鮮度保持の最新技術も登場 食の課題解決に挑む先端フードテック8社が登壇
「Foodtech Venture Day vol.10」レポート
飲食店を一皿単位でレビューするグルメアプリ「SARAH」を運営
株式会社SARAH
株式会社SARAHは、飲食店をメニュー単位で評価するグルメコミュニティアプリ「SARAH」や食品のクチコミサイト「もぐナビ」などを運営している。「SARAH」はアレルギーや環境負荷への関心などを背景とする食の多様化に対応するため、飲食店をメニュー単位で、食材や栄養素などから評価するアプリだ。「もぐナビ」はその中食版といえる。
また、SARAHはプラットフォームから収集したデータをSaaS形式で企業に提供する「Food Data Bank」も運営している。食品開発企業は商品開発時に「POSデータだけでは売れた理由がわからない」、「データ分析のノウハウがない」などの課題に直面する。SARAHのプラットフォームでは一品単位の口コミがわかるため、アンケートや市場調査では見えない気づきや発見が得られる特徴があるという。
今後はプラットフォームにおけるパーソナライズ機能を強化することで、ユーザーに食の行動変容を促すことに取り組む。消費者の健康データなどを保有する企業と連携し、ユーザーの好みの食事はもちろん、栄養バランスや環境負荷を考慮した食事もレコメンドしていく。
AIと高度なロボット制御技術で食産業をDXする
コネクテッドロボティクス株式会社
コネクテッドロボティクス株式会社は「食産業をロボティクスで革新する。」をミッションに、飲食店や食品工場で利用できるロボットのオペレーションシステムを開発しているスタートアップだ。自社のソフトウェアに対する強みを最大限に生かすため、ロボットは基本的にメーカーから購入している。
食産業は重労働や担い手不足などの問題が深刻化している。しかし、少量多品種の食品生産が多いこともあり、ロボットによる自動化が進みにくい課題があった。コネクテッドロボティクスはロボット制御技術とAIによるセンシング、学習技術にカメラや計量器などの周辺機器を組み合わせることで、取り扱える食品の幅を広げている。
コネクテッドロボティクスは、最終的に飲食店や食品製造ラインのオペレーションを一括で自動化することを目指しているという。今後はロボットの低コストや省スペース化に加えて、精度や生産スピードのさらなる向上に取り組み、その先には農業分野への進出も見据えている。
出張シェフプラットフォーム「シェアダイン」を運営
株式会社シェアダイン
株式会社シェアダインは幼児から高齢者までライフステージのニーズに応える出張シェフプラットフォーム「シェアダイン」を運営している。サービスを始めたきっかけは、共同代表の井出有希氏が仕事と家事の両立や子どもの偏食に悩みを抱えていたことだ。
「シェアダイン」の特徴は管理栄養士や調理師などの資格も持った食の専門家が3000名以上登録している日本最大級のプラットフォームであることだ。新型コロナウイルス禍で職を失った料理人とコロナ太りや糖尿病、アレルギーなどに悩むユーザーをマッチングすることで規模を拡大した。
食の多様化のニーズに伴い、店舗で働くよりも多くの収入を得ている料理人も多いという。今後は、より個人のニーズに合わせられるようにパーソナライズ機能を強化したり、子育てや介護、イベント事業などと連携したりすることで事業の拡大を目指す。