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特許の次は、標準化と海外展開。TechDay2026で掘り下げること

北島×ガチ鈴木の最近何してた?

11月の「ASCII STARTUP TechDay 2026」に向けて絶賛準備中の編集部。今年は何を掘り下げるのか。今年の注目テーマとASCII STARTUPの新たな取り組みについて、編集長・北島とガチ鈴木が語る。

大学発・ディープテックのイベントが増えてきた

北島:8月、9月は大学発スタートアップやディープテック系のイベントがかなり続いているね。

ガチ鈴木:多いですね。先日は大学見本市に行ってきましたし、9月には渋谷のTECHNIUM Global Conference 2026、仙台のATERUI 2026と、DATERISE! 2026にも行ってきました。大学見本市でお会いしたエコシステム関係者の方々も「8月、9月はディープテック系のイベントが多くて大変です」と言っていました。

8月27日・28日に東京ビックサイトで開催された「大学見本市 2026」

9月2日・3日に渋谷で開催された完全招待制のディープテック・カンファレンス「TECHNIUM Global Conference 2026」

東北最大級のビジネスカンファレンス「ATERUI 2026」

仙台市が主催するスタートアップイベント「DATERISE! 2026」

北島:大学見本市で気になるスタートアップはあった?

ガチ鈴木:まだラボレベルだったり、実証前だったりする研究も多かったですが、記事にしたいものもいくつか、おもしろい研究はかなりありましたし、VCの方も多く来ていました。特集「未来を変える科学技術を追え!大学発の地味推しテック」でネタにしてもらおうと思います。大学の研究シーズを見つけて、その可能性を探る場はかなり増えていますよね。以前に比べ、大学の研究とスタートアップ、VCの距離も近くなっていると思います。

北島:技術を見つける場は、かなりできてきた。その次に、どうやって会社にして、どう市場に持っていくかが問われるようになってきた、と。

ガチ鈴木:そこはまさに「ASCII STARTUP TechDay」で扱いたいところです。
 

去年のTechDayで反響が大きかった「標準化」 

北島:昨年から始めたTechDayを今年もやるけど、改めて振り返ってみてどうだった? 

ガチ鈴木:ディープテックを社会実装に結びつけるためには、スタートアップ側だけではなく、支援者側や制度側もバージョンアップしていく必要がある、というのがTechDayの大きなテーマです。2025年度は官公庁や自治体、支援機関の方などを中心に約300名に参加いただきました。大学発スタートアップを紹介するだけではなく、それを支える制度や仕組みまで含めて議論する場にしたかったんです。

北島:昨年、想定よりも特に反響が大きかったのが「標準化」のセッションだったね。

ガチ鈴木:そうですね。「ここまで踏み込んで扱うんですね」という声をいただきました。スタートアップのイベントでは、資金調達や採用、事業開発はよくテーマになりますが、標準化はあまり表に出てきません。ただ、ディープテックを事業として大きくしていくには非常に重要です。

 研究やスタートアップの早い段階から、知財だけでなく、世界のルールや標準まで見据えていく必要があります。考え方としては知財戦略にかなり近いんです。

北島:技術が完成してから標準に合わせるのでは遅い、と。

ガチ鈴木:そうです。先日、NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)にも話を聞きました。モバイルバッテリーなどの製品事故を調査したり、EVの燃焼試験をしたり、製品の安全性評価や基準づくりに関わっている組織です。こうした機関を、スタートアップ側がもっと早い段階から使っていく。その発想はもっと広まっていいと思います。

ASCII STARTUP TechDay 2025のセッションの様子(記事)

知財で守り、標準化で市場を広げる

北島:今年のTechDayは、グローバルにつながるテーマとして、標準化や海外展開の話を掘り下げていきたいね。

ガチ鈴木:はい。今年は知財と標準化を組み合わせて、経営戦略としてどう使うかまで踏み込みたいと考えています。

 例えば、自社の技術を特許で守るだけではなく、その技術が使われる市場そのものをどう広げるかを考える。100億円の市場で大きなシェアを取ることだけでなく、標準化によって市場を1000億円まで広げ、その中で自社が優位なポジションを取る、という考え方もできます。

北島:標準化というと、つい日本だと決められたルールに合わせる話に聞こえるけど、自分たちで市場をつくるための手段でもあるわけだね。

ガチ鈴木:そこが重要です。知財も標準化も、制度があることを知っているだけでは意味がありません。特許庁やNITEのような制度や支援機関を、事業を伸ばすためにどう使い倒すか。今年はそこまで具体的に話したいですね。

