「アイフレイル」ってなに?目の不調に潜む病気発見にもAIが役立つ
ACジャパンのCMで話題の「アイフレイル」は、加齢による目の衰えに加えて、生活習慣などのストレス要因から目の機能が低下しつつある状態のこと。緑内障などの目の病気のほか、糖尿病や高血圧といった全身疾患が隠れている場合もあり、発見が遅れると失明に至る恐れも。早期発見には眼科医での定期的な検査が重要だが、高齢者人口の増加に伴う需要増に対して専門医の不足が課題として挙げられている。ICTスタートアップリーグに採択されているDeepEyeVision株式会社は、このような眼科医の検査を効率化する「眼底画像診断支援AI」を開発している。
同社が現在取り組んでいるのは、初期緑内障の診療精度の向上と検査の効率化だ。具体的には、AIを用いて眼底画像から視野を推測するプログラムを開発。検査時間を大幅に削減し、患者と医師双方の負担を軽減できるという。さらに、LMMを用いて眼底検査の画像から疾患名や読影所見を自動生成するシステムも開発している。
同社によると、眼底画像から神経や血管を診ることで、糖尿病や高血圧といった全身疾患の早期発見も将来的に可能になるという。早期診断技術の研究と、全国の眼科医への画像診断支援AIの導入が進めば、患者の負担を軽減するとともに、医療リソースの効率的な活用も期待される。目の健康は、医療費全体の負担軽減や保険財源の健全化にもつながるかもしれない。
文:スタートアップ研究部
ASCII STARTUP編集部で発足した、スタートアップに関連する研究チーム。起業家やスタートアップ、支援者たちの活動から、気になる取り組み、また成長・成功するためのノウハウやヒントを探求している。この連載では、総務省のICTスタートアップリーグの取り組みからそれらをピックアップしていく。
※ICTスタートアップリーグとは?
ICTスタートアップリーグは、総務省「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」を契機として2023年度からスタートした官民一体の取り組み。支援とともに競争の場を提供し、採択企業がライバルとして切磋琢磨し合うことで成長を促し、世界で活躍する企業が輩出されることを目指している。
https://ict.startupleague.go.jp/