スピーディー末岡のMobile&Mobility最速最前線第15回

鈴鹿はどうなる? 大阪のF1誘致は面白いけどやっぱり賛同できない理由

文●スピーディー末岡

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◆F1の市街地レースは面白いけど……

 気がついたら新年1発目のコラムなのに1月が終わるところでした。スマホとクルマをこよなく愛する筆者が2024年の1回目に選んだ話題は「F1の大阪誘致」です。

10年前くらいに撮った大阪の街並み

 市街地レース、面白いですよね。いつも通勤に使っている道をF1マシンがとんでもない速度で走り抜けていく非日常感とか、サーキットとは違う魅力があります。F1のカレンダーでも市街地レースが増えています。ですが、路面のバンプやセーフティーゾーンの狭さなど、リスクも多いので、ドライバーから市街地レースを減らすよう言われているとか……。ただでさえ、モータースポーツは危険なのにリスクが増えることはしたくないですよね。そう、モータースポーツは危険なのです。それをわからずにコトを進めると大事故に繋がります。

 そして、大阪のF1誘致です。以前もこの話は出ていてポシャっていましたが、突如として話が復活し、吉村府知事が再び気を吐いています。諦めていなかったようです。ただし、運営は民間主導で大阪府は後方支援という話ですが……。ちなみに、誘致先は夢洲という人工島です。

 そもそも関西圏では鈴鹿サーキットで長らくF1が開催されており、鈴鹿のコースレイアウトはチャレンジングだと、世界中のドライバーから愛されています。F1ファンも日本GPといえば鈴鹿という認識ですし、そもそも積み上げてきたノウハウがケタ違いですF1は基本的に1国1開催(特例あり)となるので、大阪GPが実現したら鈴鹿は消滅とも言われています。

モータースポーツの聖地、鈴鹿サーキット

 大阪誘致の言い分を聞いてみると大阪観光局の溝畑宏理事長は「F1以外も組み合わせて総合エンターテインメントにする」と言っていました。ラスベガスGPのようにしたいとみたいですが、昨年のラスベガスGPの惨状を知らないのでしょうか? マンホールのフタが外れたことをはじめ、市街地コースゆえのアクシデントが発生し、負傷したドライバーもいました。

◆F1を単なる観光だと思っていると痛い目を見る

 要するに、市街地GPを開催すればお金持ちがやってきて、お金を使ってくれて財政が潤う、ということなのでしょうが、そのためには道路の整備だったり人員確保だったりでとんでもないお金が出ていきます。お金持ちが来るのにふさわしい街にしないといけませんし、お金持ちしか相手にしてないの? とも。もちろん慈善事業ではないので利益を出すことは必須ですが、命を賭けて取り組むスポーツをちょっと甘く見すぎかなと。

大阪の街並みも魅力的なので、海外からのお客さんも喜ぶとは思います

 鈴鹿サーキットのようなクローズドコースでさえアクシデントが起きます。しかし、鈴鹿はこれまでの経験があるので素早い処理が可能です。コースマーシャル(安全確認などを行なう係員)も非常に優秀で、臨機応変に対応ができます。これが、市街地コースで、マーシャルが未経験のボランティアだとしたら……。あんまり想像したくないですね。

クルマだけでなくバイクのレースも行なわれる鈴鹿サーキット

 開催料が高いとか言われていますが、それ以前の問題だと筆者は考えます。F1を観光の誘致レベルで考えている(と思われる)、偉い人々の認識の甘さ、これが一番の問題でしょうか。たしかに開催料は年々上昇しており、為替で苦しんでいる日本には厳しいでしょう。過去には鈴鹿ですら開催料が支払えず(施設の老朽化もあり)、富士スピードウェイにF1が移ったこともあります。ですが、同じF1経験のある富士という安心感がありましたし(いろいろありましたが)、数年後には鈴鹿開催に戻りました。

◆モータースポーツへの理解とリスペクトが重要

 モータースポーツファンとしては、こうした誘致はうれしいですし、実現したら面白そうだなとも思います。そもそもまだ「F1誘致をこれから検討する」というレベルですしね。万博もあるしカジノもできるし、この勢いで大阪を世界に! という気持ちもわかります。

F1の誘致は人工島の夢洲なのだが、大阪といえば大阪城

 しかし、モータースポーツは危険だという認識を持って、ドライバーと観客の安全を第一に考えてもらいたいと切に願います。小林可夢偉選手が言ってたとおり、ほかのカテゴリーで市街地レースをやるという手もありますし。

 ただ、大阪F1誘致騒動で一番悲しかったのは大阪観光局の溝畑宏理事長の口から「日本のモータースポーツの発展」という意味の言葉が聞けなかったことですね……(筆者が聞き逃してるだけかもしれませんが)。

筆者紹介───スピーディー末岡

 アスキースマホ総研主席研究部員。速いものが好きなスペック厨で、スマホ選びはスペックの数字が優先。なので使うスマホは基本的にハイエンドメイン。クルマはスポーツカーが大好き、音楽はヘビーメタルが大好きと、全方位で速いものを好む傾向にある。スマホ以外では乗り物記事全般を担当している。

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