北島:ディープテックは開発期間も長いし、規制や安全基準が関わる領域も多い。技術だけを見ていては事業にならないと。

ガチ鈴木:その通りだと思います。

海外進出は、いきなり米国じゃなくてもいい

北島:標準化に加えて、海外展開も大きなテーマだね。

ガチ鈴木:2025年度は「海外における大学発スタートアップの作り方」をテーマにしました。2026年度はそこから一歩進めて、日本の大学発スタートアップが、海外の課題や市場とどうつながっていくかを扱いたいと思っています。

 海外の方と現地で話していて感じるのは、課題から技術を探す発想がかなり強いことです。市場に課題があるから、その課題を解くための技術を探す。一方、日本では、まず優れた技術があって、そこから使い道を探すケースが多い。

北島:前回の座談会でも話した「矢印の向き」の違いだね。

ガチ鈴木:ただ、最近は個人的に、日本は技術から使い道を考える方向のままでもいいのではないかと思い始めています。おもしろい研究や技術がたくさんあるなら、それを起点に市場を探すやり方も、日本なりの強みになり得るんじゃないかと。

 今年は、それを前提に、技術と市場の間をどうつなぐかまで見せたい。現在、オーストリアの「GO Austria」制度の担当者にも登壇を調整しています。GO Austriaは、海外スタートアップがオーストリアで市場理解や企業とのマッチングを進め、欧州市場への進出につなげる制度です。

北島:ViennaUPの取材でも出てきたね。オーストリアをテストマーケットとして使い、そこからドイツやイタリア、スイスなど周辺国に展開していく。

オーストリアでは政府機関のGINが、アジアからヨーロッパへの進出を支援する「GO AUSTRIA」プログラムを展開している(記事)

ガチ鈴木:そうですね。海外展開というと、いきなり米国に行く、と考えがちですが、現地の支援機関やエコシステムを使って段階的に進める方法もあります。

 ASCII STARTUPとしても、海外の支援機関とのコネクションを少しずつ強めています。日本のスタートアップの海外進出だけではなく、海外スタートアップと日本企業をつなぐようなイベントも今後仕掛けていきたいですね。

北島:今年のTechDayは、そうした海外のプレイヤーも交えながら、かなり具体的な話ができそうですね。イベントに合わせて、編集部でも関連する特集記事を準備します!

ASCII STARTUP、記事の外にも広がっています

北島:ASCII STARTUPの取り組み自体も、記事やイベント以外に広がっています。8月には『新規事業の本質 世界レベルの「理論」と「現場知」で描く全体地図』を刊行しました。

ガチ鈴木:反応はかなりいいですね。新規事業について、極端に難しい概念だけを扱うのではなく、実務で必要になる前提知識を体系的にまとめています。

北島:企業の方からは、「社内の共通言語として使える」という声もいただいています。新規事業担当者だけが理解していても、上司や他部署と認識が合わなければ進まない。スタートアップとの協業や新規事業について、社内で同じ前提を共有するための教科書のような使い方ですね。

ガチ鈴木:新規事業に関わる人自体が増えていますから、まず基礎の底上げが必要だと思います。

北島:加えて企業向けでは、昨年12月から今年3月にかけて、パーソルの管理職約50名を対象に、AIを使った新規事業の研修も実施しました(参考)。ASCII STARTUP、AI白書、MITテクノロジーレビューの編集ノウハウを組み合わせて、全6回のプログラムを作りました。単に生成AIの使い方を教えるのではなく、実際の業務でどう使うか、プロンプトをどう改善するか、知財リスクをどう考えるかまで扱っています。

ガチ鈴木:AIは変化が速いので、ツールの操作方法だけ教えてもすぐ古くなります。新しい技術が出てきた時に、自分たちで試して、評価して、改善できるところまで持っていくことが大事ですよね。

北島:メディアとして記事を作ることが中心でしたが、そこで蓄積してきた知識を、本にしたり、研修にしたり、別の何かにしたりする。形を変えながら、新規事業やスタートアップに関わる人たちに届ける取り組みは今後も増やしていきたいと思っています。
ガチ鈴木:まずはTechDayですね。さらに具体的な議論ができる場にしたいです。

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