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コミュニティ、機運醸成が重要になる地方スタートアップエコシステム創出

「JAPAN STARTUP SELECTION the 9th Edition」レポート

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「スタートアップという文化」をつくるために
人が集まりたくなる環境づくりが大事

 続いての話題では、「今までやってきたことの成果とは?」ということで、福岡市長の高島氏は「スタートアップというカルチャーをつくったこと」と切り出した。

 当時はスタートアップという言葉にも馴染みがなく、法や規制が想定していなかった問題を解決するためのきっかけとしての特区に期待を寄せていたという。地方はないものづくし、人もお金も物も集まりにくいので、スタートアップ同士が集まり、相談しやすい場をつくるなど、スタートアップの抱える課題をフルサポートすることで、スタートアップフレンドリーなエリアとして、チャレンジャーが集まる都市づくりを目指してきたと振り返った。

「成功事例として視察に訪れていただくこともあり、視察などで写真を撮って帰っていかれるが、廃校をリノベ―ションしてコワーキングスペースにするという形式だけではダメで、コミュニティの雰囲気など官民連携でないと出せない価値、デザイン、雰囲気というのが大事だ」と主張する。

 熊本市長の大西氏は、高島市長が「スタートアップという文化」をつくってくれたのが後押しになったと評価。「やっと時代が追いついてきた」と振り返る。

 熊本駅前にオープンさせた複合施設「くまもと森都心プラザ」については、もともと熊本駅前には何もなかったが、駅近くにマンションを含む総合施設があり、そこに物産コーナーなどが設けられていた。しかし、あまり活用されていない状態でもったいないと思い、そこをビジネス支援設備「XOSS POINT.(クロスポイント)」としてオープンした。そのことでいろいろな人が集い始め、コミュニティが育ち始めたという。みんなが来たくなる、集まりたくなる環境づくりが大事だと振り返った。

 高島氏も「場」の重要性に触れ、ピッチ大会があるとだんだん慣れて上手くなっていくし、ライバル企業が資金調達すると「俺たちだってできるはず」と対抗心が湧くなど良い効果が得られると指摘。

 大西氏は、地方都市というと市役所だとか地元の銀行などが就職先として多くなりがちだが、成功例が出てくるとチャレンジする人が増えたりスタートアップにジョインしたりする人も出てくるので、近くに触発される地域や場があるのは重要と賛同した。

 さらに、地域同士ライバル関係で切磋琢磨するのもいいが、地域の特性によって得意なものなどもあり、地域が協力してオールジャパンで取り組んでいくようなこともできたらいいと今後の期待も示された。

今後の課題は「コミュニティの充実」
資金や人材の流動化も含めた総合的な取り組みが必要

 今後の課題に関しては、「コミュニティの充実が重要」と大西氏は語る。地方都市のスタートアップは財務や法務など、事業が急成長した時の人材が不足しているように感じると課題が示された。イグジットを目指すとすれば、そこまで早く到達する、急成長するための仕組みづくりが重要と語られた。

 高島氏は、「高さ」を課題として示した。スタートアップが盛り上がり、裾野が広がったとしても、成長して飛び抜けていく「高さ」が重要だという。コロナ禍に関しても、ピンチをチャンスにするようなブレイクスルーがあるかと期待したが、なかなか飛び抜けたものがなかったと述べた。

 規制撤廃など、ブレイクスルーが起きる余地やきっかけづくりをしていきたいと今後についても目標を示した。さらにVC(ベンチャーキャピタル)の観点からどう反省するかと内山氏に迫る場面もあった。

 内山氏は、ユニコーンを出せてないことの反省としては、規模が出せていないことに触れ、最初からグローバルを目指すなど、VCの意識改革も必要だと振り返る。資金だけでなく、人材の流動化なども含めて総合的な取り組みが必要だと指摘した。

 かつて日本は、車も家電も世界一だったのに、いまや中国などに席巻され、子どもたちも世界で勝てると思っていないということが問題だとの指摘も示された。危機感を持って将来の企業を育ててゆかなければならないという主張もなされ、スタートアップに特化したファンドやいろいろな連携が必要であることが語られた。

 最後に、高島氏と大西氏の両市長からは「とにかく世界をとるつもりでチャレンジしてほしい」とエールが送られた。規制緩和で困っていることがあれば相談してほしい、できない理由を探す、できない理由を見つけてやらないのではなく、「一緒に新時代をつくっていこう! 連携して世界に向けてチャレンジしていこう」と呼びかけが行われ締めくくられた。

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