ハイエンドなPCの運用方法として、すっかり定着した感があるのがPCゲーム配信だ。「PUBG」や「フォートナイト」のようなeスポーツ系タイトルの認知度向上、CPUやGPUの進化によるスペック不足の解消、配信者やVTuberが行うゲーム配信の人気コンテンツ化といった複合的な要因により、すでにゲーム文化のひとつとして楽しんでいるユーザーも少なくないだろう。
自分でゲーム配信をしてみたいというユーザーも多いと思うが、それには多少の知識と準備が必要だ。特に重要なのが配信ソフト選びで、これ次第で最終的にできることが大きく変わってくる。ゲーム画面だけを手軽に配信したいのか、カメラの映像や合成、テキストを入れるなど本格的な配信がしたいのかによっても、適するソフトは異なるだろう。
この特集では、そんなゲーム向けの配信ソフトや機能に焦点を当て、個別の特徴や使用方法について解説していく。
実は選択肢が多い配信ソフトや機能
PCでゲーム配信をするためには、配信画面の構築、およびゲームなどの映像処理を行ってくれる配信ソフトや機能が欠かせない。これらのソフトや機能には、大きく分けて「単独の配信ソフト」と「特定のソフトウェアやOSに実装された配信機能」の2種類がある。前者は「XSplit Broadcaster」などの有名ソフト、後者はNVIDIAの「GeForce Experience(ブロードキャストライブ)」やWindows 10の「Xbox Game Bar」がそれに当たる。有名なものを以下に列挙してみよう
・単独の配信ソフト
XSplit「XSplit Broadcaster」
OBS Project「OBS Studio」
Streamlabs「Streamlabs OBS」
・特定のソフトウェアやOSに実装された配信機能
Valve(Steam)「Steam ブロードキャスト」
Microsoft(Windows 10)「Xbox Game Bar」
NVIDIA「GeForce Experience」
AMD「Radeon ReLive」
それぞれに特徴があるものの、機能や拡張性が高いのは単独の配信ソフトだ。単なるゲーム画面の配信に留まらず、カメラの映像や作りこんだ画像、テキストなどを自由に配置したり、複数サイトへの同時配信にも対応できる。プレビューモードを生かしたプロユースの配信など、画面作りにこだわるのであれば、こうしたソフトを使うのがベターだろう。
一方で「Xbox Game Bar」「GeForce Experience」や「Steam ブロードキャスト」といった特定アプリに実装されている配信機能は、単独ソフトに比べれば画面の作りこみがほとんどできない(単にゲーム映像を流すことに特化)、配信サイトが限定されるといった制約こそあるものの、無料で手軽に配信を行えるのが強みだ。不特定多数の視聴者ではなく、特定の友人やSteamフレンドにゲーム映像を共有したいといった場合、こちらのほうが導入と操作が圧倒的に楽なので、あまり難しいことをしたくない場合などに利用するといい。
ここからは、それぞれのソフトや配信機能のおおまかな特徴を紹介していこう。
「XSplit Broadcaster」
Xsplit
ライセンス制(年間59.95ドル、3ヵ月24.95ドル)
有料ソフトの中では圧倒的な人気を誇る配信ソフト。シーンの切り替えやカメラ映像・動画・音声ソースの取り込み、クロマキー合成といった豊富な機能とプラグインを利用可能でき、単なるゲーム配信のみならず、イベント配信や中継にも利用されることが多い。ハウツーも多く、マザーボードやグラフィックボードといったPCパーツにライセンスコードがバンドルされていることもあるため、クオリティーの高い配信を行うのであれば使って損はないだろう。
「OBS Studio」
OBS Project
無料
無料で提供されるオープンソースの配信ソフトウェア。「XSplit Broadcaster」に迫る豊富な機能を備え、なおかつ無料で提供されているという手軽さから、XSplitと市場シェアを二分する超人気ソフト。複数サイトでの同時配信など、XSplitに比べて若干の煩雑な設定が必要な項目もあるものの、基本的な画面作りやサイトでの配信であれば、まったく問題なく利用できる。NVIDIAの新「NVEnc」にいち早く対応するなど、最新機能の実装が早いのも魅力だ。
「Streamlabs OBS」
Streamlabs
無料
オープンソースで改変が可能な「OBS」をベースに、「Streamlabs」の機能を統合した配信ソフトウェア。有名配信者などによく使われるチャンネル登録者の増加やドネーション(寄付)、配信サイトのチャット欄のオーバーレイといった設定が非常に容易になっており、Twitchと連携するゲーム系配信者には特に人気がある。ただし、「OBS Studio」では対応していたLinuxやMacでの利用が不可能となっているなど、単に機能を追加したソフトでないことには注意。
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