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コミュニティ、機運醸成が重要になる地方スタートアップエコシステム創出

「JAPAN STARTUP SELECTION the 9th Edition」レポート

特集
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「JAPAN STARTUP SELECTION the 9th Edition」が2023年2月2日に、SHIBUYA QWSスクランブルホール(東京都渋谷区)で開催された。スタートアップの支援に先進的に取り組む8自治体(広島県、青森市、つくば市、千葉市、浜松市、別府市、熊本市、福岡市)で構成される「スタートアップ都市推進協議会」が主催。各地域のスタートアップ企業と全国の大手企業や投資家などとの協業促進を目的としたビジネスマッチングイベントだ。

 3年ぶりのリアル開催となった今回は、各自治体から参加したスタートアップによるピッチやブース出展のほか、各地域でスタートアップ支援を推進する首⻑のトークセッションなどが展開された。この記事では、イベントの最初に行われた 「首長トークセッション(1)『地方スタートアップエコシステムの現在地と課題、今後の展望』」の模様を紹介する。

 冒頭、福岡市長の高島宗一郎氏より、開会の挨拶があった。高島氏は、スタートアップ都市推進協議会会長で、2010年から福岡市長を務め、現在4期目。政令指定都市において唯一、7年連続で税収が過去最高を更新するなど、市政でも成功を収めている。

福岡市 市長 高島宗一郎氏

 高島氏は「政府が『スタートアップ元年』を打ち出しているが、私たちはスタートアップ都市推進協議会を9年前に設立しており、このイベントも9回目となる。今、加盟している都市が8つある。

 今回は、8つの都市から選りすぐりのスタートアップ21社に参加してもらっているので、素晴らしい出会いに期待したい。また、スタートアップ元年ということで、リスクをとってチャレンジをする人が尊敬される国になるように、私たちも地方から後押ししていこうじゃありませんか」と開催に言葉を添えた。

首長トークセッション
「地方スタートアップエコシステムの現在地と課題、今後の展望」

 続いての首長トークセッションでは、「地方スタートアップエコシステムの現在地と課題、今後の展望」と題して、首都圏と比べてリソースが少ない地方都市において、どのように強みを生かしてスタートアップの成長につなげていくのか、地方スタートアップエコシステムの現在地と課題、今後の展望についてパネルディスカッションが行われた。

(写真左から)一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会 理事 (DBJキャピタル株式会社 代表取締役社長) 内山春彦氏、 熊本市 市長 大西一史氏、 福岡市 市長 高島 宗一郎氏

 パネリストは、福岡市長の高島宗一郎氏と熊本市長の大西一史氏の2人が登壇。ともに、スタートアップ支援を推進する市の首長として、自身が取り組んできた施策を振り返りつつ、課題や今後についてトークを繰り広げた。モデレーターには一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会理事でDBJキャピタル株式会社 代表取締役社長の内山春彦氏が登壇し、進行を務めた。

熊本市 市長 大西一史氏

一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会 理事 (DBJキャピタル株式会社 代表取締役社長) 内山春彦氏

 高島氏は、「2011年にバンクーバーを訪れた際、途中で立ち寄ったシアトルで、スターバックスやマイクロソフトなど名だたるグローバル企業がシアトルに本社を構えていることに驚いた。どうしてそのようなことが実現できるのかと聞いているうちに、福岡市の状況ととても似ていることに気づいた。スタートアップの街として、東京でなくても世界に向けて発信できる拠点となれるのではないかと、翌年スタートアップ都市宣言を行い、2022年で10年経った」という福岡市の状況を紹介した。

 熊本市と福岡市は新幹線でも40分ほどの距離で、非常に近い立地にある。近くに成長著しい福岡市があるという状況で、市長になったときにどうするべきかと考え、市長就任前に経験した海外視察などを思い返し、「スタートアップ支援に力を入れている福岡市を参考にしようと思った」と大西氏は語った。

 福岡市のスタートアップを視察して若い人たちが活発に活動しているのをみて熊本でもスタートアップを盛り上げようと思った際に起こったのが熊本地震だった。地震からの復興を最優先にしつつも、「Build Back Better(ビルド・バック・ベター)」―――より良い復興を目指す中で、福岡市に遅れること10年後ではあるが、熊本にもスタートアップの拠点を設けることとなったと振り返った。

 内山氏は、日本ベンチャーキャピタル協会の活動を振り返り、各地の活動なども紹介してきたりしたが、成功事例を他の地区に当てはめるということではなく、今後も地域の特性を生かした活動を見出してもらう手伝いをしていきたいと述べた。また、協会としては今回のような「場」を設けるなど、自治体とスタートアップ、企業同士などが出会うきっかけ、エコシステムづくりをしたいと示された。

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