PLATEAU AWARD 2023開幕!審査員が語る受賞のためのポイントとは
「PLATEAU AWARD 2023」説明会レポート
「PLATEAU AWARD 2022」の振り返り
昨年の「PLATEAU AWARD 2022」では全70作品の応募があり、非常にレベルの高い闘いが繰り広げられた。当初の予定では一次選考10作品のところ、17作品が最終審査に進んだ。
審査の結果、昨年度のグランプリ受賞は、北海道の学生チーム「シマエナガ」の『snow city』。実在の街をスノードームで楽しむという作品だ。実在の街の3D都市モデルを使って生成した街をスノードームの中に入れて鑑賞したり、将来的には、スノードームを手元で楽しめるように3Dプリンターと連携することも考えているという。
システムとしての完成度の高さ、映像、音といったUI/UXの作り込みの高さが評価された。また、観光と組み合わせた展開が容易に想像できるという点が大きく評価された形だ。
このグランプリ受賞作品もそうだが、AR/VR対戦ゲームや映像作品といったエンタメ系の作品から、PLATEAUデータを使ったツール、あるいはPLATEAUを使うためのツールなど、さまざまな作品があった。詳しくは「PLATEAU AWARD 2022」開催レポートを参照してもらいたい。
今回の説明会では、「PLATEAU AWARD 2022」入賞作品のうち、CityGMLに属性情報を付加するWebアプリ『情報加算器』の米田将氏(HollowByte合同会社)、PLATEAUの空間情報を使って街から音楽が聞こえるようなシミュレーション『PLATONE プラトーン』のORSHOLITS Alex氏、銭 イーエン氏が登場し、制作の動機などを話してくれた。
『情報加算器』
「『情報加算器』が何かというと、アプリ上にPLATEAUのCityGMLのデータを読み込んで、そこに追加したい情報を選択して追加することができるというものになります。バックエンドでプログラムが動いていて、他の受賞作品と比べると一見地味な感じにはなっています。なぜ作ったのかというと、PLATEAUのハッカソンに参加してその中でいろいろ話をしていると、初心者の方でプログラミングができないため何をしたらいいかわからないと言われることが多い。そういう人でもPLATEAUのデータを簡単にさわれるようにできないかということで作ったものです」(米田氏)
米田氏はその後も、さまざまなオープンデータを一元化して扱えるよう開発を続けている。プラットフォーム化して、それぞれ必要なコードをみんなが書いて、共有する世界を目指すという。
『PLATONEプラトーン』
「私たちの作品『プラトーン』は簡単に言うと、音のARみたいなもので、Unreal Engineの中で3D Tilesを使ってシミュレーションをしています。自作のハードウェアでユーザーの位置と方位をリアルタイムで取得し、そのリアルタイムデータをストリーミングして、没入感のある音響体験をできるようにしました。
ユーザーの位置と方位をその場で取得して、その周りの3D Tilesのデータを使って音のシミュレーションを行い、リアルタイムで精製した音響をユーザーに返すことにこだわりました。特に大変だったのは低遅延のネットワークを作ることです。リアルタイムでPLATEAUのデータを使うためにはネットワークのラグを解決しなければならず、そこが一番、苦戦したポイントです。
ハードはAlexさんが作っています。これは進化版で、ひとつ前のバージョンはもっと大きくて重かったです。最近はこの後継も作っています」(銭氏)
今年はPLATEAUのイベントにまだ参加する予定はないということだが、後継のハードが気になるところだ。
「PLATEAU AWARD 2023」の募集要項
「PLATEAU AWARD 2023」の募集要項は次のとおりだ。
(1)3D都市モデルの活用
(2)アイデア
(3)UI・UX・デザイン
(4)技術力
(5)実用性
の5つの観点から評価する。なお、応募にあたって、PLATEAUが提供する3D都市モデルを利用したものであれば作品のジャンルは問わない。また、すでに事業化されているソフトウェアから、個人のアイデアやハッカソンなどから生まれたプロトタイプまで、作品の熟度も問わない。
応募形態は個人、チーム、組織(会社)、いずれも可(ちなみに昨年度は個人が4割、グループが4割、企業が2割)。締め切りは2023年11月30日、最終審査が2024年2月24日というタイムスケジュールになっている。