独自VPSとPLATEAUで創る都市のデジタル広告がグランプリ。未来のプロダクトアイデアをスタートアップ8社がプレゼン
「PLATEAU STARTUP Pitch 02」レポート
提供: PLATEAU/国土交通省
駐車場での自動運転、謎解き✕PR、音声ARのナビガイド、空間情報シェアリングなどユニークなアイデアがスポンサー賞を受賞
続いて、今回の協賛企業である株式会社PRTIMES、SOLIZE株式会社、東急株式会社、日本電気株式会社から贈られたスポンサー各賞を紹介する。
SOLIZE賞:パーキングサイエンス株式会社「UPDATE PARKING」
SOLIZE賞は、パーキングサイエンス株式会社の「UPDATE PARKING」が受賞した。駐車場業界が抱える課題として「駐車場の価値向上」「駐車場事業のDX」「自動運転時代への準備」が挙げられる。パーキングサイエンス株式会社はこれらを解決すべく、創業百周年を迎える相模石油株式会社から、"駐車場が好きなメンバー"が集まって2020年に設立されたスタートアップだ。
代表の井上直也氏は、社会課題のひとつとして「駐車場内の交通事故」を挙げた。実は交通事故の30%は駐車場内で起きているという。これを「駐車場をアップデートする」ことで解決しようというのが、「UPDATE PARKING」ということになる。
「UPDATE PARKING」が掲げるのは3つの事業によるシナジー効果だ。1つは駐車場検索。ユーザーにとっての利便性を数値化し、それによって駐車場の価値を向上する。もう1つは、駐車場事業のDXを推進する駐車場事業専用分析システムだ。さらに、これらの事業で収集した情報をデータベース化することで、駐車場内の自動運転の実現を目指している(2025年に自動運転の実証実験を開始する予定)。今回、PLATEAUの3D都市モデルを用いることで、駐車場データベースを3D化できるのではと提案を行った。
SOLIZE株式会社の福島康弘氏は授賞理由を次のように述べた。
福島氏:利活用ポテンシャルの高いデータを集めていることが、そのまま「ユニークな強み」になっていると思います。ビジネスとしてはまだ課題はありますが、一緒に良いものを考えられるのではないかと思い、選出しました。
パーキングサイエンス井上氏の受賞コメントは次のとおり。
井上氏:すごい技術を持っているスタートアップのみなさんの中で、こういった賞をいただけることに、本当に感動しています。このビジネスをどんどん成長させたい、良いビジネスにしていきたいと思います。
PR TIMES賞:SphereMystica株式会社の「交差するパラレルワールドの謎 〜3D都市からの脱出〜」
PR TIMES賞は、SphereMystica株式会社の「交差するパラレルワールドの謎 〜3D都市からの脱出〜」が受賞。国内市場400億円規模に広がっている「謎解き」を使ったプロジェクトだ。
「謎解き」とは、プレイヤーが物語の主人公になって謎を解き明かしながらゴールを目指す、体験型のエンターテインメントだ。SphereMystica株式会社が得意とするのは、そこにデジタルをかけ合わせること。AR、IoTなどを謎解きに取り入れ、例えば、特定の場所に行くとAR上にヒントが表示され現実世界の情報と併せて謎を解いていく。あるいは、デバイス上のアプリ内で魔法の杖を振ると妖精が目の前に現れヒントをくれたり、アプリに答えを入れると現実世界の宝箱が開くといった形だ。
今回提案したのは、現実とバーチャル世界を行き来しながら、楽しんで謎を解いていく周遊型の謎解きイベントだ。例えばバーチャル世界で東京タワーに入るためのトークンを手に入れたら、現実世界で実際に東京タワーに入れて新しい情報が手に入る、といったイメージだ。こうしたアイデアの中で、PLATEAUの3D都市モデルを活用することで屋外・屋内の環境をバーチャル上に再現し、リアルとバーチャルのシームレスな行き来を実現したいと提案した。
株式会社PRTIMESの高田育昌氏は授賞理由を次のように述べた。
高田氏:事業拡大をしていく中で、プレスリリースの配信機会も、いろいろと広がり、さまざまな内容で出していただけそうだという確信もあり、選ばせていただいた。素敵なプレスリリースの配信を期待しています。
SphereMystica株式会社 CEO 大谷宜央氏の受賞コメントは次のとおり。
大谷氏:謎解きというエンターテインメントとPRというところで、かなり相性が良いと思います。P2C(Person to Consumer)として、より大きなマスにしてもらえるようにたくさん活用させていただきたいと思います。
東急株式会社賞:LOOVIC株式会社「空間認知を解決する、無人ナビガイド」
