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スピーディー末岡のMobile&Mobility最速最前線 第12回

継続か消滅か? 日本がモータースポーツの世界舞台を失う前に知りたいこと

2023年11月21日 21時15分更新

文● スピーディー末岡

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写真:松永和浩

 WRC(世界ラリー選手権)の最終戦、ラリージャパン 2023の現場でこれを書いているスピーディー末岡です。

◆クルマに関して非常に恵まれている日本

 今の日本では若者のクルマ離れだなんだと言われていますが、世界的に見ると魅力のあるクルママーケットだって知っていますか? 海外のメーカーも、日本での売上がいいらしく、特にポルシェは2022年の日本での販売台数が過去最高だったとか。しかも過去10年で3倍近くに増えているというから驚きです。

1年ぶりに来たトヨタスタジアム

 しかし、これだけクルマ大国なのに、モータースポーツはいまだにマイナージャンルです。F1はマスコミも大騒ぎするので知っている人がいるかもしれませんが、国内最大動員を誇るSUPER GTですら、イベントの存在自体知らない人が多い状況です。たとえば、サッカーや野球は興味なくても試合をやっていることは知ってますよね?

 こんなにマイナージャンルにもかかわらず、日本は世界的に見てもモータースポーツに恵まれている国だということも知られていません。

トヨタスタジアムの芝を引っぺがし、アスファルトのコースを設営するという気合いの入りようです

今年のウェルパインモータースポーツはKDDIの協力のもと、新しい観戦体験を提供しています

 国際自動車連盟(FIA)が主催する四輪世界選手権はフォーミュラ1世界選手権(F1)、世界ラリー選手権(WRC)、世界耐久選手権(WEC)など、10競技もありません。その代表的な3つの競技が開催される国はアジアで唯一日本だけなんです。なんなら、WRCはアメリカで開催されていません。アメリカもかなりモータリゼーションが発展していますし、インディ500やNASCARといったモータースポーツが人気を博しているにもかかわらずです。

※WECはアメリカ・セブリングで開催されています。訂正してお詫びいたします

 モータースポーツは競技ではありますが、技術力のお披露目や新車のプロモーションの側面もあります。つまり、あまり美味しくなさそうなところではやらないのです。

 そう、まだまだ日本は美味しい市場と見られているのです。これはスマホも同じです。スマホの売上は日本でも伸びが悪くなっていますが、海外メーカーはまだまだチカラを入れて端末を投入してくれています。

◆いつまでも、やると思うな、世界戦

 モータースポーツ人気が高いとは言えない日本で、代表的な世界選手権が開催されるのは非常にレアなのです。日本人は水と安全はタダだと思っている、という言葉がありますが、この言葉を借りれば、日本人はモータースポーツはタダだと思っている、と言えるでしょう。F1もWRCもWECも当たり前のように開催されているのではないのです。日本の市場の可能性、関係者の多大な尽力があってのこと、なのは言うまでもありません。

リエゾン(一般道)区間を走るラリーカー(写真:松永和浩)

 ただ、今後中国は避けて通れないでしょうから、いずれWRCもWECも中国開催があるかもしれません。韓国もF1をやったことがありますし、今ヒョンデが世界中で売れていますし、WRCにはワークスチームが出場しているので、韓国も可能性があるでしょう。

 そうなると、これ以上カレンダーを増やしたくないFIAから、日本が除外されることも考えられます。実際、ラリージャパンは10年近くWRCのカレンダーから外されていました。

最終戦前にWRCチャンピオンを決めた、カッレ・ロバンペラ選手

◆世界戦がやっているうちにモータースポーツを見にいってほしい

 モータースポーツはクルマを使った競技ではありますが、ドライバーのテクニック、メカニックの職人技、開発者の意地と執念、そしてメーカーの威信を賭けた最新テクノロジーがぶつかり合う、非常に人間くさいスポーツです。レース中はドライバーがひとりで走っていますが、多くの人がかかわって走れているのです。また最近は環境のへの配慮もあり、ハイブリッド車やバイオ燃料の採用など、ガソリン垂れ流しの昔とは変わってきています。

 また、バイクが好きならFIM世界耐久レース選手権の鈴鹿8耐もあります。

 実際に観戦すると、モータースポーツは野球やサッカーに負けないくらい熱いスポーツで、すぐにハマると思います。今、世界3大選手権が日本で開催されているうちに、ぜひ見に行ってみてください。

 そのほか、日本にはSUPER GTやスーパーフォーミュラ、スーパー耐久にD1グランプリ、フォーミュラドリフトといったシリーズも開催されています。それらも楽しいですよ!

筆者紹介───スピーディー末岡

 アスキースマホ総研主席研究部員。速いものが好きなスペック厨で、スマホ選びはスペックの数字が優先。なので使うスマホは基本的にハイエンドメイン。クルマはスポーツカーが大好き、音楽はヘビーメタルが大好きと、全方位で速いものを好む傾向にある。スマホ以外では乗り物記事全般を担当している。

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