からいうと、結婚に関する幸せは「結婚満足度」と「夫婦関係満足度」で決まります。これらを使った調査は世界各国で山ほどあり、ある種の鉄則みたいものがあります。少し難しい言葉ですが、鉄則とは「夫の情緒的サポート」の有無がカギになっていることです。

——情緒的サポートというのは?

 要するに、「話を聞いてもらえる」とか「心理的に優しく接してもらえる」とかですね。

 社会学者の山口一男(やまぐちかずお)さんによる夫婦関係満足度とワークライフバランスについて分析した論文では、平日1日あたり16分間の夫婦間における会話が増えることは、月10万円の給料アップと同じ効果を持つという結果が出ています。まさに、夫婦間の会話は、情緒的サポートの表れとして捉えられます。

 「話を聞いてもらえない」のは情緒的サポートが欠如した状態のため、「ないがしろにされる」ことと同じです。情緒的サポートは「夫が家事をしてくれることよりも重要かもしれない」という研究結果も出ています(※)。だから、現在の恋人が結婚相手にふさわしいかどうか考えるにあたっては、まず「相手が話をちゃんと聞いてくれるかどうか」見極めるのが重要かもしれませんね。

——彼氏は話を聞いてくれるほうだと思います。でも、やはり、彼氏の仕事が忙しくなると、話せる時間も減るし、LINEも返してもらえなくなります。彼氏が働かなくても良いぐらい、私が稼げたら良いのですが……。

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