東急株式会社賞は、LOOVIC株式会社の「空間認知を解決する、無人ナビガイド」が受賞。独自の音声ARにナビゲーション機能を備えた無人のガイドで、ユーザーの移動モチベーションを引き出すことも特徴とした街歩きコンシェルジュサービスでもある。PLATEAUと連携し、プラットフォームの構築を目指す。
プレゼンではスズキ株式会社と実証実験を行っている様子の動画が紹介された。ナビガイドを地域の人がみずからの声で作ることができ、利用者はディスプレイなどを見ずに周りの景色を目印にしながら目的地に向かえる。地域住人や利用者の身近にいる人が地域情報とともにナビゲーションを担当することで、その人の行動範囲や特性に合わせた地域情報の案内ができたり、目的地までの風景を楽しむ機会を提供できるという。
LOOVIC株式会社 代表取締役の山中享氏が目指すのは「人が一緒に歩いているような体験」だ。地図アプリは便利な半面、目的地に到着することに意識が向きがちで、移動する道中に見られるそこに住む人や街の個性といった情報が抜け落ちてしまっていると指摘する。それを埋め合わせるのが、このナビガイドということになる。
東急株式会社の佐藤雄飛氏は授賞理由を次のように述べた。
佐藤氏:公共交通事業者として、アクセシビリティをどう改善するかという切り口が、一番刺さりました。最終的な決め手はそこです。特に、パーソナルモビリティはこれから増えていくでしょう。私自身、電動キックボードや自転車のシェアサービスを普段使っていますが、スマホで地図を見ながら移動するのは非常に危険です。音声案内に進化していくべきだと思っていました。今後パーソナルモビリティはシェアする乗り物として公共交通になっていくと考えており、公共交通事業者として裾野を広げることにつながるアクセシビリティ改善の観点がとても興味深いと思いました。
LOOVIC山中氏の受賞コメントは次のとおり。
山中氏:指向性スピーカーがあるので、モビリティでも耳にイヤフォンをつけるのではなく、走りながらでもしっかり音声が聞こえるというところを含めて開発をしています。XRなどの技術のキャッチアップも行いながら、これからもがんばります。
NEC賞:株式会社DATAFLUCTの「SpatialLink(仮) - 空間情報シェアリングサービス -」
NEC賞は株式会社DATAFLUCTの「SpatialLink - 空間情報シェアリングサービス -」が受賞。「SpatialLink」は、空間IDとPLATEAUを使って、現実世界の場所をデジタル化しユニークなURLを生成するシステムだ。
空間IDとは3次元空間内の位置を一意に特定できるようにする規格であり、ロボットやドローン、モビリティなどによるタスクの安全な遂行を可能とする。
こうした空間IDに関して、位置情報ではないところでの活用にイノベーションの可能性を考えていると株式会社DATAFLUCT 代表取締役CEOの久米村隼人氏はいう。空間IDには情報を軽くして使いやすくするメリットがあるが、そのデータをさらに分析することによって一歩先の未来を予測できるという。結果として、自律走行モビリティ、ドローン、IoT活用の生産性が高まっていくと見ているのだ。
具体的には、この空間IDの中にさまざまな情報を入れていくわけだが、そこには気象情報、気流、空調、照明など時系列に変化している動的な属性を持たせられる。それに対し、DATAFLUCTが考えるのはデータ基盤側で処理をするアプローチだ。予測情報を持たせた空間IDによって、ロボットとの協調もより進むと考えているという。実際にDATAFLUCTでは竹中工務店とともに、デジタル庁が進める実証実験に参加し、建物内のデータを空間IDに統合して、混雑予測、ロボットの走行最適化を実現するという取り組みを行っている。
しかし空間IDはあくまでロボット(マシン)のためのものであり、人が認識するためにはPLATEAUのような仕組みによる視覚化が必要となる。そこで提案した「SpatialLink」は、屋内のマシンに対して、人間が空間情報を活用して指示をしたり活用したりするためのデータ基盤でPLATEAUを利用する仕組みだ。
日本電気株式会社の山本直志氏は授賞の理由を次のように述べた。
山本氏:PLATEAUの価値をどう上げていくかというところで、今日、ピッチを聞いた中でその価値を一番に提供されるのはDATAFLUCTだと思いました。もともとデータ解析、データ分析の領域ですでに信頼感があるうえ、さらに空間情報の部分でも広がっていくという非常に期待できるプレゼン内容でした。
受賞した久米村氏のコメントは次のとおり。
久米村氏:DATAFLUCTはデータで社会を支えていくということにずっと取り組んできた会社ですが、こういったプレゼンでなかなか賞をもらえないので、今回の受賞はとてもうれしいです。空間IDの話をしましたが、空間IDはPLATEAUの活用をどんどん促進していくコア技術のひとつであると信じているので、ぜひみなさまと一緒に何かできたらなと思います。