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化学産業の省エネからゲノム編集、藻類活用まで カーボンニュートラルスタートアップ5社

NEDOドリームピッチ in 関西「カーボンニュートラル ―カーボンクレジットを生み出す社会へ―」レポート

特集
JOIC:オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会

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ゲノム編集技術で植物の可能性を引き出す
グランドグリーン株式会社

グランドグリーン株式会社 代表取締役 丹羽 優喜 氏

 グランドグリーン株式会社はゲノム編集技術により農作物の効率的な生産を推進することで、カーボンニュートラルに寄与する。地球環境の悪化が進む中で、増えていく人口を養うためには効率的な食糧生産が求められる。また、人々の健康を守るためには、大量生産だけでなく、栄養成分に富んだ農作物の生産が必須だ。これらをゲノム編集技術により効率化することで、地球課題の解決に取り組む。

 ゲノム編集はゲノム配列中の狙った場所を切断する技術だ。作物種苗に悪影響を及ぼす特定の遺伝子をピンポイントに切断することで、品種改良を行う。従来の品種改良は良質な品種同士を掛け合わせて新たな品種を作る方法で、開発期間が10年単位に及ぶデメリットがあった。また、一度バラバラにした遺伝子を組み直す過程で、改良前の品種が本来持ち合わせていた長所が失われてしまう可能性があった。グランドグリーンのゲノム編集は既存の農作物の短所をピンポイントに改良することで、短期間かつ長所が失われないという特徴がある。

 グランドグリーンのゲノム編集技術は汎用性が高く、最新の品種からスーパーに並ぶ一般的な品種にまで、幅広く使える特徴もある。今後は高い汎用性を生かして種苗会社や食品メーカーとの共同開発により、カーボンニュートラルに寄与する品種改良を進めていく。

自然資本に健全な資金循環を生み出す
株式会社sustainacraft

株式会社sustainacraft 代表取締役 末次 浩詩 氏

 株式会社sustainacraftはカーボンクレジットのプロジェクトに透明性の高い評価を提供することで、自然資本に健全な資金循環を生み出す。国家や企業は二酸化炭素の排出削減に取り組み、削減しきれなかった分をカーボンクレジットで補うことが推奨されている。世界にはボランタリーカーボンクレジットと呼ばれる民間主導のカーボンクレジット事業があり、ネットゼロの達成に重要な鍵となる。

 しかし、ボランタリーカーボンクレジットに対しては、実際の二酸化炭素吸収量や排出削減量よりも大きなクレジットが創出されている「ジャンクカーボンクレジット」や「グリーンウォッシュ」などの批判が集まっている事実もある。国や企業はカーボンクレジットでオフセットをするだけでなく、品質を見極めた上でカーボンクレジットを購入し、詳細を開示することが求められている。また、高品質なカーボンクレジットの要件を探る議論がさまざまな場所でなされている。sustainacraftはそうした品質評価の議論に参加し、独自の評価フレームワークを策定。世界各地のカーボンクレジットプロジェクトの環境影響評価や、品質レポートの作成などを手掛けている。

 また、ボランタリーカーボンクレジット事業は、申請からクレジット発行までに約5年かかるケースが多く、クレジット発行までの資金負担が重い課題もある。sustainacraftはアーリーファイナンスプラットフォームとして、発展途上の事業と投資家のマッチングを推進することで、高品質な事業に資金が集まる仕組みを構築する。さらに、強みである学術研究やルールメイキング、ボランタリーカーボンクレジットの市場が盛んな欧州企業との連携により、国内カーボンクレジット市場の活性化や世界でのプレゼンス強化を推進する。

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